今も生きる吉田松陰の教育と言葉
「今日よりぞ幼心(おさなごころ)を打ち捨てて、人と成りにし道を踏めかし」
「志を立ててもって万事の源となす」
これらの言葉は、現在も山口県萩市にある市立明倫小学校で、毎朝、各教室で子ども達が全員で朗唱(ろうしょう)をしています。上の言葉はなんと小学校1年生の1学期に声に出して暗記する言葉です。子ども達は学期に一つ朗唱し、卒業するまでに18の言葉を覚えることになります。
江戸時代の末期、長州藩士であり将来を嘱望されながら30歳の若さで亡くなった吉田松陰は、教育に関する言葉を数多く残しています。
私はこの夏に、山陽山陰地方を旅行してきました。
昔から機会があれば一度は行きたかった場所の一つが萩です。
折しも現在放映されているNHK大河ドラマ「花燃ゆ」の舞台にもなっています。
この番組は毎回欠かさず楽しみに観ています。
城下町の萩を歩くと、必ず訪れる場所が松下村塾です。吉田松陰は、江戸で投獄された後、生まれ故郷の萩に帰されて幽囚生活をしますが、約1年間囚人の身でありながら多くの逸材を育てます。彼の門下生には、高杉晋作・久坂玄端・伊藤博文・山形有朋など明治維新の原動力となった人物がいます。
松下村塾の記念館を訪れて、私が感動してメモを取った言葉があります。
教育の本質として、「学は人たる所以を学ぶなり。」人間としての自覚を促し、更に当時、世界の中の日本人として自覚を高める必要性を説いています。
志を大変に重んじた人で、「士規七則」の中に、特に大事な三つを挙げています。
1 立志(志を立てる)
2 択交(たくこう・多くの人と交わる)
3 読書(多くの本を読み学ぶ)
今、第一小学校ではアクティブラーニングの研究をしているところです。いかにして、教師主導型の教育を子ども中心の学びに変えられるかです。
そんな折、この江戸時代末期にこの松下村塾での教育方針に更に感動したのです。
立志を核にした個性伸張の実践教育が基本である。
授業では、会読・対読が中心となる。
討論会・野外活動を通して対話や意見交換を重んじる。
まさに、私達が取り組もうとしている教育の姿がこの時代に既に実現されていたのだと
驚かされました。
新しいこととは、昔を知ることなのかとつくづく思いました。
温故知新です。