校長室より

人を以て鏡と為す

7月1日の全校朝会では、私は二つのお話をしました。
 一つ目は、水泳に関することです。
晴れた日はプールで水泳学習をしていますが、子どもである今のうちに25メートルを泳げるように頑張りましょう。泳げることと自転車に乗れることは大変似ています。

最初から自転車に上手に乗れる人はいませんね。みんな必死に練習して、失敗して転んで、やっと自転車を一人で乗れるようになるのです。家族の方の協力があったことでしょう。

自分の体の左右のバランスとスピードコントロールを自然と体が覚えていったのです。

でも一度自転車に心地良く乗れると一生涯乗ることができます。

水泳も同じです。高等動物である人間は、犬などの動物と違って練習をしないと水の中では泳ぐことはできません。腕と足の動かし方のバランス、呼吸の仕方、リラックス等の技術を学べば25メートルは泳ぐことができます。後は、持久力と体力を付ければもっと長く泳ぐことができるようになります。一度泳げると一生涯プールや川や海で泳ぐことができます。

 

 二つ目は、尊敬する人を持ち(目標の人)その人を手本として頑張ることが大事であるということです。

皆さんは、「尊敬する人」はいますか。・・・・・・・・

尊敬する人とは、立派だなと思う人のことです。

心から偉いなと感じる人のことです。

お父さんですか? お母さんですか? 担任の先生ですか?

塾や習い事の先生ですか? 歴史上の人物ですか?

友達にも尊敬する人はいますか?

 

皆さんは柔道というスポーツを知っていますね。

柔道は、日本で生まれて全世界に広まりオリンピック競技までになった立派なスポーツです。

この柔道を作ったのが「柔道の父」とも呼ばれている嘉納治五郎です。

日本人が尊敬する人の一人かもしれません。

江戸時代の末期、1860年に今の兵庫県の神戸で生まれました。

なんと身長は、158センチと大変小柄な男性でした。

小さくてしかも体も丈夫でなかった治五郎は真剣に強い人間になりたいと思い当時の「柔術」を習うようになりました。

運動だけでなく勉強も人一倍頑張ったそうです。

一生懸命勉強して今の東京大学を卒業して、文部科学省に勤めます。

柔術を発展させた柔道を作り、「講道館」という道場を開き世の中に柔道を広めました。

その後、東京高等師範学校(今の筑波大学)の校長先生にもなった嘉納治五郎は、明治44年に、我孫子の手賀沼の畔(アビスタの付近)に別荘を作りました。

そして、近くにあるこの我孫子第一小学校にも訪れて立派な「書」を送られました。

そこには、こう書かれていました。

「人を以って 鏡と 為す」

本物は、職員玄関に掲げてあります。

書道家としても有名だった嘉納治五郎は、全国に様々な書を数多く残しています。

「人を以って 鏡と 為す」

この意味は、分かりますか。

鏡とは鑑であり(お手本・模範)のことです。

尊敬する人を持ち、そして、その人を良きお手本として頑張りなさい

という意味です。

自分が生きていくお手本やモデルとなるべき人を見つけると、生きる意味や理想とする姿が分かります。そして新たな目標が生まれます。

小学生の今から、生きる目標となる人を是非見つけて下さい。