カテゴリ:郷土資料館
古文書勉強会、館蔵の古文書を定期的に講読しています。
6月1日、古文書勉強会を開催しました。郷土資料館では、市民の皆さんと館蔵の古文書を読む「古文書勉強会」を定期的に実施しております。
今、講読している史料は、元治2年(1865)「御神忌日記」というものです。
この年は、徳川家康の二百五十回忌にあたり、家康の命日の4月17日の日光山で大規模な回忌法要が実施されました。この史料は、武蔵国埼玉郡中野村(現武里中野地区)の翁助という人物が書き残したもので、この年の2月から4月までの記事が日記仕立てで記されているものです。翁助は、代官から御神忌の祭礼の裏方(下役)に命じられ、日光に向かい御用を果たしました。翁助が携わった具体的な御用の中身はよくわからないのですが、中野村から日光まで往路には様々な事を見聞きしたこと、日光山内に入ってからも近隣を見分したことを記録しており、道中記としても面白い記事です。
本史料は今年の1月から読み始め、途中、難解な文字、解釈が難しい部分がありましたが、どうにか山場は越え、終盤にはいってきました。
今回、講読したところは、御神忌の祭礼に参席した京の公卿の名前、泊まった宿坊、翁助と同様に関東地方の農村から下役として動員された人名、地名が列記されている部分でした。
固有名詞を読むほうが却って大変で、皆さん苦戦されていました。ただ、地名事典や人名事典、また関連史料を確認して、入念に調べていただいた方もおり、どうにか地名・人名を確定することができました。
本史料・参考史料の記述が絶対に正しいというわけでもないので、比較検討をし、地名・人名をきちんと事実を確定しながら、史料を読む必要性を感じていただけたように思えます。
「調べてまでして読まないとダメなのですか」と弱音を吐く方もおられましたが、実はそれが史料(古文書)を読む、ということなのだと思います。
次回は、7月5日(土)14時~です。