洋画家 絹谷幸二先生による絵画指導(その1)
「時の王国・ヴェネツィア燦々」 2006
上の絵は、洋画家 絹谷幸二(きぬたに こうじ)さんの作品です。私は数年前、日本橋三越でこの絵を実際に見ました。絹谷先生の個展が開かれていたからです。あざやかな色彩がぱっと目に飛び込んできて、「なんてきれいな絵だろう。」と思いました。しばらくこの絵の前に立って見ていたことを覚えています。この絵がすっかり気に入ってしまった私は、写真でもいいから手にはいらないかなあと思っていると、展示場にその絵が印刷されたファイルが販売されているのを見つけました。すぐに買い求めました。今でもこのファイルを使っています。
最近になって、この作者である絹谷先生が、子どもたちに絵画指導をするために、国内の小学校に出かけられていることを知りました。「福田二小にも来てもらえないかなあ。」と思いお願いしたところ、その願いが叶いました。
そして9月7日、絹谷先生が福田二小に来てくださったのです。
最初に、先生の自己紹介がありました。先生は奈良県生まれです。小さいときから絵を描くことが大好きだったそうです。東京芸術大学を卒業され、その後イタリアのヴェネツィアに留学し、油絵の勉強をされました。長野冬季オリンピックの公式ポスターを描かれたのも絹谷先生です。大人の方によっては、下の絵(ポスター)を見たことがあるよというかたもいらっしゃることでしょう。
「銀峯の女神」1997 (長野冬季オリンピック公式ポスター)
今回教えていただくテーマは”人の顔を描く” でした。子どもたちに「わらってみましょう。」と絹谷先生がおっしゃいました。みんな笑った顔になりました。
「よく見てみよう。口はどんなふうになっていますか?口が上に上がっていますね。これを口角といいます。では、怒った時の口はどんな形になっていますか?口角が下がっていますね。」などと実際にやってみながら表情のとらえ方をわかりやすく説明してくださいました。
絹谷先生「鳥はどうしてあんなにきれいな声でなくのだろう?わかる人いますか?」
児童 「相手に自分をしらせるため。」
絹谷先生「じゃあ、花は動けないね。どうやって相手にしらせるんだろう。」
児童 「においです。」
絹谷先生「では、話は変わるが、おしるこを作る時、何を入れるかしってるかい?」
児童 「塩です。」
絹谷先生「よく知ってるね。真逆のものをちょっと入れるとおいしくなるんだね。かくし味だね。カレーのかくし味はなにか知ってるかな?」
児童「チョコレート」、「ハチミツ」、「りんご」
絹谷先生「そうだね。そういうかくし味みたいなのが色をつくる時には大切なんだよ。では、「パレットに黒以外の色を全部出してみよう。」
「最初は赤から出発。赤の反対の色を混ぜてみよう。どんな色ができるだろう。できた色を画用紙にぬってみよう」
「今度は、今できた色に、また反対の色を混ぜて色を作ってみよう。こうしてどんどん色をつくっていこう。反対の色はかくし味なのだから、たくさんではなく、少しの量でいいんだよ。」
子どもたちは絹谷先生が手にした筆の先をくいいるように見ています。
絵の具を使わない1・2年生には、くれよんで色を重ねて新しい色をつくるやり方を教えてくださいました。
「最初は、赤色をうすくぬっていみよう。そのつぎに青色をうすくかさねてみよう。」
どんどん新しい色ができて、なんだか楽しくなってきました。
こうして子どもたちの画用紙はいろんな色でうめつくされていきました。さて、この後はどうなっていくのでしょう。