大人になる No46
ニュースを見聞きした生徒もいると思います、東京の小学6年生の児童が尊い命を自ら断ってしまったそうです。真実はこれから徐々に明らかになって行くのでしょうが、ニュースの内容を見る限り、学校で配られたタブレットでのいじめが原因と報じられています。自ら命を絶ってしまった児童はどんなに辛かったことか。文章では表現しきれません。そして、児童のご家族はどんな思いでいるのか、考えただけで胸が苦しくなります。この件で私は、2つのことを諸君に強く言いたい。
1つめとして、自ら命を断つことは絶対にしてはいけない。辛かったら誰かに助けを求めてほしい。先生、友達、家族、カウンセラー、誰でもいいから話をしてください、頼ってください。この世でたった1つの命、それはかけがえのない大切なもの。生きたくても生きれずに病気で亡くなる人もいる。76年前、国や家族など大切なもののために戦争で命を落とした兵隊さんもいた。死んでしまった者は二度と帰ってはこない。残された者の悲しみが薄れることはない。私達は命ある限り、精一杯生きなければならないのです。学校に来ることが辛いのならば、来なくても構わない。とにかく命を最優先に考えなさい。だから修学旅行も新人戦も合唱祭もすべて中止にしたのだ。私もはじめ迷いはあったが、命より大切なものはない、という原点に返って考えたとき、もう何の迷いもありませんでした。時計を戻せても判断が変わることはありません。1つめ、自ら命を断ってはいけない。
2つめ、心にブレーキを持ち、行動をコントロールすることができるようになりなさい。これまで何度もSNSの使い方を指導されてきましたよね。その時その場では分かっても、時と場が変わればすぐに忘れ、不適切な使い方をしたり、いじめに加担したりしてしまう。先日も、2年生の家庭科の授業で、夏休みのお弁当作りの報告会を行っていたところ、分散登校で自宅からリモートでつながっていた生徒達がチャットを使って次々に文字で意見や感想を寄せたそうだ。便利な機能で、はじめ感心していたそうだが、途中、一人の生徒から報告内容をばかにするような発言が出たとたん、多くの生徒が一斉に次から次へと中傷に加担するコメントを寄せたそうだ。家庭科担当の先生から、その時その場で指導を受け、生徒たちはSNSの怖さを実感として気づかされ、反省していたと聞いた。私は今回のニュースを知ったとき、家庭科の先生から聞いたことを思い出し、ハッとさせられた。本校の生徒達は、暴力のいじめはしないだろう、しかし、言葉や態度で心を傷つける暴力は、いつ起こってもおかしくない状況だ。心のブレーキの定期点検を忘れてはいけない。(9月14日 校長)