学校長の窓

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第9回朝会講話「大切なものは目に見えない」


 「大切なものはね、目には見えないんだよ。」
 「目では見えない、心で探さないと。」

 久しぶりにサン=テグジュペリの『星の王子さま』を読み返してみました。今でも、私たちに大切なことを教えてくれているように思います。大切なものは目に見えません。命・魂・空気・心・思い・愛などは、目には見えません。でも、確かに存在します。こういった目には見えないものを重視した豊かな価値観を昔は誰もが持っていました。
 
しかし、現代社会になって、私たちは目に見えるものを確実なものとして受け入れてしまっています。そして、目に見えないものを重視した豊かな価値観を忘れてしまっているように思います。
 
例えば、人を見るときには、見た目、格好よさ、服装、学歴などにとらわれてしまいます。その人の本質は二の次です。また、作物も見た目が良いものを作るために、農薬を使い、ただ速く効率的に育てます。これでは、作物は幸せに育ちません。幸せに育った作物の命を食べ、私たちは幸せになるのです。私たちは今、もう一度目に見えないものを重視した価値観を思い出す必要があります。幸せに豊かに生きるのにも、目に見えないものを心で感じる力が必要です。
 
人が美しいのは、その人がたくさんの苦しい・うれしい・悲しい経験を積んできたからです。自然が美しいのは、すべてのものが命をもって調和して生きているからです。手作りが美しいのは、作った人の思い・愛情がこもっているからです。ふるさとが美しいのは、昔のなつかしい思い出が詰まってからです。
 
 さて、皆さんにとって、大切なものとは何でしょう。それは、友情でしょうか。それは、家族愛でしょうか。それは、人を好きになるという純粋な心でしょうか。大切なものは目に見えません。終わります。