中学生になった子供とどう向き合うか
「日本の親は召使いのように子供に仕える」と、ある著名なアメリカ人がテレビで言っていました。「アメリカの親は召使いのように子供を使う」とも。“召使い”という表現は適切ではないと思いますが、日本の親は、子供のニーズを先回りして、あれこれと手を焼き、転ばぬ先の杖を差し出し、子供の機嫌を損なわないように気を遣い行動します。本校でも毎朝、雨の日ともなればものすごい数の車が列をなし、我が子を送る保護者がたくさんいます。まさにこのことを物語っています。子供の世話をし、子供に家事などの苦労をさせないことが親の愛情表現と信じている者もいます。しかし、それは子供のペット化です。自分で食べ物を獲得せず、与えられたものを食べているペットは、たくましく自分で生活する力を失い、飼い主に依存し、わがままになります。子供を成長させるためには、自分で考え、自分の力を発揮させる機会を与えなければなりません。掃除をしたり、洗濯物を干したり、料理をしたりするときは、幼い頃から子供をそばに置いて話しながら少しずつ見習わせることが大切です。そうして子供に任せられる仕事を1つ、また1つと増やしていき、それを認め、褒め、感謝することで子供は自信を持ち、生活力のある人間に成長していくのです。このような機会の少ない子は、何でも親がしてくれると勘違いしています。困難にぶつかっても、それを自分の考えと努力で解決しようとはせず、周囲の人間や環境のせいにして逃避することも少なくありません。またそのような場面に接した親も、決して我が子のいたらなさを指摘したり、叱咤激励したりせず、周囲の人間や環境のせいにして外部批判をします。そうならないためにも、「家事は家族みんなで分担してすることが当たり前」という意識の生活を送りたいものです。家庭での生活を通し、たくましく生きていくためのスキル面と精神面の両方を養いたいものです。(10月4日 校長)