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春日部の旧石器時代―指定文化財でめぐる春日部

現在第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」開催中です。

今回は、企画展示で展示中の春日部市指定文化財、「坊荒句(ぼうあらく)遺跡出土旧石器時代旧石器時代石器群」、「慈恩寺原北(じおんじばらきた)遺跡出土旧石器時代石器群」、「風早(かざはや)遺跡出土旧石器時代局部磨製石斧(きょくぶませいせきふ)」を中心に、春日部市域の旧石器時代をご紹介します。
風早遺跡の局部磨製石斧
風早遺跡の局部磨製石斧

これらの石器が使われた約3万年前、地球は最終氷期にあたり、現在よりも気温が6~7℃低く、海水面も80mほど低かったと考えられています。北海道はサハリンを通じてユーラシア大陸とつながっていました。

春日部市域では、展示されている3遺跡とともに、10遺跡から旧石器時代の石器が発見されています。いずれも関東ローム層と呼ばれる土の中から石器のみが出土しています。
さらに、約2万8000年前に噴火した鹿児島県の姶良(あいら)カルデラの火山灰は広域に飛散し、この火山灰の堆積層(AT層)を境に、旧石器時代の新旧が分けられています。
坊荒句遺跡出土の旧石器
坊荒句遺跡の旧石器

展示されている春日部市域の石器群は、AT層よりも下層から出土したもので、約3万年前のものと考えられています。またAT層よりも上層からは、ナイフ形石器や細石器と呼ばれる石器が出土しています。

石器に使われる石材は、黒曜石やチャート、珪質頁岩など様々です。慈恩寺原北遺跡では、玉髄やガラス質黒色安山岩など実に6種類の石材が使われています。
石材の中で特に黒曜石は、産地の研究が進んでおり、春日部市域の遺跡で発見された石器には、栃木県の高原山や長野県の和田峠、伊豆諸島の神津島などの石が使われていることが判明しています。
慈恩寺原北遺跡の旧石器
慈恩寺原北遺跡の旧石器


風早遺跡の局部磨製石斧『新編図録春日部の歴史』からのご紹介53

ベールに包まれたこれ。何でしょうか。

企画展示「指定文化財でめぐる春日部」展、絶賛開催中です。
今日は、資料を展示するまでの裏側を少しだけ紹介します。
次の写真、何だかわかりますか?
写真:梱包された資料
今回展示した資料は、いずれも普段は、収蔵庫で大切に保管されています。移動時には、前の写真のような感じで、薄様紙(うすばがみ・うすようし)や綿布団(わたぶとん)をつかって、移動中の衝撃などで資料に傷がつかないように、また光・ホコリなどで劣化したり、汚れないよう、梱包します。また、虫やカビから資料を守るために、密閉性が高く、適切な温湿度管理がされた収蔵庫で保管しています。

上の白い物体。展示の準備の最後の最後に、荷解きをし、設置しました。以下、その模様です。
写真:荷解きの様子1
梱包は、ただ薄葉紙やクッションの役割を果たす綿布団で単純にくるんでいるのではなく、デリケートな部位は丁寧にケアしながら、何重のも薄葉紙で包まれています。
写真:荷解きの様子2
荷解きをして、徐々に資料の姿があらわになります。

白い物体の正体は、江戸川の開削や庄内領の新田開発で功績をあげた、小島庄右衛門さんの座像でした(「小島庄右衛門坐像」小流寺寄託)。第49回「江戸川!」展のとき以来、展示させていただき、お預かりしてから、実に約4年ぶりの公開です。
写真:設置の様子
この「小島庄右衛門坐像」は、実は指定文化財ではありません。市指定文化財「小流寺縁起」の関連資料として参考展示させていただきました。「小島庄右衛門坐像」も「小流寺縁起」も、著名な資料で、県立歴史と民俗の博物館をはじめ、各地の博物館にはレプリカが展示されています。江戸時代の人物の肖像を木像にしたものとして貴重ですし、「江戸川を造った男」=郷土の偉人ですから、春日部にとってはなお貴重です。行政による文化財指定を受けていなくても、一つ一つの文化財はかけがえのないものなのです。
話が少しそれていますが。ぜひ、普段は収蔵庫で控えている”本物”の資料を間近にご覧いただければ幸いです。

企画展示「指定文化財でめぐる春日部」展は、郷土資料館の収蔵(寄託も含む)する指定文化財などの貴重な資料を一同に公開しています。会期は7月7日(日)までです。お見逃しなく。関連イベントもあります。

神明貝塚巡回展 絶賛開催中!

巡回展「ここまで分かった!神明貝塚と縄文人のくらし」が中央公民館にて絶賛開催中です。

市役所庄和支所から始まり、正風館(庄和地区公民館)と巡回し、今回はじめて庄和地域を離れ、春日部地域へとやってきました。

神明貝塚は西親野井(にしおやのい)に営まれた縄文時代のムラで、春日部市内でも北東部に位置しています。春日部地域の方にとってはあまり馴染みのない地域かもしれませんが、今回の巡回展を通じて、市内に縄文時代を代表するような貝塚が存在することをお伝えできればと思います。ミニ展示ですが、縄文のムラを復元したジオラマが見どころです。
公民館にお立ちよりの際には是非ともご覧になってみてはいかがでしょうか。

巡回展の様子

期間:令和元年5月11日(土)~6月30日(日)
場所:中央公民館(粕壁6918-1) 1階ロビー



古文書勉強会の模様

平成31年4月27日(土)、郷土資料館古文書勉強会を開催しました。
今回も新たに参加される方が加わり、17名の参加がありました。

写真:勉強会の様子
今回は、前回に引き続いて、神間村伝来の寛政7年「御鹿狩ニ付御触書之写」を講読しています。一字一句丁寧に文字と意味を確認しながら、読んでいますので、まだまだ読み終えません。読んだ成果はまとめてご披露したいと思います。

次回は5月25日(土)14時~となります。ご興味のあるかたのご参加もお待ちしています。

企画展準備中。関連イベントも

令和元年5月18日(土)~7月7日(日)まで開催する企画展「指定文化財でめぐる春日部」展は目下準備中。写真は県指定文化財の土器の展示を準備している模様です。
写真:展示作業中

さて、今回は、盛りだくさんの関連イベントをご紹介します。

①記念講演会「春日部の指定文化財―史跡と考古資料」
 日時:令和元年6月29日(土)14時~16時
 講師に、杉崎茂樹先生(春日部市文化財保護審議委員)をお招きして、市内の史跡・考古資料の指定文化財についてお話しいただきます。要申し込み。

②展示解説講座(その1)「春日部の弥生時代―須釜遺跡」
 日時:令和元年6月16日(日)10時~11時30分
 展示担当の当館学芸員による解説講座。県指定文化財が出土した須釜遺跡と弥生時代について解説します。要申し込み。

③展示解説講座(その2)「春日部と円空」
 日時:令和元年6月23日(日)10時~11時30分
 当館館長による解説講座。市域に多く伝来する円空仏について解説します。要申し込み。

④ギャラリートーク
 日時:令和元年5月25日(土)、6月9日(日)、7月7日(日)
    各日2回(10時30分~、15時~ 各回30分程度)
 展示担当学芸員が展示を解説します。時間までに展示室お集まりください。申し込み不要です。

いずれも会場は春日部市教育センター(郷土資料館)、費用は無料です。ぜひご参加ください。