学校長の窓

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第1学年「ブックトーク」


  みなさん、おはようございます。今日は、ブックトークをしたいと思います。このブックトークの目的は、「その本の面白さを伝えること」「聞き手にその本を読んでみたいという気持ちを起させること」です。

  ですから、 読み聞かせや朗読とは異なります。本を最初から順に読んでいくということはしません。今日紹介するのは、波田野 毅さんが書いた『世界の偉人たちから届いた10の言葉~日本への「ありがとう」』という本です。アインシュタイン、ヘレン・ケラー、ゴッホなど、10人の偉人たちが、日本のすばらしさを語っています。

  その中で、ネジャッティ・ウトカン駐日トルコ大使が取り上げている「エルトゥールル号遭難事件」を紹介したいと思います。

  1890年(明治23年)9月16日夜半、トルコ(オスマン帝国)の軍艦エルトゥールル号が、現在の和歌山県(串本町沖)にある、紀伊大島の(樫野埼)東方海上で遭難し、500名以上の犠牲者を出した事件です。

  この遭難を知った(大島村:現在の串本町樫野)住民たちは、総出で救助と生存者の介抱に当たりました。住民は浴衣などの衣類、卵やサツマイモ、それに非常用のニワトリをも供出するなど、献身的に生存者たちの救護に努めました。

  この結果、村の寺、学校、灯台に収容された69名が救出され生還することができました。この事件は、日本とトルコの友好関係の始まりと考えられています。この「エルトゥールル号遭難事件」は、トルコの教科書にも掲載され、子どもでさえ知らない者はいないほど、トルコでは歴史上重要な出来事になっています。また、トルコ人は、今でも日本が大好きです。
  また、この「エルトゥールル号遭難事件」には、続きがあります。それは1985年(昭和60年)のイラン・イラク戦争における逸話です。

  当時、イラクはイラン上空の航空機に対する期限を定めた無差別攻撃宣言を行いました。各国は、期限までにイラン在住の国民を軍用機や旅客機で救出したものの、日本は自衛隊の海外派遣ができないという原則のために、自衛隊機による救援が出来なかったうえ、日本航空はイランとイラクによる航行安全の保証がされない限り臨時便は出さないとしたため、イランにいる日本人は危機的状況に陥りました。

  そのとき、手を差し伸べたのがトルコだったのです。トルコは「トルコ人ならだれもが、エルトゥールル号の遭難の際に受けた恩義を知っています。ご恩返しをさせていただきましょう」と言って、トルコ航空機をイランに派遣し、215名の日本人全員を救出してくれました。そのお陰で、日本人は無事にトルコ経由で帰国できたのです。

  その後、1999年に起きた「トルコ大地震」の際には、日本から救援隊や医療チームが駆けつけ、救助に当たりました。トルコの人々を大変感激させました。善い行いには、善い行いが返ってきます。

  エルトゥールル号遭難事件120年の節目となった、2010年は「トルコにおける日本年」とされています。 

  波田野 毅さんが書いた『世界の偉人たちから届いた10の言葉~日本への「ありがとう」』、この本をぜひ読んでみてください。学校の図書館にあります。以上で、ブックトークを終わりにします。