大人になる No32
【 本当に役立つ勉強とは何か 】
先日、ある教育関連誌を読んでいると、高校の中途退学者に対する調査で、彼らが高校に望むこととして、約半数の者が社会に出てから役に立つことを教えて欲しいという回答を選んだという記事が目にとまりました。彼らは高校では社会に出て役立つことを教えてもらえなかったという思いを持っているのでしょうか…。一見、もっともらしい要望のようにも見えますが、果たしてそうでしょうか?私はそうは思いません。そもそも社会に出て役立つとは、どういう意味なのでしょうか?漢字が読めなければ不便だろうし、ローマ字も同様ですね。足し算・引き算が出来なければ買い物だってできません。しかし、これらのことは小・中学校で習うことですよね。それとも、英会話やコンピュータの操作や帳簿類の作成、管理または設計図を描くための技術などというものをイメージしているのでしょうか?確かに、これらのことは、覚えればすぐに役立つものばかりです。しかし、すぐに役立つようなものは、実は大して役に立たないものなのです。本当に役立つことというのは、授業をはじめとする思考の訓練を通じて、世の中の色々な事象に敏感に反応する感性であったり、興味や関心を持って調べたり、実行したりして、より良い選択をしながら生きることのできる力であったり、困難に出会っても簡単にはくじけない強い心や身体を持つことだと私は思います。協力してことに当たり、喜びを分かち合える仲間を持つことのできる人間関係づくりの能力もそうです。そういうものを手に入れることはなかなか難しいものです。訳のわからない(?)勉強をはじめ、学校で部活動や学校行事など様々なことを経験しながらでしか、なかなか身に付かないものなのです。
いま君達は、期末テストが終わり、その結果に一喜一憂していないだろうか。3年生は自分の卒業後の進路について真剣に考えて行かなければならない時期でもある。生徒諸君には、本当に役立つ勉強とは何なのかということを見失わないでほしい。(7月6日 校長)