校長室から

2023年3月の記事一覧

修了式

今、代表生徒に修了証書を渡しました。

  

それぞれ、1年間の学習を修めたことを証します。これで、1年生は2年生へ、2年生は3年生に進級できます。おめでどうございます。

 

さて、明日からの春休み、各学年、ワークなどの課題が出ています。理解しているかチェックして、できなかった問題をできるようにしてから新年度を迎えて欲しいと思います。

私の本音を言います。宿題ややり残しの課題はなるべく無しにしたいと思っています。しかし、家庭学習をしなくて良いということではありません。自分で考えて、自分のやり方で必要な家庭学習を行うように「自律して欲しい」と思っています。宿題をこなしているだけでは、残念ながら、学力はあまり伸びないことが多いからです。

 

さて、今日の修了式で、二つの話をします。一つ目。

3月10日、卒業式予行の日を思い出してください。次の日が、東日本大震災から12年になるということで、地震や津波で亡くなった多くの方の御霊に黙とうを捧げました。翌3月11日にはWBC侍ジャパンの試合があり、「佐々木朗希(ろうき)」投手が好投して勝利しました。実は、佐々木選手は12年前の津波で父親と祖父母を亡くしています。その命日に、日本代表としてマウンドに登ったことは偶然でしょうか?佐々木選手は3年前の新型コロナ感染拡大による全国の学校の休校中に、新聞を通じて子供達にメッセージを送っています。読みます。『休校中の君へ』

 「やることがない、与えられることがない時に、自分で考えてやることが求められる。すごく良い機会になる。その時の方が、野球も勉強も伸びる。」

佐々木選手は、小学校3年生の時に東日本大震災で学校が閉鎖されて、しばらく勉強ができなかったり、大好きな野球ができなかった経験をしています。高校は甲子園を狙うような強豪校からの誘いを全部断り、練習時間が短い地元の高校を選び、自分で考えて工夫して練習をしました。それらの経験が、昨年、史上最年少20歳にして完全試合を達成し、3日前のWBC準決勝メキシコでも好投、いずれはアメリカメジャーリーグでの活躍が期待されるような成長に繋がったのかもしれません。メッセージの一部を変えて、もう一度皆さんに伝えます。『我孫子中生へ』

「与えられない時こそ、自分で考えてやることが求められる。その方が、スポーツも勉強も伸びる。」

明日からの春休みです。皆さんが自分で考えて、自主的に学習したり、部活動をしたり、読書をしたり、お家の手伝いをしたりすることを期待しています。

   

二つ目の話です。

4月から、本校の「個別支援学級」の名前が、『つつじ学級』に変わります。つつじは我孫子市の花であり、本校の356号線沿いにもピンクの花をつけ、通学・通勤の方の目を楽しませています。つつじの花言葉には、「努力」や「節度」といった意味があります。我孫子中にピッタリです。

なお、「いずみ学級」の名称はそのままで変わりません。泉が湧き出るオアシスのような居心地の良いクラスを目指す、という意味があります。私は、いずみ学級だけでなく、すべての教室が、泉が湧き出るオアシスのような、誰もが過ごしやすいクラスになって欲しいと願っています。

それでは、4月6日に元気な挨拶、明るい笑顔で会いましょう。

式辞

 

 柔らかな春の日差しに、校庭の木々の芽も膨らみ始め、自然の息吹を感じる頃となりました。

本日は、我孫子市副市長・青木章様、我孫子市教育委員会教育委員・新山訓代様、そして、保護者の皆様のご列席をいただき、第76回卒業証書授与式を挙行できますことはこの上ない喜びです。

 

 さて、3年生の皆さん、卒業おめでとうございます。今、卒業証書を受け取り、どんな思いを抱いているでしょうか?その卒業証書は学校で様々なことを学んだ証です。学校に来られなくても、いろいろ考えたり、迷ったり、悩んだりした3年間の証です。

 

 思い出します。5月の古都体験学習で訪れた京都・奈良。金閣寺のきらびやかさや東大寺大仏殿の圧倒的な大きさ。しかし、私は観光客の少なさに驚きました。以前ならば、日本人だけでなく外国人で混雑する神社・仏閣を待つことなくじっくりと拝観することができました。静かな三十三間堂で千手観音像にじっと見入る女子生徒の横顔、それを優しく見守る男子生徒の姿が印象的でした。現在は違います。清水寺の参道はすれ違うことも困難な程混み合っています。皆さんの訪れたあの季節だけが空いていたのです。晴天にも恵まれました。新型コロナウイルス感染拡大によって、大変なことばかりが強調されますが、幸運なこともあったのです。

とはいえ、日常生活は、様々な制約や急な変更も要求されました。その度、みなさんは臨機応変に対応してきました。やるかやらないか、行くか行かないか、自分で決めなければならない場面、我慢しなければならないことも沢山あったでしょう。

 

11月から12月にかけて、3年生全員と面談を行いました。面接試験が有る無しに関わらず、面談をしたことで、一人ひとりに輝く個性があることを改めて感じました。自分の長所を理解し、趣味や特技を持ち、友達とのつき合い方などにしっかりとした自分の考えを持っていました。この世代は可哀そうな世代じゃない。臨機応変に対応できる柔軟性と強い個性を持つ、たくましい生徒達、それが皆さんの特徴です。これからのアフターコロナの世界において、ひときわ輝く世代になると確信しています。

 

     

 

そんな皆さんの卒業にあたり、一つの言葉を伝えます。「至誠(しせい)」。きわめて誠実なこと、まごころです。そして、「至誠通天(至誠天に通ず)」。誠の心を尽くして行動すれば、いつか天に通じて認められる、という意味です。これは、江戸時代末期の長州藩、今の山口県で塾を開いていた吉田松陰という人が塾生に説いた言葉です。この塾から初代総理大臣、伊藤博文や高杉晋作など、世の中を変えた多くの人材が輩出されています。誠実に何をするか?それは当たり前の事でもよいのです。例えば、あいさつです。掃除です。毎日の授業です。家のお手伝いです。返事をすることです。花に水をあげることです。そして、何のためにやるか、という目的が重要です。「自らあいさつすることで、相手を尊重し、積極的な自分をつくる」というように目的を自分で決めて、徹底して取り組むことが大切です。

3年生の保健委員の子が言いました。「保健委員会の仕事は目立たないけれど大切な仕事です」。その目的は、「クラスのみんなの健康を守るため」。そんな思いで日々の自分の役割・仕事を誠実に行うこと、それも「至誠」です。

私には何の才能も特技もありませんが、継続して自分の仕事に真剣に取り組み、ボランティア活動も続けてきました。それが私の「至誠」です。結果、いろいろな人達と知り合い、人生が豊かになりました。そして、我孫子中学校に赴任して皆さんと出会うことができました。私の思いは天に通じました。「ありがとう」という気持ちでいっぱいです。

 

 思い出します。11月の合唱コンクール、3年生の美しい歌声に感動しながら、歌詞の一部を書き取りました。

「ぼくらの別れを誰かが出会いと呼んだ」。「信じることは生きる源」。

卒業式は別れの日ですが、これからたくさんの人との出会いが待っています。新しい友や先生と話し、学び、様々な楽しい経験を積んで大きく成長していくことを私は信じています。それでも迷うこと、苦しい時もあるでしょう。時々、空を見上げてください。

「同じ空の下、どこかで僕たちはいつもつながっている」。

我孫子中の友達も同じ空の下で、迷いながらも頑張っています。私も、先生達も、時々空を見上げて、皆さんにYELLを贈りたいと思います。

 

 保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。これまでの本校の教育活動への、ご理解とご協力に深く感謝します。

結びになりますが、卒業生がそれぞれの幸せを自分の力で見つけることを、そして、ご家族のご健康とご多幸をお祈りして、式辞と致します。

 

令和5年3月15日

  我孫子市立我孫子中学校 

校長   鈴木 与志実