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2022年11月の記事一覧

上沖小学校第3学年が郷土資料館を見学しました

令和4年11月8日(火)、9日(水)に上沖小学校第3学年が郷土資料館を見学しました。今回は社会科地域学習の一環として、郷土資料館と羽子板づくりの見学とのことです。

 

上沖小学校第3学年は5クラスと大人数!なので初日が1~3組、2日目が4~5組の見学という2日間に分けての日程でした。

 

常設展示解説

常設展示室では竪穴式住居(たてあなしきじゅうきょ)や宿場模型の周りで解説を受けました。

竪穴式住居の炉(ろ)には料理、暖房、照明などの役割があり、1つの設備で複数の役目をもっていたことにびっくりした様子でした。

 

企画展示室解説

企画展示室では、まだ電気が各家庭に通っていなかった約60年くらい前の道具や暮らしについて学びました。炭を使ったアイロンや七輪(しちりん)など、昔の生活は火とともにありましたが、現代では、電気アイロンやキッチンのIH化などもあり、だんだんと火を見る機会少なくなってきました。展示された実物を見ることで、現代との違いを感じてもらえたでしょうか♪

 

千歯扱き体験

自由見学風景

千歯扱き(せんばこき)の体験の時には拍手や歓声が上がり、盛り上がりを見せてくれました!

なんといっても印象的なのが、質問をたくさん受けたことです!「(宿場模型をみて)この通りが商店街のところですか?」「縄文時代と弥生時代の分かれ目は何ですか」などなど、熱心にメモを取りながらきいていました。

質問がでるということは、興味・関心、学習意欲がある証拠です!すばらしい!

 

賑やかで楽しそうに見学してくれた上沖小学校のみなさん、ぜひまた郷土資料館に遊びに来てください♪

【体験ワークショップ】紙でっぽう・ぶんぶんゴマをつくろう!

11月27日(日)に体験ワークショップを開催します。

体験ワークショップでは蓄音機の上演や昔のおもちゃ作りをします。

今回作る昔のおもちゃは「紙でっぽう」と「ぶんぶんゴマ」です。

 

紙でっぽう、ぶんぶんゴマ写真

紙でっぽうは、横長の紙を折りたたんで作る簡単なおもちゃです。のりもハサミもいらないので小さなお子さんでも作れちゃいますよ♪

振ると「パァンッ!」と音が鳴るのでびっくりする子もいるみたいです!

ぶんぶんゴマは、厚紙に紐を通すだけで作れるおもちゃです。紐をねじってから両側に引っ張ることで厚紙をグルグルと回します。うまく回すと「ブゥゥン!・・・ブゥゥン!」と音を立てて高速回転します!ちょっと遊び方にコツが必要なので、何度もチャレンジしてみましょう!

 

体験ワークショップは申し込み不要です。おもちゃの材料も用意してあります!

当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!

 

【体験ワークショップ】

日時:令和4年11月27日(日)午前10時30分~・午後2時~

場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)

内容:蓄音機の上演

   紙芝居

   昔のおもちゃづくり(紙でっぽう・ぶんぶんゴマ)

費用:無料

申込:不要(開催時間までに郷土資料館におこしください)

※参加者多数の場合、人数制限をさせていただく場合がございます。当日はマスクを着用いただき、体調が優れない場合は参加をお控えください。

考古学講座第2回を開催しました

 

 10月29日(土)に考古学講座第2回を開催しました。

 講座風景

本日は、1.発掘調査の方法、2.層位学、3.春日部市の縄文時代の遺跡についてお話をしました。縄文時代については、現在、様々な研究がすすめられており、ばらばらと一貫性のない紹介となってしまいました。次回以降、型式学や年代の決定のなかでも、縄文時代のことを補足的に触れていこうと思います。

さて、そのようなとりとめのない話でしたので、アンケートに多くの質問をいただきました。そのなかのいくつかをとりあげます。

・春日部は関東ローム層の上の土が薄い地域という話があったが、風の影響か?土の堆積が多い地域では、どれくらい堆積しているのか?

春日部市付近の台地上の場合、関東ローム層堆積後の時代に、ローム層上に土となる物質の飛来が少ないということがローム層までの土層が少ないことの理由です。関東ローム層も長い時間を経て、火山性の物質が主に風の作用によって堆積したものです。講義でも紹介しましたが、ローム層は噴火による火山灰そのものではなく、火山付近に堆積した火山性の物質が風によって、移動し再堆積したものと考えられています。

一方、春日部市の低地部分では、主に縄文海進の影響で、縄文時代以降、有楽町層と呼ばれる層が約40m堆積しています。また火山に近い地域では、火山灰層が厚く堆積します。金井東裏遺跡(群馬県渋川市)では、6世紀の2回の榛名山噴火の2mを超える火山灰層の下から鎧をつけた古墳時代の人骨が発見されました。

 

・神明貝塚の組合せ土器の用途は?

用途は、多く出土している東北の例でも、煮炊きに使われた痕跡はないことから、お墓などに使われたのではと推測されています。詳しいことはわかりません。

 

 ・外国にも貝塚があるか?

海外にも貝塚はあります。中緯度の地域に多いようです。

   

・古隅田川でシジミがとれたが、ヤマトシジミか?

昭和30年ごろまでは古隅田川でシジミがとれたという話はありますが、ヤマトシジミかどうかはわかりません。ちなみに、現在の中川では、松伏町あたりから潮の満ち引きが確認され、汽水域となっています。

 

 ・神明貝塚の人骨の年代測定は行われているか?

骨片から放射性炭素年代測定を行っており、3体とも3988~3834cal.BPの範囲であるという結果が出ています。

cal.:較正された年代を示す。半減期と14C生成量が補正される。

BP:放射線炭素年代測定の基準である1950年から何年前かを示す。

 

来月は、1.分類と型式学、2.春日部の弥生時代についてお話します。

 

幸松小4年生のお手紙に「めがね橋」を学ぶ

先日、幸松地区の水害の歴史について、出張授業にうかがいましたが、幸松小4年生のみなさんより、そのお礼のお手紙をいただきました。出張授業(でばりぃ資料館)では、幸松地区の水害の歴史、とくに幸松小の皆さんにとって身近なめがね橋がただの橋じゃない!ことを説明しました。

どんな話をしたのか、めがね橋のなにがすごいのか、幸松小の皆さんが手紙で説明しながら、お礼を書いてくれました。素晴らしい手紙のお礼として、みなさんに紹介することで、再度めがね橋とはなにかを紹介してみたいと思います。

画像:手紙1

その通り。めがね橋は明治24年(1891)に完成した古い橋です。そして、ただの橋じゃなくて、樋門(ひもん)なのです。樋門は川からの逆流を防ぐために造られました。古さと逆流を防ぐ点が「すごい」と思ってくれたようです。「なくてもいい」のではなく、必要だから造られた、そして今ものこされていること、知ってもらえたようです。ありがとうございます。

 県内で2番目に古いレンガ樋門であるとともに、「めがね橋がさんがい(災害)からわたしたちを守ってくれていた」ことも知ってくれたようです。この点、幸松小の皆さんにとって、すごく重要です!ありがとうございます。

画像:手紙3

幸松小の皆さんは事前にめがね橋を見に行ったそうですが、そのときはよくわからなかったようですが、授業に接して、「せきばしら(堰柱)」「かくおとし(角落とし)」についてわかってくれたようです。そう、ここに板をはめて樋門にすることも理解してくれました。きっと、堰柱と角落としを知っている小学四年生は幸松小学校だけですよ!

その一方で、水害は「ちょっとこわい」とも感じてくれたようです。いやなことから目を背けず、歴史を学んで「こわい」と思うことも大事なことだと思います。ありがとうございます。

画像:手紙4

めがね橋を通学路にする子もいます。板が通るぐらいの「くぼみ」(角落とし)を再確認してくれたようですし、お家に帰ってお母さんにもお話ししてくれたようです。お家の方にもめがね橋のスゴさを伝えてくれてありがとうございました。

画像:めがね橋の絵

板を落として逆流を防ぐ状態の、めがね橋の挿絵を描いてくれた子もいました。堰柱と角落としも描かれ、きっちり板が落としてありますね!ありがとうございます。

画像:手紙4

めがね橋だけでなく、水塚(みづか)や用心船についてもお話ししましたが、幸松地区から江戸城にお米を納めていたという話も少ししました。幸松は米どころで、不動院野のもち米がとくに美味しいお米で、江戸時代の終わりごろ、江戸城の御膳に上納されていました。このことを感想に書いてくれた子がいました。趣旨から外れた、ちょっとマニアックな話題だったので、覚えていてくれて、とてもうれしいです。ありがとうございます。

画像:手紙5

社会科が苦手だった子も面白く感じてくれたようです。ありがとうございます。

社会科の学習は、国語や算数などの教科に比べると後回しにされがちですが、社会の成り立ち・仕組みを知るなかで、自分の位置を知る重要な教科だと思います。埼玉県、春日部市、幸松がどんな地域なのか、それが自分や世界とどうかかわるのかを考えながら、学べば、きっとこれからの社会科学習も楽しくなるはずです。 

授業で説明したこと、きちんと伝わっていたようで、うれしいです。あと、どんぐりをくれた少年からもお礼のメッセージをもらいました。ありがとう。

めがね橋のスゴさ、幸松の水害の歴史について、お家の方だけでなく、知らない人はきっと沢山いるでしょう。今度は、そのスゴさについて、郷土資料館のわたしではなく、幸松小のみなさんが伝えてくれたら、とてもうれしいです。みなさん、素敵なお手紙ありがとうございました。