校長室より

教師の力

「教師は子どもの心を診断する医者でなければならない。」

我孫子第一小学校で約20年前、私が尊敬している校長先生がお話された言葉です。

当時の校長先生が職員室やPTA会議等で話された内容をノートにメモしていました。

又、教師は子どもの心の教育を一番大切にすることを熱心にお話されていました。

医者ではないのですが、先生と呼ばれる一人として子どもの心をどれだけ本当に理解しているのか胸に突き刺さったことを覚えています。

医者は診断して、患者に処方箋を施します。

教師は子どもの悩みを知り、共感し、学校で具体的対応策を講じてあげなければなりません。

日々、子どもが本当のことを話してくれる信頼関係を築き、場の空気をしっかりと読んで、悩みを解決できる糸口を探してあげたいものです。

 

イギリスの有名な教育学者である、ウィリアム・アーサー・ワードは「優れた教師は」の中で、次のように述べています。

凡庸な教師は、ただしゃべる。

●少しましな教師は、理解させようと努める。

●優れた教師は、自らやってみせる。

●本当に優れた教師は、生徒の心に火を点ける。

 私達教師は、子ども自身がやる気を持てるように仕向ける技術を身につける必要があると思います。それも、その子の個性に合った方法で真剣に語ることが大事です。子どもは、

教師が上辺で言っているのかを見抜きます。

 

 明治生まれの森信三(しんぞう)先生は、「生を教育に求めて」の著書の中で、教師の力について辛口に述べています。

 例えば、校長の挨拶のあり方については、

朝の挨拶は、部下はもとより子ども達にも、否、用務員さんにもこちらから先手を打たねばなるまい。全校朝会などで、「まだ朝の挨拶が良くないから、みんなしっかりやるように。

・・・・」などと間抜けたお説教を繰り返している程度の校長に、一体何が出来るというのであろうか。

なんとも鋭い指摘であります。

 教育について、極めつけの重い言葉があります。

 「教育とは流水に文字を書くような果てない業である。

  だが、それを岩壁に刻むような真剣さで取り組まねばならぬ。」

 

 学校立て直しの定石として、最初に打つべき三つの具体的な事柄もあげています。

①朝のあいさつ

②学校内外の紙クズがなくなること

③靴箱の靴のかかとが一直線に揃うこと

 まさしく、率先垂範のみです。毎日の私達の言動こそが教育だと戒めたいと思います。