2024年8月の記事一覧
【都鳥がみた古代】八木崎遺跡の春日部高校調査地点
八木崎遺跡は、東武アーバンパークライン(野田線)八木崎駅北側に広がる遺跡で、北東側の浜川戸遺跡とともに、古隅田川によって形成された広大な自然堤防上に立地します。
八木崎遺跡では、これまで、6回の発掘調査が行われ、奈良時代・平安時代の竪穴建物跡が約60軒、確認されています。このうち最も広い面積を調査し、53軒の竪穴建物跡が確認されたのが、平成9年(1997)に行われた第1次調査、埼玉県立春日部高等学校の改修工事に伴う調査です。
八木崎遺跡春日部高校地点の発掘調査空撮写真(『八木崎遺跡』埼玉県埋蔵文化財調査事業団報告書第281集)
校舎改修に伴う春日部高校の発掘調査(八木崎遺跡第1次発掘調査)は、平成9年8月1日から12月31日まで行われました。調査対象面積は9,000平方メートルです。グラウンドとして使われていた新校舎建設予定の学校敷地東側の部分で行われました。
調査では奈良時代・平安時代の竪穴建物跡53軒のほか、土壙(どこう)105基、井戸跡55基、溝13条(土壙、井戸跡、溝は中近世のものを含む)などが確認され、時期が判明している竪穴建物は、8世紀代のものが14軒、9世紀代のものが33軒でした。遺物は土師器や須恵器、鉄製品などが発見されました。出土遺物の中には、今回の展示のポスターを飾っている「奉念随□道足」と刻書された石製紡錘車(せきせいぼうすいしゃ)もあります。
奈良時代に制定された律令の国郡里制(こくぐんりせい)では、武蔵国と下総国の国境は、現在の古隅田川であったと考えられています。古隅田川は、現在は国道16号の北側に直線状に流路を改修されていますが、改修前は春日部高校の西側を流れていました。
夏季展示「都鳥がみた古代ー埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」では、八木崎遺跡の春日部高校調査地点で発見された多くの資料を、埼玉県立さきたま史跡の博物館からお借りし、展示しています。国境に立地する八木崎遺跡の地に住んだ当時の人々が、国境をどのようにとらえていたか、展示資料から思いをはせていただければ幸いです。
参考文献:『八木崎遺跡』埼玉県埋蔵文化財調査事業団報告書第281集 2002年
9月1日開催のリレー講演会は残席がわずかとなっています。お早めにお申し込みください。
●春日部市郷土資料館 第70回企画展示
東部地区文化財担当者会40周年記念リレー展示「都鳥が見た古代ー埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」
会期:令和6年7月20日(土)から9月1日(日)
開館時間:午前9時から午後4時45分
休館日:毎週月曜日・祝日
会場:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15・048-763-2455)
共催:東部地区文化財担当者会
(関連イベント)
(残席わずかですーお早めにお申し込みください)
●東部地区文化財担当者会40周年記念リレー講演会「考古学から埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代を考える」
埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代の遺跡や資料について、東部地区文化財担当者会考古部会のメンバーが報告します。
講師:鬼塚知典(春日部市)、守谷健吾(杉戸町)、篠田泰輔(行田市)、杉山和徳(白岡市)、関絵美(八潮市)、油布憲昭(幸手市)
日時:9月1日(日)13:30から17:00
場所:教育センター視聴覚ホール
定員:100人(申込順)
費用:無料
申し込み:7月10日(水)から電話(048-763-2455)、直接、電子申請
●ミュージアムトーク
企画展示会場で郷土資料館学芸員が展示解説を行います。
日時:8月25日(日)各日10:30~、15:00~(30分程度)
場所:郷土資料館企画展示室
費用:無料
申し込み:不要
郷土資料館【手作りおもちゃクラブ】を開催しました
令和6年8月18日(日) の午前と午後各1回ずつ、郷土資料館手作りおもちゃクラブ「紙でっぽう・筒型飛行機を作ろう!」を開催しました。
先月、今月と暑い日が続きますが、今回もたくさんのこどもたちが参加してくれました♪
まずは、約100年前に使われていた蓄音機でレコードを聴いたり、春日部の伝説にまつわる紙芝居の読み聞かせを行いました。
資料館で使用している蓄音機はSP盤の約4~5分程度のものですが、針(鉄製)が丸く削れてしまうため、1回ごとに取り替えます。実はそれだけ針には力がかかっています。
そして、おもちゃ作りでは「紙でっぽう」と「筒型飛行機」を作りました!
紙でっぽう作りでは、みんなしっかりと話をきいて、丁寧に折り進めていく姿が印象的でした。
「パァンッ」と快音を響かせていましたね!
筒型飛行機は郷土資料館の手作りおもちゃクラブで作るのは初めての品になります。
一般的な三角に尖った紙飛行機とは、雰囲気の違う飛び方で、ふんわり、ひらひらと滑空するように飛びます。
ちょっと高い所から飛ばすと滞空時間が長くなるので、特別に階段の踊り場からも飛ばしてみました。
飛ばし方や、空気の抵抗などもあり、なかなか真っ直ぐ飛ばすのは難しいのですが、それでも生き物のように飛んでいく姿にこどもたちは喜んでくれたようです♪
お土産の缶バッジ作りは、今日の作ったおもちゃ“筒型飛行機”のイラスト!
今回は特にご新規の方が多く、初めての缶バッジ作りを楽しんでくれたようです!
常連さんは、新しいイラストの缶バッジを手に入れてご満悦でした♪
次回の手作りおもちゃクラブは10月に開催を予定しています。
詳しくは広報紙等に掲載いたしますので、ぜひご参加ください!
8/15ミュージアムトークを開催しました
8月15日(木)、企画展示「都鳥が見た古代」のミュージアムトークを開催しました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
名にしおはば いざこと問はむ都鳥 わが思ふ人はありやなしやと
この歌は、平安時代に書かれた伊勢物語の東下りの章で、在原業平が武蔵国と下総国をへだてる隅田川をわたる船で詠んだ歌です。川面に見慣れない鳥が見えたので船頭にたずねたところ、都鳥(みやこどり)と答えたのを聞き、都に残した恋人のことを思った歌です。
春日部市内を流れる古隅田川は、かつて武蔵国と下総国の国境であり、都鳥の歌の舞台であるという考えは江戸時代からみられました。粕壁宿の名主であった関根孝煕(せきねこうき)は、業平の故事にちなみ、「都鳥の碑」を春日部八幡神社内に建てました。
都鳥は、学名をユリカモメといい、春日部市の市の鳥に指定されています。赤黒いクチバシと足、耳のあたりの黒いブチが目印です。愛くるしい表情から、関東から九州にかけて8つの自治体で市の鳥などに指定されています。
ユリカモメは夏の間はロシアやアラスカにいて、10~11月ごろから冬を越すために日本やインドなどに渡ってきます。北に戻る前の2~3月ごろ夏羽となり、頭部の毛が黒くなります。
群れで生活し、春日部周辺で見られるユリカモメは、昼間は川の周囲で過ごし、雑食で何でも食べます。夜は川に沿って東京湾に戻ります。
ミュージアムトークでは、都鳥=ユリカモメは正しいのか?という話題や、春日部の古隅田川と東京都の葛飾区、足立区境を流れる古隅田川、墨田区の隅田川の関係について、みなさんと意見を交換しました。あらためて「都鳥」や「隅田川」を考え直す機会になりました。
ミュージアムトークは、残り1回、8月25日(日)に開催予定です。ミュージアムトークは申し込み不要です。お時間までに企画展示室にお越しください。
また9月1日開催のリレー講演会は残席がわずかとなっています。お早めにお申し込みください。
●春日部市郷土資料館 第70回企画展示
東部地区文化財担当者会40周年記念リレー展示「都鳥が見た古代ー埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」
会期:令和6年7月20日(土)から9月1日(日)
開館時間:午前9時から午後4時45分
休館日:毎週月曜日・祝日
会場:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15・048-763-2455)
共催:東部地区文化財担当者会
(関連イベント)
(残席わずかですーお早めにお申し込みください)
●東部地区文化財担当者会40周年記念リレー講演会「考古学から埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代を考える」
埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代の遺跡や資料について、東部地区文化財担当者会考古部会のメンバーが報告します。
講師:鬼塚知典(春日部市)、守谷健吾(杉戸町)、篠田泰輔(行田市)、杉山和徳(白岡市)、関絵美(八潮市)、油布憲昭(幸手市)
日時:9月1日(日)13:30から17:00
場所:教育センター視聴覚ホール
定員:100人(申込順)
費用:無料
申し込み:7月10日(水)から電話(048-763-2455)、直接、電子申請
●ミュージアムトーク
企画展示会場で郷土資料館学芸員が展示解説を行います。
日時:8月25日(日)各日10:30~、15:00~(30分程度)
場所:郷土資料館企画展示室
費用:無料
申し込み:不要
春日部市立の小学校・校歌歌詞調査( #博物館実習生 の記録)
本日の実習では春日部市立小学校の学校要覧を用いて各小学校の校歌を調べ、その歌詞を書き出す作業を行いました。
これを行うきっかけとしては、実習生の私が既に無くなってしまった中野中学校の卒業生であり、その中野中学校の校歌がどうしても思い出せなかったということにあります。
私以外にも、自分が卒業した学校がもう無くなってしまったために校歌を知りたくても知ることができない人がいるのではないかと考えて、この作業をさせていただけることになりました。
旧庄和町も含めた春日部市立の小学校の校歌歌詞をすべて書き出してみたところ、いくつかの共通点が見つかりました。
まず、その小学校がある土地で感じられる自然にまつわる歌詞がどの校歌にも入っていたことです。最も多かったのは緑、川、山、風などでした。また、その土地の歴史に関係する歌詞も多かったです。例えば、春日部市が位置する埼玉県東部地区が武蔵国であったことから「むさしの」という歌詞が使われていたり、宝珠花小学校では、過去に大規模な町おこしが行われたことから、「そのときのご先祖様たちのように大きな夢や精神を持とう」といった歌詞が使われていたりなどです。
さらに、自然のことだけでなく、学校に通う児童たちがそれらの自然の中で学び、希望を持って健やかに育っていくようにという願いが込められた歌詞がすべての校歌に発見できました。
小学校の校歌は、すべての子どもたちがその土地の自然や歴史を受け継ぎ、自らの知恵を磨きながら健康に育っていってほしいという教員たちのメッセージを表しているのだと言えそうです。
最後に、私が最も印象に残った校歌を紹介します。それは、正善小学校校歌です。
この校歌は一番の最後の歌詞が二番の歌詞の最初に、二番の歌詞の最後が三番の歌詞の最初につながっていて物語性が感じられます。また、一、二、三番すべてに同じフレーズが三回繰り返されている部分があるのですが、強い意志が伝わってくる良い校歌だなと思いました。
体験講座みて!さわって!dokidoki音楽づくりを開催しました
8月10日(土)、春日部市郷土資料館恒例の体験講座「みて!さわって!dokidoki音楽づくり」を開催しました。
この講座は、国立歴史民俗博物館の中村耕作先生と國學院大學栃木短期大学の早川冨美子先生のご協力により、毎年夏休みに、郷土資料館で開催しており、今年で4回目になります。縄文土器を観察し、文様のパターンやイメージなどをみたりさわったりしながら、縄文時代にも存在した自然素材を使って音で表し、グループで音楽を作る講座です。
今年度は、筑波大学付属小学校の高倉弘光先生にもご協力いただきました。
今回のdokidoki音楽づくりはおおまかに次のような流れで行いました。
1.縄文時代の人のくらしを学ぶ
2.土器のもようのつけ方を学ぶ
3.音楽の作り方を学ぶ
4.縄文時代にもあった素材を使って音を出す
5.土器のもようなどをもとにグループで音楽を作る
今回は、高倉先生の音楽の作り方のお話がとても楽しく、各グループ楽しんで音楽を作ることができました。
↑縄文土器と現代の鍋を比べ、さらに縄文土器の時期の違いを学びました。
↑ 國學院栃木短期大学の学生さん作成の年表をつかって縄文時代の長さを知りました。
↑みんなで体を使ってリズムをとってみました。
↑縄文時代にもあったさまざまな自然素材で音を出してみました。
↑自然素材で、みんなでリズムをとってみました。
このあと、博物館実習生も含めた4つのグループに分かれて、音楽を作り発表しました。また今回は、アンケートとともに土器の観察カードを記入してもらい、夏休みの思い出として持ち帰っていただきました。
暑い中、お越しいただいた先生方、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
来年の夏休みにも実施しますので、土器が好きな人や音楽が好きな人はぜひ参加してください。