校長室より

自己を忘れること

2学期の始業式で子ども達に次のようなお話をしました。

「今年の夏は凄い猛暑でした。我孫子市でも8月11日に39.2度の最高気温を観測しました。今はこんなに暑い日々を送っていますが、1ヶ月後には涼しくなります。日本には四季があります。

この四季があることは、実は素晴らしいことであり日本独特のものなのです。

では、皆さんは春夏秋冬が毎年巡ってくる中でどの季節が好きですか。」

子ども達は、自由に自分の好きな季節に手を挙げました。

鎌倉時代の道元和尚は、「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて冷しかりけり」と短歌に詠んでいます。四季それぞれを楽しみなさい。あまり好きとか嫌いとかは思わない方が人生は楽しいですよ。自分の固定観念を取り除いて物を見ることが大切だと説いています。

学校で子ども達の様子を見てみると、こだわりが強い子が多いです。食べ物やゲーム、そして友達までも好きか嫌いと直ぐに決めてしまいがちです。一つの価値観だけを強く持ち続けていたら新しいものはなかなか入りません。良い意味で頭を空っぽにして2学期から新しい自分づくりをすることも大切です。

「仏道をならうというは、自己をならうなり。自己をならうというは、自己をわするるなり。

・・・・・・・・・」自分自身を究明することが、自己をならうことであり、書物から学んだことも捨て去ることが大事だとも説いています。

飛ぶ鳥は、飛んだという痕跡を空に残さないところから「鳥道」(ちょうどう)と呼ぶそうです。

教室の中で子ども達は、「自分が○○したんだ。最初にやったのは、私なんだ!」と言う言葉を聞くこともよくあります。自己主張が強い子どももいます。自己を忘れて相手のためにやると、最後は巡り巡って自分の徳になることを少しずつ学ばせてあげたいと感じます。