いよいよ入試が始まります ①
【 保護者として結果をどう受け止め、子供の指導にあたるか Part.1 不合格のとき…保護者は動揺せず温かく 】
私は、中学3年生の担任をこれまでに何度も経験し、教え子たちのたくさんの悲哀を見てきました。今の時代、合否結果は、郵送やネットでの発表になりましたが、当時は高校のロータリーに掲示されていて、歓声の中を逃げるように去って行く子供の心境はそれこそ痛いほどよくわかります。ここで保護者が思慮深い指導をしないと、失望して非行化したり、劣等感を持ち、何に対しても意欲を持てなくなったりするような人になりかねません。もちろん、そうならないように、本校での3年間の様々な指導の積み重ねのなかで、本当の意味での「しなやかさ」や「強さ」を育てることを目指し、指導してきましたが、15歳の子の内面を全て知り尽くすことはできません。そこでまず大切なことは、保護者自身が動揺しないことです。私の知る例では、子供の前でやたらと愚痴をこぼしたり、「親戚や近所に合わせる顔がない」と子供をなじったりする保護者が過去にいました。また、中には、これから我が子が入学する高校を馬鹿にしたりするという例もありました。これらの保護者は、大きな間違いをしています。子供は全力を尽くしたのだし、保護者も真剣に支援してきたのですから、喜びを共に味わう時だけいい顔をするのではなく、悲しみや辛さを味わう時もいい顔(優しく、あたたかい顔)をしてやるべきです。次の構えもしてあるはずですから、「精一杯やった結果だから、いいじゃないか!これで人生が決まる訳では決してないのだから、元気を出しなさい。それに〇〇高校だって第一志望のところと同じだよ。そこで元気にがんばりなさい」と見通しを説きながら励ましてやるべきなのです。つまり、第一志望に進学できなかったことを、いつまでも引きずることが一番良くないことで、気持ちを切り替え、高校で前向きにがんばれるように励ますことが保護者の務めなのです。次に大切なのは、結果に対して、子供自身が気まずさや劣等感などのこだわりを持っている、これを一刻も早く払拭させることです。それには、学校の先生のところへ行き、「お世話になりましたが、不合格でした。でも〇〇高校へ行ってがんばります」と報告とお礼に行かせるのが一番いいのです。そうすれば、どの先生方も、「惜しかったね、君なりによくやったよ。〇〇高校も良い学校だから、そこで元気を出してがんばれ」、「将来の目標を持っている君なら、どこへ行っても大丈夫だよ」と励ましてくれるはずです。ですから保護者は、「可哀想だから」と人目を避けるようなことをさせておいてはいけないのです。このように積極的な行動を起こさせ、自分で自分のこだわりを吹っ切らせるように仕向けていくことが大切なのです。それが子供に健全な心を回復させる最も効果的な指導といえます。そんな場面が親子の絆を一層深めていく機会になるとも思います。「家族は自分にとっての最大の理解者」ということを、頭ではなく、実感として感じさせるよい機会であると、プラス思考でとらえられればよいのだと思います。(1月14日 校長)