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春季展示「宝珠花の歴史と大凧あげ」準備中です
5月17日(火)から、春季展示が始まります。展示担当者は目下準備中。今回は、担当者になりかわり、大凧あげについて少し紹介します。
去る5月3日に無観客で実施された大凧あげ。無風状態が続き、大凧の飛揚はなりませんでした。ただ、実に3年ぶりに大凧あげとなりました。下の写真は下若組の大凧文字書きの模様です。
関係者の皆さんは、大凧あげにあたり、準備から当日まで大変に力を注がれています。こうした大凧あげの製作過程を絶えることなく地元で脈々と続けてきたことが、大凧あげの伝統を担保しているといえます。いうまでもないですが、コロナ禍で中止されていた大凧あげが再び実施できたことは、伝統を継承するという意味で大変有意義なこととなりました。
なにかと、大凧が揚がったか、揚がらなかったかに話題が集まりがちですが、少し観点をかえて、大凧が揚がるまでの過程に注目してみることも重要なことでしょう。そこで、今回は、先日の取材で拝見した大凧を揚げる前の模様を少し紹介します。
大凧を揚げる前に、引手となる人たちは安全祈願のため、神社に参拝します。上若組は宝珠花神社へ、下若組は愛宕神社にそれぞれ詣でます。今回、取材は上若組の参拝に立ち合いました。
上若組は、神社の裏手右側を回って、神前に集まり、参拝します。このとき、神前の鈴のあたりにお神酒を威勢よくかけます。その後、引手でお神酒と豆腐を飲食します。これをキヨメとよんでいます。神社での参拝が済んだあと、境内に「上若」と刻まれる常夜灯の前で参拝、常夜灯に再びお神酒を威勢よくかけます。地元の方は、常夜灯は上若組の守り神だと話していました。また、なぜ豆腐を食すのかは不明とのこと(『庄和町文化財資料11 埼玉県の大凧揚げ習俗』)。
次の写真は神前にかけたお神酒の跡です。鈴のあたりが濡れています。
お神酒のかぐわしい香りが漂っていました。
こうしてみると、地元の方々にとっては、大凧あげに付随するこうした民俗的な儀礼をも後世に継承する機会となったともいえそうです。
今回の大凧あげは無観客で関係者や報道機関など限られた方々のなかで実施されました。また通常に開催された折には、大凧の飛揚だけでなく、前後に行われる慣例や儀礼などにも注目して、大凧あげ祭りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
宝珠花の大凧あげを紹介する春季展示は、5月17日(火)から開催します。普段みられない貴重な資料も数々陳列されますので、ぜひご来館ください。