2024年12月の記事一覧
#ハルカイト 見学のススメ(6) 茶どころ!?春日部
埼玉県のお茶といえば「狭山茶」。狭山は、静岡、宇治に並んで、日本三大銘茶とされています。狭山ほどではないですが、かつて市内でもお茶の栽培が盛んでした。それは、次の資料からも明らかです。
この資料は、昭和3年(1928)に埼玉県内務部が作成したもの。県内の町村別の産出額を番付にしたものです。
番付をみると、ほぼ入間郡の村々が上位を占めるなかで、西の16位(全体でも18位)に北葛飾郡川辺村(現庄和地域の川辺地区)がランクインしています。決して大きい産額ではないのですが、茶どころの狭山方面に次ぐ産出額だったといってもよいかもしれません。
下総台地の地域では、茶畑が一程度広がり、また、麦作の風よけのために畑の周りにお茶の木が植えられていました。戦前には市域や野田・越谷方面のお茶店に卸していたそうです(『春日部市庄和町史編さん資料13 民俗Ⅲ』)。番付には、下総台地上の北葛飾郡宝珠花村(現宝珠花地区)、同郡南桜井村、武蔵野台地上の南埼玉郡内牧村(現内牧地区)もみえます。いずれも産出額はわずかですので、主要な作物ではなかったのかもしれません。
内牧地区には、「茶ふり」「茶せいろ」といった製茶の用具が伝来しています。また、市内の旧家では「茶甕(ちゃがめ)」と呼ばれる茶葉を保管する容器も割と目にすることがあります。
「川辺村誌」によれば、同村での機械製茶は、大正6年(1917)ごろに始まったとされています。川辺村では大正時代から昭和初めにかけて、お茶の栽培が盛んだったようです。
番付や茶甕は、大凧文化交流センター「ハルカイト」の歴史展示室に展示中です。画像では文字が小さくみえませんが、粕壁町、豊春村も番付の下方に掲載されていますので、原物の資料から探してみてくださいね。
ハルカイトは、年内は12月28日(土)まで開館。年明けは1月4日(土)からです。