学校長の窓

学校長からのお話を掲載しています

 「気持ちを形に」(『生徒会誌』第52号) 

          

 東日本大震災直後からテレビのCMが一時、ほとんどACジャパン(旧公共広告機構)のものとなりました。そのCMの中で、特に心に残る言葉があります。「心は誰にも見えないけれど、心遣いは見える。思いは見えないけれど、思いやりは誰にでも見える。その気持ちを形に。」という内容です。
 本校生徒会は、この東日本大震災への義援金に協力しようと呼びかけ、いち早く立ち上がりました。「がんばろう日本」「がんばろう益子中」の掛け声とともに、十一万六千円余の義援金が集まったのです。また、被災された東北地方の岩手・宮城・福島各県の中学生に「空はつながっていますから、元気を出して、がんばってください。」と、励ましの手紙も書いています。このような気持ちを形にする真摯な行為こそ、本校生徒会の真骨頂とも言えます。
 これらの貴重な経験を踏まえ、今年度の生徒会活動の方針を「自主」「貢献」としました。そして、この方針の下に、すべての活動をしっかりと展開してきたことに賛辞を呈したいと思います。
 特に、自主的な「あいさつ運動」は、元気と明るさを学校から地域へ、地域から地域へと発信してします。自主的な「勤労・奉仕的な活動」では、校舎周辺の掃除から側溝掃除へと範囲を広げ、さらには学校近くの公共施設周辺の除草作業にも及ぶようになりました。また、校内の掲示物にいたずらなどが見られると、毎朝クラスを訪問し、「掲示物は心に栄養を与える情報源です。大切に扱いましょう。」と呼びかけました。このような自主的な活動は、生徒たちの心を動かし、規範意識を大いに高めてくれました。
 それから、寒い冬の朝、誰よりも早く登校し落ち葉を掃く生徒、自分一人でも正門に立ち「あいさつ運動」をする生徒、信号機のそばに立ち教師と共に交通指導をする生徒など、自主的な活動が多く見られ、気持ちを形にする行為が広がっています。これも、「自主」「貢献」という生徒会活動の座標軸がしっかりしているからです。まさに本校生徒会の組織は、エリート集団を成していると言えます。スペインの哲学者オルテガは、次のように説いています。
「エリートとは、断れば断ることができる責務をあえて受諾するものである。自分自身に困難を積み重ねるものである。」(『大衆の反逆』)より)
 自分にとって都合のよいことばかり求めていては、エリートにはなり得ません。本校生徒会は、常に周囲の人、学級、学校、地域のことを優先する姿勢で、あえて困難なことと思われることでも、自ら引き受け取り組んできています。
 学校文化は、生徒会が主体となり生徒のたゆまぬ努力によって創られます。その積み重ねにより生徒会活動は厚みを増し、みなさんの学校生活に自信と活力を与えるのです。気持ちを形にする真摯な行為が持続できることを願っています。