いきいき子育て 23 【不合格のとき】
いよいよ入試がはじまります。保護者として結果をどう受け止めるか Part.1 不合格のとき…保護者は動揺せず温かく
私は、中学3年生の担任をこれまでに何度も経験し、教え子たちのたくさんの悲哀を見てきました。今の時代、合否結果は、郵送やネットでの発表になりましたが、当時は高校のロータリーに掲示されていて、歓声の中を逃げるように去って行く子供の心境はそれこそ痛いほどよくわかります。ここで、保護者の指導で大切なのは、思慮深い指導をしないと、失望して非行化したり、劣等感を持って何に対しても意欲を持てなくなったりするような人間になりかねません。もちろん、そうならないように、3年間の学校での様々な指導の積み重ねのなかで、本当の意味での「強さ」を育てることをも目指し、指導してきましたが、15歳の子の内面を全て知り尽くすことはできません。そこでまず大切なことは、保護者自身が動揺しないことです。私の知る例では、子供の前でやたらと愚痴をこぼしたり、「親戚や近所に合わせる顔がない」と子供をなじったりする保護者が過去にいました。また、配慮を欠く保護者は、「レベルの低い者の集まっている学校へ行くのか」と、これから我が子が入学する高校を馬鹿にしたりするという例もありました。これらの保護者は、大変な間違いをしています。子供は全力を尽くしたのだし、保護者も真剣に支援してきたのですから、喜びを共に味わう時だけいい顔をするのではなく、悲しみや辛さを味わう時もいい顔(優しくあたたかい顔)をしてやるべきです。次の構えもしてあるはずですから、「精一杯やった結果だから、いいじゃないか!これで人生の全てが決まる訳ではないのだから、元気を出しなさい。それに〇〇高校だって第一志望のところと同じだよ。そこで全力を出してがんばりなさい」と見通しを説きながら励ましてやるべきなのです。つまり、第一志望に進学できなかったことを、いつまでも引きずることが一番良くないことで、気持ちを切り替え、高校で前向きにがんばれるように励ますことが保護者や教師の務めなのです。次に大切なのは、「子供自身が恥ずかしさや気まずさでこだわりを持っている」これを一刻も早く払拭させることです。それには、学校の先生のところへ行き、「お世話になりましたが、不合格でした。でも〇〇高校へ行ってがんばります」と報告とお礼に行かせるのが一番いいのです。そうすれば、どの先生方も、「惜しかったね、君なりによくやったよ。〇〇高校も良い学校だから、そこで元気を出してがんばれ」、「ほんの少しのつまずきじゃないか、将来の目標を持っている君なら、どこへ行っても大丈夫だよ」と励ましてくれるはずです。ですから保護者は、「可哀想だから」と人目を避けるようなことをさせておいてはいけないのです。このように積極的な行動を起こさせ、自分で自分のこだわりを吹っ切らせるように仕向けていくことが大切なのです。それが子供に健全な心を回復させる最も効果的な指導といえます。そんな場面が親子の絆を一層深めていく機会になると思います。「家族は自分にとっての最大の理解者」ということを、頭ではなく、実感として感じさせるよい機会であると、プラス思考でとらえられればよいのだと思います。(1月12日 校長)