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関山式土器と花積ー*花の彩り*春日部*
現在、春日部市郷土資料館で開催中の「*花の彩り*春日部*」展では、花積内谷耕地遺跡出土の縄文時代前期の関山式土器を展示しています。
関山式は、蓮田市の関山貝塚から発見された土器をもとに設定された型式です。もとは「蓮田式」と呼ばれていましたが、戦前、昭和初期の研究で、古い順に花積下層式、関山式、黒浜式と分けられました。
花積下層式、関山式、黒浜式土器は、「羽状(うじょう)縄文系土器群」とも呼ばれ、縄文のつけ方に特徴があります。羽状縄文とは右撚りと左撚りの縄文を上下に連続してつけることで、全体として羽や菱形の形にみえるようにする縄文の施文方法です。
また、縄文時代には「繊維土器(せんいどき)」と呼ばれる、材料となる粘土の中に植物の繊維を混ぜて焼き、割れ口に燃えつきた植物の痕跡が残る土器があります。羽状縄文系土器群は、ほとんどが「繊維土器」です。
関山式土器の特徴として、口縁に文様帯が設定され、竹を使用した複雑な文様が描かれることがあげられます。また、縄文原体の端部などに輪(ループ)を作り、それにより付けられた「ループ文」と呼ばれる縄文が多用されます。
関山式土器は埼玉県を中心に関東地方全域で出土します。春日部市では、今回展示の花積内谷耕地遺跡(花積)のほかに、竹之下遺跡(内牧)、貝の内遺跡(西宝珠花)、風早遺跡(西金野井)、鷲前遺跡(東中野)で関山式土器の時代の集落跡が発見されています。約6,500年前の縄文土器型式と考えられており、すでに始まっている縄文海進の影響を受け、貝塚を伴っているものが多いです。
今回展示している花積内谷耕地遺跡の関山式土器は、口縁部の縁に竹でつけられた細かい文様がまわり、円形の粘土粒が貼り付けられます。胴部はループ文や羽状縄文が施されます。
展示でも触れていますが、花積は花積貝塚から出土した土器をもとに設定された「花積下層式」発祥の地です。しかしながら、縄文土器の土器型式は、地名こそ冠していますが、土器の変遷の指標として使われるもので、花積からも「関山式」の土器が出土します。
3/5から富士見市で開催される「埼玉の4大貝塚」展に神明貝塚の資料が出品されます
郷土資料館の神明貝塚展示コーナーで展示している市指定文化財の「堀之内式組合せ土器」と、同じく神明貝塚の注口土器(ちゅうこうどき)が、富士見市の富士見市立水子貝塚資料館で3月5日(土)から行われる企画展「埼玉の4大貝塚ー水子貝塚 真福寺貝塚 黒浜貝塚 神明貝塚」にて展示されることになりました。埼玉県内の国の史跡に指定されている4つの貝塚を紹介する展示です。概要は下記の通りです。ぜひお出かけください。
<埼玉の4大貝塚ー水子貝塚 真福寺貝塚 黒浜貝塚 神明貝塚>
日時:令和4年3月5日(土)~5月8日(日)
会場:富士見市立水子貝塚資料館(富士見市大字水子2003-1、049-251-9896)
開館時間:午前9時~午後5時
休館日:月曜日(3/21は開館)、3/22(火)、5/6(金)
入館料:無料
ちなみに、富士見市の市の花は、春日部市と同じ「フジ」で、公式サイトには、各ページにフジのイラストがあしらわれています。春日部市郷土資料館では、3/8(火)からミニ展示「NSNM 牛島のフジ」展を開催します。
さて、貸出しに伴い、縄文土器展示コーナーの一部の展示品を変更し、ご要望が多かった「花積下層式(はなづみかそうしき)」土器の土器片を5点、展示しました。「花積下層式」は市内花積にある花積貝塚の土器をもとに設定され、花積の地名が使われた土器型式です。関東地方の約7,000年前にさかのぼる縄文時代前期の始まりとともに出現します。
郷土資料館ご来館の際は、ぜひご覧ください。
花積下層式土器
考古学講座「花積貝塚を探る」を開催しました。
12月25日、「考古学講座ー花積貝塚を探る」を開催し、33名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。
今回の考古学講座では、花積貝塚を取り上げました。花積貝塚については、ほごログでも何度かとりあげています。
花積貝塚は、明治時代の文献にすでに紹介され、昭和3年(1928)に大山柏によってはじめて調査が行われています。その際に、縄文時代中期の土器と、縄文時代前期の土器が、上下に堆積している別々の貝層から発見され、中期の土器と前期の土器の時代順が立証されました。また、「花積下層式」土器は、花積貝塚から発見された縄文時代前期の土器が、その研究の発端になったことから命名されたものです。
このようなことから、昭和34年には市の史跡に指定されました。
昭和43年(1968)の発掘調査では、縄文時代の人骨や、イルカ、ウミガメの骨が発見されています。春日部の地に暮らした縄文人の様子と、イルカやウミガメのような大型の海の生物が採取されていたことがわかります。
現在、春日部では昨年、国史跡に指定された神明貝塚が話題になっていますが、花積貝塚もこれにならんで重要な遺跡です。ちなみに神明貝塚は縄文時代後期の貝塚、花積貝塚は縄文時代前期・中期の貝塚です。
市内の貝塚は、縄文時代前期のものが最も多く、後期は数は少ないですが、神明貝塚のような巨大な貝塚が残されています。
講座には花積や上蛭田、下蛭田、道口蛭田にお住いの方も何名か参加いただき、花積貝塚ももっとアピールしてほしいとのご意見をいただきました。資料館でも展示や講座、ほごログなどで、今後も引き続きとりあげていきたいと思います。
さて、考古学講座につきましては、今年度はもう1回、3月に開催する予定です。開催のお知らせは、こちらのほごログや広報かすかべでお伝えします。みなさまのご参加をお待ちしております。