校長室から

修学旅行・林間学校の中止決定について(生徒への話)

 本日(6/30(火))、我孫子市教育委員会からの修学旅行・林間学校中止についての文書を生徒を通して配付しました。大変に残念なことであり、生徒、特に3年生の気持ちを考えると胸が張り裂ける思いもします。

 市や校長会としても何とか実施したい思いで、ぎりぎりまで検討を重ねてきましたが、準備期間を考えると、出発が早い学校は結論を出さなくてはならないタイムリミットでもあり、現状を鑑みて中止の判断に至ったことをご理解いただくと同時に、下記に今日、生徒たちに話した内容を原文のまま記載しましたので、配付した文書と一緒にお読みいただければと思います。

※帰りの会で生徒に向けて話した全文

 全校のみなさんにとても大切なお知らせがあり、帰りの会の時間をもらって私から話をすることとしましたのでよく聞いてください。
 内容は生徒のみなさんはもちろん、先生方にとっても大変に残念な、悔しい思いもある報告です。
 昨日、夕方、我孫子市教育委員会より通知があり(このプリントは私の話が終わった後に担任の先生から配られます)、今年度の修学旅行・林間学校の中止が決定しました。これはこの2つの行事に限らず、長距離の移動はもちろん、宿泊を伴う校外学習の中止という解釈をしていますので、1年生にも関わってくることがあるかもしれませんので1年生もみなさんも耳を傾けていてください。
 本校の先生方はもちろんですが、市内の全ての先生方、全小中学校の校長先生、教育委員会の先生方全員が、3年生の最後となる修学旅行、そして林間学校を実施させてあげたいという思いで、周辺の市・学校が早々と中止を決定する中、何とか実施できないかとぎりぎりまで検討を進めてきました。ここでいうぎりぎりというのは、市内で1番最初に出発する予定の学校の準備に要する時間等を考えた場合のぎりぎりということです。
 検討の結果、例え実施にこぎつけることができても多くの行動制限を伴うこと、万が一の場合は命にも関わる案件でもある以上、安全を最優先としてクリアしなくてはならないハードルがいくつもあり、それをすべて乗り越えることは不可能という判断に至りました。
 具体的には、感染が再び拡大してきた東京への公共交通機関を使った移動、新幹線車内やバス内での行動制限(マスク着用、対面座席の禁止、レク等の制限、会話の制限等々)、見学地での行動制限(混雑回避等)、今回、実際に林間学校で農業体験学習の受け入れが不可となってしまいましたが、予定されている体験学習などの実施に厳しい面(密になる場面等)もあること、宿舎での行動制限(食事の方法、集会の禁止等)や部屋・風呂で密になる状況と考えるときりがなくなってしまいます。
 また、例年、林間学校・修学旅行とも体調不良者・発熱者が必ず数名は出てしまうという現状があり、今年度の場合、万が一を考えて、そういった人たちを集団から離さなくてはいけない、その場合、その生徒を待機させる場所が、特に複数の生徒に発熱等の症状があった場合に一人ひとりを分けておく場所が確保できるのか?一人ひとりに付き添っていられる大人は確保できるのか?検査も含めた医療機関の対応は本当に大丈夫なのか?といった不安も次から次へと出てきます。そして、8月から9月に実施する予定であった学校には熱中症への心配と対応、具合が悪くなる生徒が倍増してしまう懸念もあり、そのような状況が発生したら、通常の修学旅行・林間学校はとても継続できる状況ではなくなってしまいます。
 また、本校でも数件ありましたが、特に実施予定日が近づいてくるにつれ、保護者の方からによる不安と問い合わせが増えてきているようです。保護者としての心配は当然のことだと思いますが、それによってクラスで、学年で何名かの仲間が参加を断念するという状況になったとき、行けない仲間を無視して実施できるのかという問題も出てきます。
 以上のような現実を直視し、本当に残念で生徒のみなさんには申し訳ない気持ちもありますが、本年度の修学旅行・林間学校・及び年内の宿泊を伴う校外学習については中止という結論に至りました。
 もう既に学年で集会を開いたり、少しずつ準備を進めようとしているみなさん、2年生は2月には林間学校の学習のスタートとして磐梯からブラタモリの先生をお招きしたりもしましたが、今の私からの話を受け止め、今はがっかりした気持ちや不満を隠す必要はないけれど、最後は冷静に、中学生として自分の気持ちに分別をつけた判断・対応をお願いしたいと思っています。
 人生で1番難しいこと、それは諦めることと赦すことだと言います。大人でも大変に苦しんでいるこのコロナウイルスという難題に、まだ中学生のみなさんが直面しなければならないことは先生としても心が痛むし、運命のいたずらというにはあまりにも残酷であると思います。
 ただ、私はみなさんが憧れている野球のイチロー選手やサッカーの三浦知良選手、それ以外でも一流のパフォーマーが泣き言を言っているのは見たことがありません。一流選手でもスランプに陥ったり試合に出られなかったり、三浦選手はワールドカップの代表メンバーから突然外されたこともありましたが…。けがをしてプレーできないことがあっても、それでも彼らは黙々と準備をして明日という日に備えています。常に前向き、それが一流の条件だと思います。もちろん、みなさんにそこまでは要求できません。だから今日は悔しがればいいし、不満をもてばいい。でも明日はぜひ別の日にして気持ちを切り換えてほしいのです。
 みなさんの世代はきっと後世に何らかの名前が残る世代になると思います。今年はそれほど歴史に残る1年なのです。10年後、20年後に胸を張って、「俺たちは(仮称)コロナ世代(言い方は?ですが…)だ、だから逆境に負けない強さがあるんだ」そんな風に言えるようになってくれるとうれしいです。
 天を恨まず、人をとがめず。とても大変なことで先生なんかはとてもその境地にはありません。でも、そんな大人になれたらとても素敵だとは思っています。
 終わりになります、この後配付されるプリントにも書いてありますが、もし世の中の状況が落ち着いてコロナウイルスが収束にむかえば、修学旅行・林間学校の代わりとはいかないまでも、年が明けて3学期、3年生はもちろん受験が終了してからになりますが、代替の行事を企画する余地があることを付け加えると同時に、体育祭については、今、何の競技ができて何ができないのか、それを見極めながら検討している最中であり、先生も3年生の考えを聞くために生徒会の人たちと話をさせてもらっているところだということを伝えて話を終わります。
 なお、この話の内容はホームページにもアップしますので、配付されたプリントだけでは詳細がわからないというお家の方がいたら、ホームページの方も見るようにみなさんから伝えてください。