読書のすすめ 【 番外編 】
~3年生諸君へ~
いま、3年生は国語の授業で、魯迅の「故郷」を学んでいる。3年生の国語担当の佐藤先生は、国語科の教員としての視点で、3年生に授業での指導を行っています。それとは別に、私は、今を諸君と共に生きる、人生の先輩として、諸君にこの作品を通して、伝えたいことがあります。まず、みなさんはこの作品を読んで、何を思ったでしょうか。これまで、この飯中ブログで述べてきましたが、本をたくさん読む人は、考えが深くなり、想像力に富む人になります。1つの作品を読んでも、1つの映画を観ても、受け止め方や感じ方は、人それぞれなのです。私は先日、久しぶりに3年生の国語の教科書を手に取り、「故郷」を何十年ぶりに読み直してみました。私は数学の教師ですので、「故郷」を読むのは、約35年ぶりだったわけですが、再度この作品を読んだ感想は、「これ、今の中学生に分かるのか…」でした。当時の中国の封建社会の中で、多くの国民は、生まれる前から、そして、この先の未来もずっと、身分社会が続くものだと思い、疑うことさえしない人生を日々送っていた。幼き頃、無邪気に遊んだ友人だと思っていたルントウと、時が経ち再会した時に、「旦那様(だんなさま)」と自分を呼んだことにショックを受けるのです。「この時の主人公の気持ち」を読者がどう受け止めるかこそが、それぞれの感じ方のレベルに大きく左右されるのです。言葉にできるかどうかもレベル次第ですが、みなさんはどう感じましたか?何かを深く感じるか?私が何を感じてほしいのかも分からない人もいるかもしれませんね。主人公は、昔の自分達のように、無邪気に遊ぶ、お互いの子供たちには、自分たちが経験しなかった「新しい生活」、「新しい社会を」と願う。
「もともと地上には道などはない、歩く人が多ければ道になるのだ」つまり、混沌とした世の中も、みんなで希望を持って進むことで、社会は変えられる、ということだ。半年後に義務教育を修了し、広い社会へと旅立つ3年生諸君には、再度、「故郷」を読んでみてほしい。そして、夢や希望、志(こころざし)を持って生きていってほしい。そうすることが、近い将来、諸君が活躍する社会を、より良くすることにつながるのだ。(10月19日 校長)