校長室より

運動会は負ける練習の場

いよいよ新緑の季節である5月になりました。今月の一大イベントはなんと言っても24日に予定されている運動会です。学校行事であり日頃の体育学習の成果を発表する場でありますが、私は「運動会とは負ける体験をする絶好の機会」だと思ってきました。

 だいぶ前のことですが、勤務していたある学校でこんな場面に遭遇しました。運動会の閉会式後、校庭の片隅で6年生女子応援団が10名位丸くなって嗚咽を上げて泣いていました。訳を聞くと総合優勝できず、しかも応援賞も取れず悔し泣きをしていたのです。応援団女子が、今日までいかに真剣に応援練習に向き合ってきたかがその姿から分かり大変感動したことを覚えています。

 練習を一生懸命に積み重ねて、ダンスなどで上手に演技したり徒競走で良い結果を出したりすることは素晴らしいことであります。

子ども達は必要以上に勝ちにこだわります。自分が一番になりたいと願うのは当然です。しかし、現実は誰もが一等賞は取れません。どんなに頑張っても結果が伴わないこともあります。大人になれば、絶対に勝ち続けることはあり得ないと分かります。子どもの時期に、「負ける体験や失敗する体験」をすることで、冷静に自分自身と向き合うことができます。

負けた時にこそ学ぶことが多いものです。その時に教師や保護者の助言が大切であり、そして仲間からの思いやりの言葉が何よりも心の糧になり、大きく成長できる機会にもなると考えます。運動会の時にこそ負けた時の態度も学ばせたいものです。