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#錦絵 を寄贈いただきました!

といっても、春日部を題材にした錦絵ではないのですが・・・ #かすかべプラスワン

寄贈資料は「東京新嶋原勝景」と題される10枚一組の錦絵。絵師は二代目の歌川国輝。明治2年(1869)に描かれたとされています。

 画像:東京新嶋原勝景

新嶋原とは、明治時代初めに現在の東京都中央区新富町のあたりにあった遊郭のこと。幕末維新期に江戸(東京)の開港・開市が決定されると、築地に外国人居留地が設置され、その付近に外国人向けの遊郭「新嶋原」が設けられることになりました。設置されたのは明治元年末のこと。しかし、築地居留地に思った程の居住者がなく、遊郭の利用者が少なかったため、明治3年(1870)6月に廃止されることが決まり、明治4年(1871)7月に江戸時代以来の遊郭吉原へ移転・吸収されることになりました。

短命に終わった新嶋原遊郭ですが、実は春日部とも関係があるのです。

新嶋原には、廃止時に遊女屋(局見世を含む)が130軒ありましたが、内30軒は東京市外から移り新規開店をした者でした。その内訳は次のように記録されています(『都史紀要 四 築地居留地』東京都、昭和32年刊)。

品川宿3軒、千住(宿)12軒、板橋宿3軒、内藤新宿5軒、粕壁宿4軒、幸手宿1軒、鹿沼宿1軒、横浜1軒

江戸四宿が大半を占めていますが、粕壁宿に居住していた者が4軒の遊女屋を経営していたことがわかります。

商売を広げるため、または新たに旗をあげるため、春日部から江戸(東京)へ進出することは、江戸時代以来、広くみられる動向です。有名なところでは、明治時代中ごろに、春日部八丁目出身の鈴木兵右衛門(通称角兵・スミヒョウ)が鈴木銀行を出店、その弟久五郎(通称・鈴久)は東京支店長として、そして稀代の株の相場師として東京で成功しています。

粕壁宿出身の新嶋原の遊郭経営者がどのような人物か、詳しいことはわからないのですが、「江戸・東京へ進出した春日部の人たち」というテーマについては、幅広くアンテナをはって調査をしていく必要がありそうです。

今回、錦絵をご寄贈いただいた方には、「新嶋原遊郭に粕壁宿出身者がいる」という情報提供もあわせて、資料をご寄贈いただきました。日々、市域の資料を取り扱っているだけでは、気づかない情報・資料をいただき、新たな課題を与えられました。寄贈者の方には、改めて感謝申し上げます。

【昔の #川辺小 】資料を追加でご寄贈いただきました

現在、常設展示では新宿新田にかつてあった江戸川の河岸場に関する資料を展示しています。「ほごログ」で紹介したところ、水運・舟運について調べてらっしゃる方に早速ご覧いただいたりして、一部には大変好評です。

新宿新田の河岸場は、これまで資料がなく全くといっていいほど知られていませんでしたので、諸書で言及されることがほとんどありませんでした。小さなコーナーで、手前味噌ですが、割と画期的な内容の展示だと思います。

資料展示したことを、旧蔵者の方にお知らせしたところ、先日ご来館いただきました。資料展示をしたことを大変喜んでいただき、また、当館には初めてお越しになったそうで、春日部にいろいろな歴史があったことに驚かれていました。旧蔵者の方によると、新宿新田には伊和右衛門河岸のほかに、上流にもう一つ河岸場があったとか(今の野田線の鉄橋の下流のあたりらしいです)。資料上では確認できませんが、新事実をぽろっとお話しになりました。近代の舟運は奥が深い。今後の課題です。

旧蔵者のご来館の折り、まだ家に古い書類があったと、いくつかの資料をご持参・ご寄贈いただきました。戦前の絵葉書など印刷物のなかに、大正6年(1917)の川辺尋常小学校の卒業記念(アルバム)がありました。

アルバムといっても写真数枚が掲載される簡素な冊子ですが、当時の学校の様子がわかり、非常に貴重です。ここで追加寄贈されたアルバムのうち数枚の写真をご紹介したいと思います。川辺小学校の関係者は必見!?

写真:川辺小学校校舎

現在の川辺小学校の敷地に校舎が新築移転されたのは、明治35年(1902)5月のこと。写真はこのとき建てられた木造校舎と考えられます。校舎は水害を避けるために、高台に建てられていたそうです。現在のプールがあるあたりでしょうか(地元の方にそのように聞いた記憶もありますが、知っている方がいたら教えてください)

写真:川辺小学校講堂

「講堂」です。教室ではないのかもしれません。卒業記念アルバムなので、ここで卒業式を執り行ったのでしょうか。

写真:川辺小の整列

手前は学校の先生、奥には和装の児童が整列しています。写真のキャプションは「整列」。

おそらく寄贈されたお宅の家の方に卒業生がいらっしゃったので、家に伝わったものと推測されますが、この時の卒業生はいないはずだとのこと。由来はともかく、貴重な写真です。

ご自宅に古い書類がある方はぜひご一報ください!

【御礼】 #春日部の魅力 がつまった本、ご恵贈いただきました

市民の方より郷土資料館に図書の寄贈いただきました。自然・生活・文化・歴史・伝統・イベントなど様々な観点から春日部の魅力を紹介する本です。 #かすかべプラスワン

画像:表紙

書名は『春日部の四季の息吹きを愛おしむ』(私家版)。著者(寄贈者)は、2017年4月から2021年3月まで、市の広報のサポーター「かすかべ特派員」を務めていた方です。取材・執筆された記事は、市のSNS等に公開していましたが、2021年3月をもって「かすかべ特派員」の制度が終了することになったため、記事を再構成して一冊の本にまとめられたそうです。

当館は、市の歴史や文化財を取材していただいた際に、資料の提供やご助言をさせていただきました。その縁で貴重な私家版の冊子をいただくことになったのです。

本書は、春夏秋冬の季節で構成し、春日部の季節の風物詩を一覧できます。季節の花、イベント、歴史・文化財など、ご興味が多岐にわたっており、「文化財」とか「歴史」とか「~祭り」といった行政的な縦割りの目線ではなく、市民の方ならではの視点で春日部の魅力を活写されています。

一頁完結で短文、オールカラーの写真も満載で、読みやすく、楽しみながら読めます。さらに、写真は同じアングルでも、時間をかけて、こだわって撮影されたものも多く、普段は気づかないような季節の変化やまちのうつりかわりを記録しており、春日部の貴重な記録となることは間違いありません。

写真:本書

さらに圧巻されるのは、巻末の地図です。ご自宅の壁面に掲示していたものだそうです。取材で踏査された場所をマーカーで色付けして、網羅的に市域を紹介する計画で、これから庄和地域を取材する予定だったそうです。しかし、かすかべ特派員の制度の終了に伴い、志半ばで地図の印付けも終わってしまいました。「残念だが、取材で様々な方と出会えたのがよかった」とお話しいただきました。おひとりでこれだけ市内各地を回られるのは、なかなかいらっしゃらないのではないでしょうか。

画像:地図

春日部の貴重な記録となるので、市立図書館にご寄贈されることをお勧めしました。図書館での手続きが終わり次第、閲覧ができることになるでしょう。記事は現在も市のSNS等でご覧いただけますが、ぜひ本をお手に取ってご覧いただければと思います。

郷土資料館でも、今後の事業や調査研究のため、貴重な記録として保管させていただきます。末筆ながら、ご寄贈された方に改めて御礼申し上げます。