学校長からのお話を掲載しています
平成24年度 第1学期始業式 あいさつ
みなさん、おはようございます。今日から平成24年度第1学期が始まります。みなさんは、上学年に進級した喜びとうれしさで胸をふくらませていることと思います。誰もがもつ、この新鮮な気持ちは、「がんばるぞ!」というエネルギーを与えてくれます。
3年生は最高学年となります。学校の顔として、思う存分活躍してほしいと思います。また、2年生は中堅学年となります。3年生からリーダーとしての心構えを学び、活躍の場を広げてほしいと思います。
さて、平成24年度のスタートにあたり、みなさんに広げてほしい「伸び代」について、3つのことをお話します。
1つ目は、「心の伸び代」です。自分からあいさつができる、自分から落ちているゴミが拾える、困っている人を見かけたら助けてあげられるなど、気持ちを形に変える行為をぜひ実践して、「心の伸び代」を広げてほしいと思います。
2つ目は、「学力の伸び代」です。指名されたら「ハイ」と返事ができる、自分の考えを発表できる、授業に集中できる、必ず予習・復習するなど、授業に楽しく取り組む姿勢をつくりあげ、「学力の伸び代」を広げてほしいと思います。
3つ目は、「体力の伸び代」です。体育の授業は見学しない、思い切って体を動かす、部活動を休まない、練習がつらくても逃げないなど、体を鍛えることは当たり前だという意識をもち続け、「体力の伸び代」を広げてほしいと思います。
これらの3つの「伸び代」を広げるためには、みなさんの努力が欠かせません。努力すれば、必ず「伸び代」を広げられます。この努力こそ、みなさんの心の拠り所である校訓「聖心」につながるものです。
今日は、いよいよ新入生を迎えます。全校生徒は412名になります。みなさん一人一人が努力し、力を発揮しようとすれば、益子中はますます輝きを増してくるでしょう。「どこにも負けない益子中」「楽しく笑顔あふれる益子中」を目指し、心を高めていきましょう。みなさんの活躍を期待しています。
「気持ちを形に」(『生徒会誌』第52号)
東日本大震災直後からテレビのCMが一時、ほとんどACジャパン(旧公共広告機構)のものとなりました。そのCMの中で、特に心に残る言葉があります。「心は誰にも見えないけれど、心遣いは見える。思いは見えないけれど、思いやりは誰にでも見える。その気持ちを形に。」という内容です。
本校生徒会は、この東日本大震災への義援金に協力しようと呼びかけ、いち早く立ち上がりました。「がんばろう日本」「がんばろう益子中」の掛け声とともに、十一万六千円余の義援金が集まったのです。また、被災された東北地方の岩手・宮城・福島各県の中学生に「空はつながっていますから、元気を出して、がんばってください。」と、励ましの手紙も書いています。このような気持ちを形にする真摯な行為こそ、本校生徒会の真骨頂とも言えます。
これらの貴重な経験を踏まえ、今年度の生徒会活動の方針を「自主」「貢献」としました。そして、この方針の下に、すべての活動をしっかりと展開してきたことに賛辞を呈したいと思います。
特に、自主的な「あいさつ運動」は、元気と明るさを学校から地域へ、地域から地域へと発信してします。自主的な「勤労・奉仕的な活動」では、校舎周辺の掃除から側溝掃除へと範囲を広げ、さらには学校近くの公共施設周辺の除草作業にも及ぶようになりました。また、校内の掲示物にいたずらなどが見られると、毎朝クラスを訪問し、「掲示物は心に栄養を与える情報源です。大切に扱いましょう。」と呼びかけました。このような自主的な活動は、生徒たちの心を動かし、規範意識を大いに高めてくれました。
それから、寒い冬の朝、誰よりも早く登校し落ち葉を掃く生徒、自分一人でも正門に立ち「あいさつ運動」をする生徒、信号機のそばに立ち教師と共に交通指導をする生徒など、自主的な活動が多く見られ、気持ちを形にする行為が広がっています。これも、「自主」「貢献」という生徒会活動の座標軸がしっかりしているからです。まさに本校生徒会の組織は、エリート集団を成していると言えます。スペインの哲学者オルテガは、次のように説いています。
「エリートとは、断れば断ることができる責務をあえて受諾するものである。自分自身に困難を積み重ねるものである。」(『大衆の反逆』)より)
自分にとって都合のよいことばかり求めていては、エリートにはなり得ません。本校生徒会は、常に周囲の人、学級、学校、地域のことを優先する姿勢で、あえて困難なことと思われることでも、自ら引き受け取り組んできています。
学校文化は、生徒会が主体となり生徒のたゆまぬ努力によって創られます。その積み重ねにより生徒会活動は厚みを増し、みなさんの学校生活に自信と活力を与えるのです。気持ちを形にする真摯な行為が持続できることを願っています。
平成23年度修業式あいさつ
みなさん、おはようございます。今日は、平成23年度の最後の授業の日です。欠席がない人は、今日で198日登校したことになります。ただ今、第1学年代表の大山佳穂さん、第2学年代表の小崎 駿さん、それぞれに修了証書(通知票)を授与しました。これでみなさんは、4月1日から、全員進級することになります。おめでとうございます。
学校では、みなさんが知っているように、学期ごとに、学校生活の節目となる始業式や終業式を行っています。今日は、1年の最後の節目となる修業式です。学業を修める式のことです。1年間の学校生活を振り返り、学力の面、心・生活の面、健康・体力の面から、自分の成長を見つめ直すよい機会でもあります。
この後、学級活動の時間に、担任の先生から通知表が手渡されます。そこには、自分自身の努力の様子が記されています。自分が努力し、成し遂げられたことについては、自分を褒めてあげてください。反対に、努力はしたが成果が見られなかったことについては、今後の課題として、努力を続けてほしいと思います。
ここで、みなさんにぜひ話したいことがあります。それは、「“気持ち”を“形”にする真摯な行為は、益子中学校のよき伝統である」ということです。このことは、卒業式にも話をしました。
実は、ある老婦人から手紙をいただきました。その手紙を紹介します。
昨日3月16日、日赤に行って来ました。茂木駅行きの帰りの列車で、私の隣に座っていたおばあさんにあいさつをし、益子駅で降りた学生がいました。おばあさんはその学生に、「ありがとうございました。」と、御礼を言っていました。
そして、学生が降りた後、そのおばあさんは、私に「あの学生さんね。真岡駅の階段まで下りたのに、わざわざ上がって来て、手を貸してくれたの。ありがたかった。ありがたかった。」と何度も言って、話しかけてきました。名前は聞かなかったそうですが、この3月に益子中学校を卒業して、4月から高校生になるそうです。
足腰が不自由な者にとって、階段の上り下りは不安なものです。それで、いつも私は、北真岡までタクシーで行き、北真岡より列車に乗っています。そのおばあさんは85歳だそうで、私と同じく日赤に行った帰りの人でした。昨日、うれしいことがありましたので、お便りしました。
心が和みました。
私も、この手紙を読ませていただき、とても心が和みました。そして、卒業したばかりの3年生が、益子中のよき伝統を受け継ぎ、実践してくれていることにうれしさと喜びを感じています。
温かい心が温かい行為になり、優しい思いが優しい行為になるとき、心も思いも、初めて美しく生きるのです。それは、人が人として生きることだからです。
みなさんは、いよいよ4月から上学年への階段を上り始めます。その一段一段は、みなさんにとって、希望と喜びに満ちた階段でなければなりません。そして、益子中のよき伝統をしっかりと受け継いでいこうと心に誓う階段であってほしいと思います。
最後に、明日から春休みに入りますので、くれぐれも交通事故や事件等に遭わないよう安全な生活に心がけてください。それでは、4月9日の始業式に元気な姿を見せてください。終わります。
卒業式 式辞
そこはかと、春の息吹が感じられる、今日の佳き日に、益子町副町長 法師人 弘 様、 益子町議会副議長黒子秀夫 様をはじめ、多数の御来賓の皆様の御臨席と、保護者の皆様の御列席を賜り、ここに平成23年度卒業式が盛大に挙行できますことは、私たち教職員にとりましても、この上ない喜びであります。御臨席賜りました皆様に、心より御礼申し上げます。
さて、128名の卒業生のみなさん、そして保護者の皆様、卒業おめでとうございます。みなさんの晴れの門出を祝福します。
ただ今、一人一人に卒業証書を渡しながら、みなさんと共に過ごした、この一年間の充実した日々を思い出していました。卒業生のみなさんは、校訓「聖心」を胸に、学習、部活動、行事、募金活動や勤労・奉仕活動などに熱心に取り組みました。そして、一人一人がもてる力を出し切り、自分自身の伸び代を広げてくれたことに、大きな喜びとうれしさを感じています。
昨年3月11日には、未曾有の東日本大震災が起きました。その直後に、「空はつながっていますから、元気を出して、がんばってください。」と、みなさんは、被災地の人たちのために、いち早く義援金の協力に立ち上がりました。とても感動しました。そのような「気持ち」を「形」にする真摯な行為は、益子中学校のよき伝統であり、みなさんがこれまで実践を積み重ねてきた「自主的な活動」そのものであります。
私はみなさんと、すてきな出会いをしてから早1年、この間、みなさんのすばらしい自主的な活動に触れ、多くの喜びとうれしさを味わいました。みなさんに出会えて、本当によかったと実感しています。
自主的な「あいさつ運動」では、元気と明るさを学校だけでなく、地域にも広げようと、年間を通じて実践してくれました。その取組の様子は、新聞にも掲載され、地域のみなさんから賛辞をいただきました。みなさんにとっても、うれしかったに違いありません。
また、自主的な「勤労・奉仕活動」についても、みなさんのリーダーシップのお陰で、校舎周辺の掃除から側溝掃除へと、活動の範囲が広がりました。台風直後の側溝は、詰まった落ち葉や小枝で、水があふれ出すという状況が続いていましたが、それをみなさんは、時間をかけて、きれいに取り除いてくれました。どれほどありがたかったか、言葉では言い尽くせないものがあります。
それから、自主的な活動として、部活動や学校行事での活躍があげられます。ソフトテニス部の関東大会出場をはじめ、多くの部が郡市大会や県大会で大活躍しました。文化活動もすばらしいものがありました。学校音楽祭や県吹奏楽コンテスト、下野教育美術展や陶芸展などでも、優秀な成績を収めました。遅くまで自主的に取り組み、努力した結果だと思います。
そして、運動会では、「元気を発信!クール益中~聖が丘の頂点へ~」のスローガンの下に、クラスの力を結集し、全力で優勝を目指しました。聖が丘祭の合唱コンクールでは、さすが三年生と、感動させてくれた各学級の歌声の深さに、胸がいっぱいになりました。
これらすべてのことに、共通していたことがあります。それは、「よりよく生きるために」全力を尽くすということです。どんなことでも、心を一つにしてやれば、ここまでできるのだということを、様々な自主的な活動を通して、後輩である1・2年生に示したと思います。私はみなさんと出会えて、本当に、本当によかったと思います。
さて、みなさんは、いよいよ自分の選んだ道へ、新たな第一歩を踏み出します。みなさんの門出に当たり、二つのことを話します。
一つ目は、「失敗を恐れずに、チャレンジしてほしい」ということです。みなさんにとって望ましいのは、失敗を恐れたり、困難から逃れることではなく、それを乗り越えていくたくましさであり、行動力だと思います。迷いや苦しみ、挫折などに出会いながら、その底を流れる本当の自分の願いや生き方に目覚めることに大きな意義があります。
スペインの哲学者オルテガは、「断れば断ることができる責務を受諾する。自分自身に困難を積み重ねる人が、本当のエリートである」といっています。人間は、誰でも困難なこと、大変なことは、やりたくありません。しかも、「頼まれても、絶対引き受けたくない。」「断れるものなら、断りたい。」という、逃げ道を用意します。この逃げ道は、決して自分のためにはならないということです。それは、自分の可能性を閉ざすことであり、自分の伸び代を狭めることにもなります。どうか、失敗を恐れずに、チャレンジしてほしいと思います。
二つ目は、「感謝の気持ちを忘れないでほしい」ということです。みなさんが今日こうして、卒業の日を迎えられたのは、決してみなさん一人だけの力ではありません。いつも身近にいて、温かく励ましてくださったお父さん、お母さんや家族の愛情を忘れてはなりません。みなさんをいつも大きな心で、見守ってくださっていた、地域の方々の存在を忘れてはなりません。常に、周りの人に対して「おかげさまで、ありがとう」という感謝の気持ちを持ち続けてください。また、今までお世話になった、家族や地域のために、貢献できる人になってほしいと思います。
ここで、保護者の皆様に申し上げます。お子様の御卒業、誠におめでとうございます。お子様の立派に成長した姿を目の当たりにし、感無量のことと思います。心よりお慶び申し上げます。また、この3年間、本校教育に対し、格別の御理解と御協力を賜り、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
卒業生のみなさん。私はみなさんと出会い、たくさんのすばらしい思い出をつくることができました。また、多くの感動を味わうこともできました。本当にありがとう。みなさんは、私の希望です。そして、益子中学校の希望です。卒業生のみなさんの限りない前途を祝し、式辞といたします。
第9回 全校集会「東日本大震災から間もなく1年を迎えて」
みなさん、こんにちは。昨年、卒業式後の3月11日、午後2時46分ごろ、今までに経験したことのない、大地震が発生しました。この東日本大震災から、早1年が経とうとしています。
今もって、あのときの、あの瞬間の怖さを忘れることはないでしょう。みなさんは生徒会を中心に、被災された人たちのために、義援金に協力しようと呼びかけ、いち早く立ち上がりました。「がんばろう日本」「がんばろう益子中」の掛け声とともに、11万6,000円余の義援金が集まりました。また、被災された東北地方の岩手・宮城・福島各県の中学生に「空はつながっていますから、元気を出して、がんばってください。」と、励ましの手紙も書いています。また、その中学生のみなさんから御礼のお手紙もいただいています。
この大震災で、今だに苦しい生活を余儀なくされている、多くの方々がいるという現実を忘れないでください。今年は3月11日が日曜日ですので、学校として集会をもつことはできません。それで、今日のこの時間に、みなさんにお話をしました。
それでは、今から栃木県教育委員会教育長の須藤 稔先生のメッセージ「とちぎで学んでいる子どもたちへ」を読み上げます。みなさんも一緒に、そのメッセージに目を通してください。
とちぎで学んでいる子どもたちへ
昨年3月11日に発生した東日本大震災から、間もなく1年が 経とうとしています。みなさんの中には、住み慣れたふるさとを離れ、ここ栃木で生活を送っている人もいることと思います。
この大震災からの復旧・復興は、まだまだ困難な状況にあります。このような中で、小学生のみなさんが、被害を受けた子どもたちに応援の手紙や折り紙を送ったり、中学生のみなさんが、 被災地の訪問先で応援メッセージを書いた手作りの横断幕を贈ったり、また、高校生のみなさんが、炊き出しや仮設住宅での交流会に参加するなど、被災地の方々のために、とても素晴らしい活動をしている話を聞きました。みなさんが自ら判断して行動している姿を知り、大変うれしく思っています。
みなさんは、この1年間を振り返って、今まで当たり前だっ たことはなぜ当たり前だったのか、家族の存在や人と人が助け合うとはどのような意味があるのか、人と人との「絆」とは何かなど、改めて考えて欲しいと思っています。そして、この1年間に経験したことや考えたことを踏まえ、自分にできることを、自らの強い意志と責任をもって行動し、自分の将来の夢や希望の実現 に向けてチャレンジして欲しいと思っています。
“みなさんの若い力”が、これからの“とちぎ”そして“日本”に求められています。
栃木県教育委員会教育長 須藤 稔
最後に、黙祷を捧げたいと思います。
「黙祷」(1分間)
ありがとうございました。家に帰ったら、家族のみなさんに、このメッセージをぜひ伝えてください。終わります。