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2024年6月の記事一覧

校長ブログNo57‐2春すぎて夏来にけらし…衣替え(その2)

「春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ころもほすてふ 天香具山 」百人一首にも選ばれた有名な持統天皇(645-703)の和歌です。(春が過ぎ去り、どうやら夏の季節がやってきたらしい。夏になると衣を干すという天の香具山に、真っ白な衣が干してあるよ。)といった意味です。今日は、前号に続き衣替えの話です。6月の衣替えに合わせて衣服を入れ替えた方も多いと思いますが、これも大変で正直面倒くさいなと思う方も多いと思います。特に衣服の調節は大人はもちろんのこと、子供はなおさら難しい。朝、支度に時間がかかってしまうこともあるのでは。少し肌寒い朝、大人は「あと1枚着ていけば?」と子供に声をかけても「大丈夫!」と元気よくTシャツ1枚で家を出ることもあるかと思います。これは、気温に対する大人と子供の体感が異なることが影響しているでしょう。朝肌寒いと暖かい服を着せてしまいがちです。しかし、日中気温が上がっても上着を着たまま活動している子も少なくありません。体育の時間は体操服に着替え、再び私服へ着替えるので問題はないのですが、普段の業間や昼などの休み時間に元気いっぱい外遊びをして汗をたくさんかくことが多くなります。厚手の服を着ていると、動きにくく汗もかきます。そして汗が蒸発するとき体を冷やします。

そこで大切になるのが「衣服の調節」です。はじめは自分ですることが難しくても、周囲の大人が声をかけていく中で意識し、次第に自分で衣服の調節ができるようになってきます。汗を吸い取る 下着・元気に動ける薄手の服・そして暖かい上着それらを 上手に着替えながら元気に過ごしていきたいですね。

 

時代と共に変遷した「衣替え」

中国から伝わった衣替え

「衣替え」は「更衣」ともいい、もともと中国の風習でした。日本に伝来したのは平安時代の頃で、中国と同様に年2回、夏と冬の装束を入れ替える貴族の間だけの行事でした。現在でも着替えをする部屋のことを「更衣室(こういしつ)」と呼ぶのは着物の文化の名残です。

また、現在放映中のNHK大河ドラマ「光る君へ」https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/でも平安貴族たちが十二単(じゅうにひとえ)をはじめとする装束を着ており、夏服と冬服の場面を見ることができます。千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館第2展示室にもジオラマが展示されていますが、きちんと衣替えをしているのです。(今年は5月28日に夏服に衣替えを実施)https://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/room2/ 

江戸時代は年4回も!

江戸時代になると、衣替えは年4回に増え、江戸幕府によって制度化されました。といっても着物を何着ももつことは経済的にも負担です。そのため、秋から冬にかけては「綿入れ」をし、冬から春にかけては「綿ぬき」をして着回していたそうです。大変だったんですね。

明治時代になり今のスタイルに

明治時代、文明開化と共に西洋文化が入り、太陽暦が採用され、洋装化が浸透したことにより、制服を着る官公庁を中心に、平成時代半ばまで続いた6月1日~9月30日は夏服、10月1日~5月31日までは冬服というように変遷したのです。そして今は地球温暖化の環境面や熱中症予防などの健康意識の面からクールビズが提唱されるようになったのです。このように時代の変遷はありますが、根本的に変わっていないのが、四季に寄り添いながら生活してきた日本人の文化でしょう。

校長ブログNo57‐1クールビズ 衣替え(その1)

5月31日、今年初めての台風1号が千葉県沖合を通過し、大荒れの月末となりました。台風一過で始まる6月かと思われましたが、梅雨入り間近ですっきりしない空模様の休日でした。気象庁によると東京都心では10日連続の夏日(最高気温25℃以上)となり、5月としては過去最長記録だったそうです。近年、夏の高温化による熱中症のリスクを回避するため9月に実施していた秋運動会を5月の春運動会へ移行する学校が急増しましたが、本校も同様、春運動会を実施しています。今年もおかげさまで無事実施することができました。ただし、今年は雨の日と晴れの日がはっきりしており、日によって寒暖差がはっきりしており、お子さんに今日は何を着せたらよいか判断に迷う日が多かったことと思います。

今回は「衣服と季節」に関して2回に分けてお話ししたいと思います 。

6月1日は衣替え

6月1日といえば昭和時代に中学を過ごした私にとって「今日から夏服」(関東圏では夏服の時期は6月1日~9月30日が一般的)といった「衣替え」を思い出します。(※日本は南北の気候の違いにより、衣替えの時期は異なる。)上着着用の冬服からワイシャツだけの夏服へと軽やかに。今のようにエアコンがない時代です。校内も黒色から白色へとオセロのように転換し、視覚的にも涼やに感じられる季節の区切りのある衣替えは「生徒手帳」にも明記された「校則」の1つであり、儀式のような感覚でもありました。 

教職員の服装もクールビズ対応で

2005年(平成17年)から地球温温暖化防止会議の京都議定書の発効を受け、クールビズ運動が我が国で始まりました。今ではすっかり定着し、官公庁を始め、学校をはじめとする教育関係機関でも環境省の推進運動により、クールビズ(5月1日~10月31日)期間中はノーネクタイ、ノージャケットで対応しています。

【参考:クールビズ】

https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/coolbiz/

脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動として「デコ活」も展開しています。

【参考:デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)】 

https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/

 次回は時代と共に変遷した「衣替え」の歴史についてです。

校長ブログNo56 整理整頓 気持ちすっきり♪

 各学年の廊下にある表示です。

整理整頓(せいりせいとん)

よく使われる四字熟語ですね。「整理」「整頓」一見同じ意味のようですが、それぞれに意味があります。

「整理」とは「乱れた状態にあるものを整え、秩序正しくすること。」

「整頓」とは「よく整った状態にすること。 きちんと片付けること。」

                              (広辞苑より)

さらに、「頓(とん)」は「落ち着く」や「整える」という意味があります。無着(むとんちゃく:全く気にかけない平気なこと)や挫(とんざ:計画が行きづまって進まなくなること。途中でくじけること。)といった言葉の使い方をしますね。

 さて、言葉の意味はこれくらいにして...

きちんとできているか?(あっ、よく使ってしまうこの「きちんと」という言葉。この「きちんと」も、「正確」にとか「乱れないで」とか「整って」という意味があります。)そうです。できていることが大切なのです。一緒にぐるっと校舎を回ってみましょう。

掲示物、雑巾かけ、廊下のロッカー(ランドセル)、教室の棚、水筒を入れるかご、昇降口の傘立て、作品の並べ方、靴箱など。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  外の体育倉庫や用具倉庫の中も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紹介したのはほんの一部ですが、写真を見ているだけでも気持ちがいいですね。全校児童が共同生活をする学校では、見た目はもちろんですが、大切なことは、自分以外の人が使うときにより使いやすくすること。整理整頓することで持ち物を間違えることを防ぐこと。使いたいときにすぐ使え、時間の短縮になること。などメリットはたくさんあります。逆だととんでもないことになってしまいますね。

そして、何よりもみんなが安全に安心して学校生活を送ることにもつながります。

とはいっても、毎日共同生活を送っていると、たまには乱れるときもあります。校内を巡回しながら、気づいたことはその都度児童や職員にも声をかけ、一人一人が意識して整理整頓を習慣化することができるようにしています。