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カテゴリ:郷土資料館

粕壁小第3学年が郷土資料館を見学しました

令和5年3月1日(水)に粕壁小学校第3学年が郷土資料館を見学しました。

 

粕壁小学校第3学年は全部で4クラス。1~4校時を使って1クラスずつ見学に来てくれました。

 

企画展示室見学風景

企画展示室では、昔の家庭で使われていた道具や学校で使用していた勉強道具などについて職員から解説を聞きました。

昔の粕壁小学校は今の郷土資料館資料館の位置にあったことなどを伝えると、「え~!そうだったんだ!」と、いい反応です(笑)

たくさん見た道具の名前もしっかり覚えて帰ってくださいね。

 

千歯扱き体験

続いては千歯扱き(せんばこき)を使った脱穀体験です。

体験した児童はマスク越しでも楽しそうな表情がうかがえました♪それでも楽しさだけではなく、手作業の大変さも感じ取ってもらえたようです。

 

宿場説明風景

宿場の模型を見ながら江戸時代の春日部の様子も学びました。粕壁小は粕壁宿の近くに位置しており、児童も宿場の通りをイメージしやすかったようで、現在の様子と比較して驚いている様子でした!

 

館内自由見学①

館内自由見学②

職員の話を聞く姿勢や、反応の良さなど、メリハリのある姿が印象的な粕壁小第3学年の児童さんたち!

郷土資料館は土曜日、日曜日も開館しています。粕壁小のすぐ隣にあるので、お休みの日にぜひ遊びに来てくださいね♪

歴史文化講演会 「直木賞の歴史と作家三上於菟吉」を開催しました!

令和5年2月25日(土)、午後2時から4時まで、視聴覚ホールにおいて、歴史文化講演会を開催しました。

令和5年2月25日 歴史文化講演会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年度本館では、鎌倉武士春日部氏と江戸時代末期の粕壁宿の住民について、それぞれ講演会を開催いたしました。

今回は趣向を変えて、明治24年(1891)に本市木崎地区に生まれ、昭和19年(1944)に幸松地区八丁目で亡くなった、大正~昭和前期の大衆作家、三上於菟吉についてをテーマに講演していただきました。

三上於菟吉は、市民や愛好家の方々による顕彰活動が熱心に行われている郷土ゆかりの作家です。

令和5年2月25日 歴史文化講演会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特に今回は、現代の文学賞の中でもっとも著名な賞と思われる直木賞と三上於菟吉との関係を、直木賞の由来となった直木三十五と三上於菟吉との親交を中心にお話ししていただきました。

講師にお迎えしたのは、ウェブサイト「直木賞のすべて」を運営し、『直木賞物語』(文春文庫)などのご著書もある、川口則弘先生です。先生には直木三十五と三上於菟吉の親交について、共同の出版事業や二人の個性などを説明されながら、詳しく解説していただきました。直木三十五の死後、三上於菟吉は菊池寛らとともに昭和10年の直木賞創設に関わり、初代の選考委員を務めました。

昭和9年 三上於菟吉・直木三十五との共著

 

 

 

 

 

 

当日は、50名近くの方々が熱心に受講され、市内のゆかりの場所などについての質疑がありました。

三上於菟吉顕彰会の方々による生誕130周年記念誌『三上於菟吉再発見』-会員のおひとりである川口先生のご寄稿もあります-の紹介もあり、たいへん実りある講演会となりました。

三上於菟吉顕彰会編集の本

郷土資料館では、今後も三上於菟吉をはじめ郷土ゆかりの人物について、展示や講演会を通じて皆様に紹介してまいります。

ぽぽらフェスティバルの展示で郷土資料館が紹介されています。

3月5日(日)まで、春日部市市民活動センター(ふれあいキューブ4階)で「春日部・?・クエスチョン」という展示がされています。この展示は、ぽぽらフェスティバル2022実行委員会が企画されたものです。 #かすかべプラスワン

わたしたちのまち「春日部」の現状や課題を多様な角度から見つめ、一緒に考える、参加型の展示です。

まちの現状や課題はさまざまですが、このなかで「かすかべ再発見」として、まちの歴史、移り変わりが紹介されています。郷土資料館に行けば、詳しくわかる!といったように、当館の配布物なども掲示いただいています。

写真:掲示物

この企画の面白いところは、掲示物が参加型になっているところ。自分が共感したり、面白いとおもったコト、話題に対して、ハンコをおしてイイネ!と投票する仕掛けになっています。

写真:まちと人の年表

上の写真は、春日部の歴史と自分の生涯を重ね合わせられる年表。自分がいつ生まれたのか、ハンコをおして表示できるようになっています。写真では伝わりにくいのでぜひ見てみてください。

写真:町のイイネ

この掲示物は、春日部の宝ものは何ですか?という問いかけに対する書き込みです。

あなたにとって、家族にとって、地域・春日部にとっての宝ものは?

いろいろな価値観があって、共感するものには、スタンプがたくさん押されています。

地域・春日部にとって、「文化財」が宝ものだと書いている方もいました。私はここにスタンプを押しました。

 

書き込みができるこの取り組みは、展示主催者が一方的に発信するのではなく、見ている観覧者も参加できる双方向型の展示になっていて、いわばアナログ型のツイッターといった感じです。SNSでバズったっといったような派手さはありませんが、手作りで、作った人、掲示した人や見ている人のぬくもりが感じられ、野心的な展示だと見受けました。個人的にインスパイアされましたので、この手法を郷土資料館の展示にも活かしたいと思案しています。

スペースが限られている展示にもかかわらず、郷土資料館を取り上げていただき、関係者の方には、感謝申し上げます。

ぜひお近くにお立ち寄りの際にはご覧ください。

【出張授業】「でばりぃ資料館」in藤塚小学校

令和5年2月16日(木)に藤塚小学校出向き、第3学年の児童に向けた、『でばりぃ資料館』を開催しました。

藤塚小学校でばりぃ資料館

今回のでばりぃ資料館は、図書室で「昔の家の道具」「昔の学校の様子」、視聴覚室で「昔の農業」と3つのテーマを分け、児童がグループ毎に巡回する形式で開催しました。

 

昔の家の道具コーナー

昔の家の道具コーナーでは、昔の家庭で使われていた民具を展示しました。

手回し洗濯機や黒電話が人気を集めていました!時間が足りず、もっと見たがる子もいた様子。ぜひ、郷土資料館に足を運んでみてくださいね♪

 

昔の学校の様子コーナー

昔の学校の様子コーナーでは、当時の教科書をはじめとした勉強道具や給食の食器などを展示しました。

第一回の藤塚小卒業式の写真も用意していったところ、子供たちは釘付け!先生方も興味深そうにご覧になられていました!

 

昔の農業コーナー

昔の農業コーナーでは、主に手作業での米作りの学習と体験を行いました。

手作業での脱穀、籾摺り、米つきなど、当時使っていた道具や、簡素化したものを利用して実際に体験してもらいました。

初めてやる作業に楽しさを覚えながらも、同時に手作業による苦労も味わってもらえたようです。

 

各コーナー15分満たない短い時間ではありましたが、その分体験を含め、ギュッと詰め込んだ内容となり、児童も飽きることなく学んでらえたかと思います!

 

でばりぃ資料館は継続して開催しておりますので、各学校の先生方も、日程、会場、内容など、ご相談ください!

また、「くらしのうつりかわり」展も2月26日(日)まで開催しておりますので、団体見学のご依頼もお持ちしています!

 

古文書勉強会を開催しました。

2月12日(日)春日部市郷土資料館の収蔵史料(古文書)を、有志の市民の皆さんと読む会「古文書勉強会」を開催しました。 #かすかべプラスワン

写真:古文書勉強会

引き続き、「宝暦度より酒造用留」を講読しています。

皆さん、だんだんと慣れてこられたようで、読むスピードも上がってきています。

が、虫損も多く、読みづらい箇所もちらほら。

たとえば、次のよう。

写真:古文書

一行目は、「是ハ米壱石ニ付水九斗之割ヲ以仕込如斯」

「如斯」が虫損で読みづらいですが。

二行目は、「是ハ米糀之内より垂酒壱割出祖ニ付組込」とあります。

毎度毎度、解釈する時間がないのですが、「垂酒」とは今でいうアルコールのことであるとか。この記述から、この酒のアルコール度数は大体10%ということになります。

「如斯」はまだ読める範囲ですが、次のは手ごわいです。

写真:古文書

武州埼玉郡粕壁宿

  百姓勝之丞死去跡親

    酒造人 五郎兵衛

と書いてあるようです。

これも虫食いが重なって読みづらく、特に「去」「跡」が厳しいのですが、読んでこられた方がいらっしゃいました。

参加者には写真の紙焼きを配っているので、ここまで鮮明に字がみえません。前後の関係などを加味して字をお読みいただきました。ほかの参加者からは「よく読みましたね~」と感心する声が漏れました。

執念というか、皆さんの情熱を感じましたよ。

 

と、こんなふうに2時間みっちり古文書を読んでいます。

 

次回は、3月12日(日)14時~ です。

引き続き、よろしくお願いします。

 

郷土資料館体験講座「凧作り教室」を開催します

前回11月に開催し好評だった「凧作り教室」について、2回目を3月に開催します。

今回も、講師に春日部市「庄和大凧保存会」の方をお招きし、本格的な和凧を作ります。

  凧作り教室(紙に骨をつける)
凧作り教室(紙に骨をつける)

 

日程:令和5年3月18日(土曜日)午前10時~正午
講師:春日部市「庄和大凧文化保存会」の講師
募集人数:小学生 30人(申し込み順、保護者同伴、参加可)
材料費:一人500円
申し込み
令和5年2月8日(水曜日)より郷土資料館に直接、電話(電話:763-2455)、春日部市電子申請で申し込み

凧作り教室電子申請入口(別ウインドウで開く)

 

申し込み後、下記の期間内に郷土資料館にご来館いただき、材料費(500円)をお支払いの上、凧紙をお受け取りください。

凧紙配付期間:令和5年2月8日(水曜日)~3月17日(金曜日)

(月曜日・祝日を除く午前8時30分から午後5時15分)

講座当日までに好きな絵や文字を書いてきてください。講座会場では、骨組みと糸付けを行います。

でばりぃ資料館in小渕小

2 月8日(水)小渕小学校3年生の総合的な学習の時間に出張授業をしてきました。 #かすかべプラスワン

小渕小のみなさんは、事前にグループに分かれ、①昔の学校・給食、②昔の食べ物、③昔の生活道具、④昔の町の様子、⑤昔の遊び、⑥戦争のころの暮らし、のテーマで、それぞれ調べ学習をしたそうです。

でばりぃ資料館(出張授業)では、各テーマに関する資料を持参し、学芸員が説明をしました。

写真:資料について説明

戦争のお話しでは、国語の教材「ちいちゃんのかげおくり」にも登場する、出征のときのタスキや日の丸の寄せ書きについて説明しました。また、当時の子どもたちが書いた手紙も紹介しました。戦争の話題になると、より真剣な表情で話を聞いてくれました。

写真:たすきの説明

説明のあと、小渕小の皆さんは、自分たちで調べて、わからなかったこと、疑問に思ったことを、学芸員にぶつけてくれました。

「昔の給食のメニューで一番人気があったものはなんですか?」「昔の子どもたちは、おもちゃをつかわない遊びはしたのですか?」「昔の食べ物で特別なメニューはどんなものがあったのですか?」「冷蔵庫がない時代は食べ物をどうやって保存したのですか?」「戦争のリュックサックにファスナーがないのはなぜですか?」「戦争で金属が供出されてもベイゴマ遊びはできたのですか?」など。

なかなか鋭い質問もあり、受け答えしたこちらも、刺激的なひと時でした。

最後は、自由時間。

持参した資料をよく観察したり、さわってみたり、もってみたり。

やはり一番人気は昔のおもちゃでした。遊べるから楽しいですよね。

写真:道具にふれる

写真:道具をつかう

実は、展示した資料の一部は、小渕小学校の郷土資料室に保管してあるものだったりもします。

郷土資料館には、大型で持参できなかった資料や楽しいおもちゃがたくさんあります。ぜひ遊びにきてください。

でばりぃ資料館は、学芸員と郷土資料が学校に出張する出前授業です。

今回は3年生の総合的な学習でしたが、戦時期の道具は、6年生の社会科(歴史)学習だったり、戦時期の作品を扱う国語科などでも活用いただけます。

写真:戦時期の資料

学校の先生方には、ぜひご活用いただければと思います。

緑小学校、郷土資料館を見学!

2月7日(火)緑小3年生のみなさんが郷土資料館を見学しました。 #かすかべプラスワン

 写真:竪穴住居

社会科見学として、郷土資料館、消防署東分署を見学。

資料館では、縄文時代の竪穴住居のくらし、江戸時代の日光道中宿場町、そして、およそ60年前のくらし・まちのうつりかわりについて、学びました。

 写真:せんばこきの説明

自由時間には、昔のおもちゃコーナーで遊んだり、展示資料の昔の生活道具をメモしたり、スケッチしたり、はたまた60年前の航空写真をのぞき込んで、緑小学校や自宅を探していたりしました。

 写真:民具スケッチ

写真:航空写真をのぞく

見学時間が限られており、少しあわただしかったですが、十分に楽しめたでしょうか。「たくさんメモを書けた」と話してくれる子もいました。楽しかった人も、物足りなかった人も、土日も郷土資料館は開いています。週末にまた会おう。

【出張授業】でばりぃ資料館in幸松小学校

令和5年2月3日(金)に幸松小学校に出向き、第3学年の児童に向けて「でばりぃ資料館」を開催しました。

 

今回は幸松ルーム・理科室・図書室を使用し、それぞれ「昔の家の道具」「昔の農業」「60年前の春日部・学校」のテーマに分けて行いました。

教室で受ける授業とは異なり、3クラスが入れ替わりながら3部屋を訪れる形式なので、児童のウキウキした気持ちが伝わってきました(笑)

 

幸松ルーム授業風景①幸松ルーム授業風景②

昔の家の道具の解説は幸松ルームで。

幸松ルームには郷土資料室として多くの民具が設置されており、昔の家の道具だけでなく、各種解説パネル、農家で使われていた道具など、お宝がたくさん!実物に触れることで学びを深めていってください!

 

理科室授業風景①理科室授業風景②

理科室では昔の農業、特に米作りについてです。

昔と今、機械化される前と後の米作りの様子について比較しながら学習しました。さらに昔の米作り作業の一部を疑似体験し、体を使って印象に残るような経験を積んでもらえるような授業にしてあります♪

 

図書室授業風景①図書室風景②

図書室では60年前の春日部や学校の様子について。

昔の春日部の様子を写した大きな航空写真を見てもらい、当時の春日部市域の様子や、幸松小学校の位置、周辺の様子などを観察しました。また、昔の学校で使われていた勉強道具と今自分たちが使っている勉強道具を比較したり、当時の子供の等身大イラストなどを利用して背比べをして楽しく学びました!

 

幸松小学校は教育センターとさほど遠くない距離に位置しているためか、児童の中には郷土資料館に来たことがある子もちらほら。昔のおもちゃや楽しめる企画を用意してますので、ぜひお友達を誘って来てみたくださいね♪

 

学校の先生方にもご好評をいただいております“でばりぃ資料館”!第3学年だけでなく、日程、内容などご相談いただければ、各学年対応いたします。これからもぜひ、郷土資料館をご活用ください!

【近隣館の紹介】「小谷三志」展とベーゴマ【川口市立文化財センター分館郷土資料館】

先日、川口市の郷土資料館にお邪魔しました。目的は、春日部にもかかわる、富士信仰(不二道)の先覚者・小谷三志の企画展示を開催しているからです。チラシは以下の通り。

小谷三志展チラシ

週刊誌風のデザインで、洒落ています。なかなか、きわどい表現もあり、興味をそそられます。

展示は、小谷三志の生涯とその事績について、わかりやすく紹介するもので、三志や富士講ゆかりの資料が所せましと陳列され、圧巻されます。

春日部市内では、西宝珠花の宝珠花神社の扁額の題字を小谷三志が書いており、三志の主導する不二道が、市内にも広まっていたことがわかっています。三志の書跡は、「天地振り替りの筆法」と呼ばれる独特な書体で、宝珠花神社の扁額(市指定有形文化財)も独特な字体で書かれています(展示でも紹介されていました)。展示では三志の独特の書体の資料がたくさん並んでおり、お腹いっぱいになるまで楽しめます。

また、展示では三志没後の富士信仰や、近代の三志の顕彰についても紹介していました。個人的によかったと思うのは、郷土史家の故・岡田博さんについての展示です。岡田さんは鳩ケ谷の方で、三志に魅せられ、町工場を営む傍ら小谷三志や富士信仰の研究に取り組まれた方です。その分野では大変高名な方です。岡田さんの研究業績に依拠して構成された展示は一見の価値あり。必見です。展示は、3月21日まで。

 

ところで、同館では、昨年、川口市内にあったベーゴマ資料館から譲り受けた資料も展示しています。なんでも、川口市にはベーゴマを専門に製造する唯一の工場があり、譲り受けたものであるとか。

展示室の一区画は、ベーゴマのコーナーになっており、珍しいベーゴマのみならず、実際にベーゴマで遊べるようになっています。騒がしい私の子どもたちに、職員の方がベーゴマの回し方をレクチャーしてくださいました。子どもたちは初めてのベーゴマに大興奮。ベーゴマの回し方については、動画をユーチューブに公開しているそう。閉館間際まで遊んだ子どもたちは、また練習して来たいと話していました。自宅でベーゴマのユーチューブをずっと見ていました。

ベーゴマで遊ぶ少年たち

川口市の郷土資料館は、旧鳩ケ谷市の郷土資料館で市立文化財センターの分館扱いではありますが、小規模ながらも、展示を工夫され、所せましと川口の歴史文化をPRしています。とっつきにくい郷土の歴史の展示もポップに平易に見せ、糸車を回す体験、小豆を量る体験、足踏みミシンの体験など、誰でも楽しめる展示をしています。ぜひ、「小谷三志」展と合わせて、遊びにいかれてはいかがでしょうか。

詳しくは、同館ホームページをご覧下さい。

考古学講座第5回を開催しました 

1月28日(土)、考古学講座第5回を開催しました。9月から月1回のペースで開催した本講座も、本日で最終回となりました。

本日のテーマは、春日部の奈良時代、平安時代と考古学講座のまとめでした。

奈良時代、律令国家になると、全国に現在の都道府県のような国が設定されますが、現在の春日部市の範囲は、武蔵国(むさしのくに)と下総国(しもうさのくに)に分かれます。国の境は、現在の古利根川から古隅田川へ続く流れで、内牧や豊春、花積などは武蔵国、小渕や浜川戸から東側の地区は、下総国とされました。

市内では西宝珠花や小渕、浜川戸の地区から、比較的規模が大きい奈良時代、平安時代の集落跡が発見されています。西宝珠花は下総台地上ですが、小渕、浜川戸は低地の自然堤防上に立地しており、現代と同じように低地でも人々の生活や活動が始まっていたことがわかります。また小渕や浜川戸は古利根川や古隅田川に近いので、河川を使った交通の要所であった可能性も考えられます。

奈良時代や平安時代の竪穴住居跡は、カマドが設置してあり、強力な火力での調理が可能になりました。出土する土器は土師器や須恵器です。特に須恵器は、使われている粘土に含まれている物質などから、どこの窯で作られたものかを推定することができます。また鉄製品も多く確認されます。

考古学講座のまとめでは、市内の遺跡の時代別の動向や、前回、テーマとして出た、なぜ埴輪には穴が開いているのか、弥生時代の戦争と現在の戦争は違うのかなどについてお話をしました。

考古学と戦争を考える際に参考になる文献を以下にあげておきます。いずれも市立図書館にもあるようですのでご興味がある方はご一読ください。

佐原真 2005 『戦争の考古学 (佐原真の仕事 4)』岩波書店

松木武彦 2001 『人はなぜ戦うのかー考古学からみた戦争』講談社選書メチエ

 

考古学講座は来年度も今年度と同じような連続講座として開催する予定です。みなさまのご参加をお待ちしております。

考古学講座

 

 

古文書勉強会を開催しました

1月22日(日)、郷土資料館所蔵の古文書を市民の皆さんと読む「古文書勉強会」を開催しました。

今回も引き続き、粕壁の旧家に伝えられた「酒造用留」を講読。参加者の方には釈文を用意いただき、これを読みながら、字を検討しています。

史料の分量が多いので、なかなか解釈を深める時間がとれず、惜しいのですが、今回は字の解読だけでなく、語句の意味や、人名・地名などの固有名詞について疑義が生じることとなりました。参加者のなかでも意見が分かれ、皆さんとともに悩みました。以下、この勉強会では、日々どんなことに悩み、執心しているのか、少しご紹介をしたいと思います。

資料写真1

まず、意見が分かれたのが上の文。

担当の方は、「米怔合不宜受痛ニ相成候」と読んできましたが、「受痛」とはどういう意味か、他の古文書では「更痛」と書いてあるのを見たことがある、とご意見される方がいらっしゃいました。では「更痛」の意味は???

という具合に、検討を要しました。「受」と「更」は非常によく似たくずし字になりますが、この文章の前後に、次のような文があります。

写真2

これは「又兵衛江引受させ」と読むことになります。先ほどの字とこの「受」が同じ筆遣いをしていることから、前文の語句は「受痛」と読むことに至りました。

後日、調べてみると、神奈川県の寒川町の史料にも「受痛」の語の用例があるようですから、「受痛」が妥当になりましょうか。史料の文脈を踏まえて、次回、皆さんともう一度確認したいと思います。

 

もう一つ

写真3

「阿部恵三郎知行同国比企郡土渡村 名主八十次郎 百姓代次兵衛」

と読みましたが、武蔵国比企郡には「土渡村」あるいは「土後村」という村はなく、「土塩村」が存在するようです。ただ、どう読んでも「塩」には読めないと、皆さんと検討しました。

後日、お調べになった方からメールをいただき、阿部氏の知行所に比企郡土塩村があることがわかりましたので、おそらく書き手が写し間違えたものと考えられます。

ただ、新たな問題点も。調べていただいた方によると、阿部恵三郎ではなく阿部甚三郎ではないかというご指摘が。活字の史料には「阿部恵三郎」、または「阿部甚三郎」と書き起こすものもあるようです。これも決着はついていませんので、次回、皆さんと再検証したいと考えています。

 

というように、こんなことを繰り返しながら、一字一字丁寧に解読しています。字を読むだけでなく、やはり史料を解釈しながら進めなければならないことを実感しました。予習も大事です。参加者の市民の皆さんは、とても熱心に調べて臨まれているので、私たちにとっても本当に刺激的な勉強会になっています。

古文書勉強会、次回は2月12日(日)14時~を予定しています。

郷土資料館体験ワークショップを開催しました

令和5年1月22日(日)の午前と午後各1回ずつ、郷土資料館体験ワークショップ「ペーパーローリングを作ろう」を開催しました。

 

蓄音機上演風景

まずは蓄音機の上演からです。

蓄音機は電気を使わないで音楽を聴くことができます。レコードを替え、静かに針を落とし、長くはない曲に耳を傾けるという“手間をかける”ことが、近年丁寧に音楽を楽しむ人たちに人気となっているそうですよ♪

 

紙芝居朗読風景

次は春日部に伝わる伝説の紙芝居を1つ。今日は「蛇女房」というお話です。

鶴の恩返しにも近いお話で、小さい子でも馴染みやすい内容だったかと思います。

 

ペーパーローリング見本

そしておもちゃ作りは「ペーパーローリング」です!

実はこのペーパーローリング、郷土資料館のおもちゃコーナーには置いていません。振ることで剣のように伸びるというおもちゃの性質上、資料館内で振り回すのは若干の危険が伴うため、設置には検討を要します。

なので、ペーパーローリングで遊べるのは今のところ体験ワークショップだけ、という珍しい一品です!

おもちゃ作り風景

シュルンッ!と戻ってくるのがクセになります。

みんなとても気に入ってくれた様子でした♪

 

缶バッジ写真

最後は恒例の缶バッジ作りをしました!

自分で作ってみるという体験が楽しいですよね♪

 

これにて今年度の体験ワークショップは終了です。

来年度も開催を予定しています。開催日が決まったら告知をいたしますので、郷土資料館ブログや広報誌等、ぜひチェックしてみてください!

ご参加いただきありがとうございました♪また起こしください!

 

2月25日(土)川口則弘先生「直木賞の歴史と作家三上於菟吉」を開催します

1月19日(木)、第168回直木賞・芥川賞が発表されました。直木賞は、小川哲氏『地図と拳』と千早茜氏『しろがねの葉』、芥川賞は佐藤厚志氏の『荒地の家族』と井戸川射子氏の『この世の喜びよ』に決定し、いずれも2作が受賞しました。おめでとうございます。

 直木賞(直木三十五賞)は、昭和9年(1934)に亡くなった作家、直木三十五(なおきさんじゅうご)を顕彰するため、昭和10年に設けられました。直木三十五は早稲田大学で、春日部出身の作家、三上於菟吉の1年後輩にあたります。二人は親交が深く、直木が亡くなった際には、追悼と顕彰に尽力し、昭和18年(1943)まで直木賞の選考委員をつとめました。

 

さて、春日部市郷土資料館では、直木賞研究家の川口則弘先生をお招きし、直木賞の歴史と初代選考委員であった作家、三上於菟吉に関する講演会を開催します。皆様のご参加をお待ちしております。

●郷土資料館歴史文化講演会 「直木賞の歴史と作家三上於菟吉」

日時:令和5年2月25日(土曜日)午後2時~4時
会場:春日部市教育センター(春日部市粕壁東3-2-15)
講師:川口 則弘(かわぐち のりひろ)先生(直木賞研究家)
募集人数:80人(申し込み順)
申し込み
郷土資料館に直接、電話(電話:048-763-2455)または、春日部市電子申請で申し込み

川口則弘先生「直木賞の歴史と作家三上於菟吉」電子申請入口

三上於菟吉

 

 

【体験ワークショップ】ペーパーローリングを作ろう!

1月22日(日)に体験ワークショップを開催します。

体験ワークショップでは、蓄音機の上演、紙芝居、昔のおもちゃづくりをします。

今回作る昔のおもちゃは「ペーパーローリング」です。

 

「ペーパーローリングって何?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、写真を見ていただければお分かりいただけると思います!

ペーパーローリング見本

これです!

他にも、ペーパーヨーヨー、シュート棒などの呼び方があるそうです。

 

遊び方は簡単♪

持ち手を掴んで、シュッ!っと振ると・・・

遊び方①

遊び方②

遊び方③

遊び方④

こんな風にビヨ~ンと伸び、手元にシュルシュルッと戻ってきます!

 

昨年からワークショップで作り始めたペーパーローリングですが、使用する材料などに変更を加えて、より遊びやすく改良しました!

 

遊びだすとついついクセになるペーパーローリング!一緒に作ってみましょう!

 

申し込み不要、おもちゃの材料は資料館で用意しています。

当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!

 

【体験ワークショップ】

日時:令和5年1月22日(日)午前10時30分~・午後2時~

場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)

内容:蓄音機と紙芝居の上演

   昔のおもちゃづくり(ペーパーローリング)

費用:無料

申込:不要(開催時間までに郷土資料館にお越しください)

※参加者多数の場合、人数制限をさせていただく場合がございます。当日はマスクを着用いただき、体調が優れない場合は参加をお控えください。

#博物館の年賀状 謹賀新年

本年も春日部市郷土資料館、そして「ほごログ」をよろしくお願いいたします。 #かすかべプラスワン #卯年

新年一発目は、今年の干支にちなんで、収蔵庫から #ウサギ に関するおめでたい資料を紹介します。

 画像:波兎の絵

波の上を兎が走るこの文様は、「波兎(なみうさぎ)」と呼ばれる、日本の伝統的な意匠の一つです。波兎は、謡曲「竹生島(ちくぶじま)」に由来する文様で、別名「波乗り兎」とか「竹生島文様」とも呼ばれるそうです。「竹生島」は室町時代に成立した謡曲で、醍醐天皇の廷臣が琵琶湖の竹生島に舟で参詣するシーンで、舟から眺める風景の美しさを「魚木に上る気色あり、月海上に浮かんでは兎も波を走るか面白の島のけしきや」(魚が木に登るようだ。月が海上に浮かぶときは兎も波を走るようだ。この島の景色は実に面白い)と謡われる一節があります。この一節から、「波兎」は創作され、桃山時代末期から、江戸時代前期にかけて大変流行ったといわれています。ウサギは多産であることやその所作から繁栄や飛躍の象徴として扱われ、工芸品や建造物のほか、現代でも湯呑や手ぬぐいなどにもしばしばあしらわれています。

この資料は、西親野井の在村の絵師の旧家に伝来したものです。344×246mmの和紙に彩色の波兎模様が描かれています。四辺が骨を入れるためか少しおられており、和凧の図案として描かれたものだと考えられます。西親野井の絵師は、史料からみる限りでは明治時代に活動した人物のようで、さまざまな伝統的な図柄や挿絵、看板などのデザインの下絵を残しています。

当時(明治22年以降)は西親野井は宝珠花村の一部でした。宝珠花といえば、江戸川の河岸として栄えた集落で、現在も大凧あげ習俗を伝える特徴的な地区の一つです。想像を膨らませば、凧揚げが盛んな宝珠花の人たちのニーズに応えて、縁起の良い「波兎」を和凧に描いたのかもしれません。

今年は卯年。皆さまにとりましても「波兎」のように、繁栄・飛躍の一年になりますようご祈念申し上げます。そして、本年も郷土資料館と「ほごログ」をよろしくお願いいたします。令和5年卯年 元旦

郷土資料館体験講座「しめ縄を作って新年を迎えよう」を開催しました

令和4年12月17日(土)、18日(日)に体験講座「しめ縄を作って新年を迎えよう」を、25日(日)に中央公民館で子ども体験教室「しめ縄づくり」を開催しました。

集合写真

 

今年もやってまいりました“しめ縄作り”!参加者の皆さんに楽しんでいただくため、職員一同準備をさせていただきました。

稲わらを調達し、わらの“ハカマ”を取り、当日はわら打ちをするなど、講座開催までには実に様々な工程を踏んでいます。

しめ縄準備風家

講座準備中

 

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そして講座当日です。12月の寒い中お越しいただきありがとうございます!

館長挨拶

紙芝居朗読

講座ではまず当館の館長より挨拶をさせていただき、春日部に伝わる伝説の紙芝居を上演しました。今回は粕壁地区に伝わる「火事よけ天狗」という伝説の紙芝居です。冬の乾燥した時期ですので、皆さまも火事など火元にはお気をください。

 

縄ない風景

しめ縄作りは、半紙で紙垂(しで)を作る作業、わらを撚(よ)って縄を編む“縄ない”の作業、しめ縄本体の作成、と大きく3つの作業があります。

中でも特に難しいのが“縄ない”です!合計で3本作っていただくのですが、どうしても最初の1本は形が少し崩れてしまう方も多いようです。しかし、3本作っていくと次第に慣れていき、最初の1本目をやり直してクオリティアップを図る方もたくさんいらっしゃいました!

 

しめ縄作り風景

しめ縄本体を作る作業は、根元からしっかりとわらをねじるのがポイント!縄ないとは打って変わって力のいる作業です。

「疲れた!」「こりゃ大変だ!」という声があがるのですが、「楽しかった!」という感想をたくさんいただきます!大変だからこその達成感を味わっていただけるようです♪

 

しめ縄完成①

しめ縄完成②

しめ縄完成③

出来上がりはご覧のとおり!立派に仕上がっています!

 

皆さま今年も郷土資料館の講座にご参加いただきありがとうございました!来年も様々な講座や企画展を開催していきますのでお見逃しなく!

それでは、よい新年をお迎えください!

考古学講座第4回を開催しました

12月24日、春日部市郷土資料館では午前中から考古学講座を開催しました。

本日は、年代の決定と春日部の古墳時代をテーマとしました。

年代の決定では、絶対年代を求める方法として、放射線炭素年代法と年輪年代法をとりあげました。放射性炭素年代測定法は、1970年代に開発された加速器質量分析法によって、考古学で得られる少量の試料でも年代を測定できるようになり、また暦年較正曲線が頻繁に見直されており、より精緻な分析が進められています。

株式会社パレオ・ラボ様より頂いた加速器分析装置の資料を使いながら、炭素12、炭素13、炭素14が分析電磁石の中で曲がる際に、重量の違いによって曲がる方向が分かれ、3つの炭素が分けられることなどを学びました。

春日部の古墳時代では、東中野の権現山遺跡と内牧の塚内古墳群をとりあげました。権現山遺跡では、古墳時代前期の方形周溝墓が発見され、底部穿孔壺形土器が発見されていること、塚内古墳群では、4号墳のみで墳丘の調査が行われていて、下総系と武蔵系の円筒埴輪が出土していることをお話ししました。

塚内4号墳の埴輪を見ていただく

本日は、塚内4号墳から出土した埴輪を会場に展示し、武蔵系、下総系の埴輪の違い、特に使われている土の違いを見ていただきました。

講座中で、埴輪に使われている粘土の話ばかりしてしまい、説明が足りませんでしたが、内牧地区に武蔵と下総の粘土を持ってきて埴輪を作ったのではなく、武蔵地方と下総地方で作られた埴輪がそれぞれ内牧地区に運び込まれているということですので、補足します。

講座終了後のお話のなかで、埴輪にあけられた穴のことや弥生時代の戦争のことについて質問がありました。次回、最終回の考古学講座で、考えてみたいと思います。

年末の風物詩・粕壁の酉の市

12月14日、粕壁の神明社で酉の市が開かれました。 #かすかべプラスワン #学芸員の胸熱

帰り道に遠くのほうから聞こえるお囃子の音色が。

仲町の皆さんがお囃子を演奏されていました。音色につられて集まる人も多くいたのではないでしょうか。

写真:お囃子

神明通りには、屋台が並び、すれ違うのが大変なほど、中高生や親子連れでにぎわっていました。

夏祭りでは屋台が出ませんでしたから、若者たちは屋台が楽しみなのでしょう。

写真:神明通りの屋台

屋台がどんな流行を取り入れているか、興味もあるところですが、学芸員はたこ焼きを横目に境内に向かいました。

境内には、酉の市恒例の、縁起物の熊手の屋台が並んでいました。熊手の屋台は、その高さに圧倒されます。

写真:熊手の屋台

お社には、獅子頭がお祀りされていました。

写真:獅子頭

獅子頭は、角がある獅子(左)と頭に宝珠を載せる獅子(右)の二頭です。現在まで続く東部地区の獅子舞は、三頭の獅子で舞われるもの主流ですので、この獅子頭は獅子舞に使ったものなのかどうか不明です。

本殿は、扉が開かれて、ご内陣を開帳していました。中にはご神像が。普段の神明社の風景とは異なり、まさに「ハレ」の空間でした。学芸員的には、このあたりが胸熱です。

参詣された皆さんは、「今年もありがとうございました」とつぶやきながら参拝されていました。もう、年の瀬ですね。

さて、粕壁の神明社、そして酉の市は古くから続く神社・祭礼です。そこで、粕壁の神明社について、ヤホーではなく、諸資料で調べてみました。

神明社の起源については、記録等がなく詳しくは不明です。ただ、伝承によれば、天明年間(1781-89)に九法四郎兵衛という人がこの地を開墾したところ、地中からご神体と鏡が出てきたので祠を祀ったといわれています(『春日部市の神社』)。神明社については、長らく、この伝承が語られるのみでしたが、最近、収蔵庫から神明社に関する史料を見出しました。

写真:勧化帳

表紙には、「神明宮御本社建立 勧化幉 粕壁宿世話人」とあります。神明社の本殿を建てたときに寄付を募った帳簿です。「寅九月」とあるのは文政13年(1830)9月のこと。

本文には、次のようにつづられています。古くより鎮座している神明宮は、いまだ仮宮殿であり、今回壊れてしまったので、新規に本社を建てることになった。ただし、自力では難しいので、近郷隣村の助成を請いたい、と。

勧進の世話人(発起人)は次のように記されています。

写真:勧化の世話人

「綿屋市兵衛」(鹿間市兵衛か)、「笊屋半蔵」、「伊勢や市左衛門」(練木市左衛門)、「油屋勘六」(永田勘六)、「八百屋藤七」(小林藤七)、「同重右衛門」、「肴屋権八」、「青木屋清次郎」。

名前がわかる商人は、いずれも粕壁の上町(かみまち)の人たちですので、神明社が上町の人々に信仰されていたものと考えられます。実際にどんな人たちから寄付金が集められたのかは不明です。

また、天保3年(1832)には、神明宮の道が潰地になっており、不便なので、屋敷地を道の敷地にするという取り決めもされています(春日部市史近世史料編Ⅲの2、986ページ)。

これらの史料には、名だたる粕壁の商人の名が!ここも学芸員の胸熱です。

肝心の酉の市がいつから始まったのかは残念ながらわからないのですが、地元の方によれば、神明様の酉の市は、八坂神社の祭礼(春日部夏祭り)よりも賑やかだったそうです。

粕壁の宿場町とともに、神明社、そして酉の市も歩んできたのですね。屋台で楽しむ若者たちも、そんなことを思いながら、大判焼きを食べてくれるといいのになぁと思いました。

【 #常設展 】 #プチ展示替 しました

春日部市郷土資料館の常設展は、常設ですが、常に少しずつ変わっています。今回は二か所「プチ展示替」をしました。 #かすかべプラスワン

一つ目は、常設展にケースを増設し、粕壁宿の商家ゆかりの資料を展示しています。

かすかべ郷土かるたには「蔵造り 面影残す 宿場町」という札がありますが、粕壁は日光道中の宿場町であり、かつては蔵造りの建物が軒を連ねていました。現在でも、所々に老舗の商家さんなどに蔵造りの建物が残っています。今回は、上町の老舗の米問屋永嶋庄兵衛商店さんからご寄贈いただいた、蔵造りの建物の部材を展示しました。かつての粕壁の街並みの写真も合わせて展示しています。蔵造りの建物の見学は、どうしても遠目でみることになるので、部材を間近でご覧いただくと、思っていたよりも大きく感じるかもしれません。川越に行かずとも、蔵造りをお楽しみいただけるはずです。

写真:蔵造りの展示

二つ目は、展示室の最奥の古文書の展示です。長らく、詫び証文を展示していましたが、今回は江戸川の開削、そして流域の庄内領の新田開発の史料を解説しています。収蔵庫のなかで長く眠っていた古文書を点検するなかで、見出したもので、一応新出史料です。江戸川の開削や流域の開発については、同時代の史料が限られており、具体的なことがわかっていません。今回展示した史料も、近世後期の記録であり、同時代の史料とはいえませんが、江戸川の開削年代や「親野台」(親野井周辺か)で工事が難航して3か年を要したことなど、既出の関連史料と比較することで、考察が深められる史料だと思います。庄内領開発に携わった小島庄右衛門の名もみえます。江戸川の通水は6月2日だそうです!

春日部の歴史、埼玉県の歴史にとって河川の変遷は重要で、皆さんの関心も高いところですので、少しマニアックな展示ですが、ご覧いただければと思います。

写真:江戸川の古文書展示

少しずつ変わる郷土資料館。たまーに訪れると新たな発見があるかもしれませんよ。