この度,令和7年度栃木県公立小中学校教頭会の会長という重責を担うことになりました。微力ではございますが,前会長や本年度役員,事務局,そして関係諸機関と手を携え,本県の教育発展のため全力を尽くす所存です。一年間,どうぞよろしくお願い申し上げます。
はじめに,本教頭会は,諸先輩方と会員の皆様の真摯な努力と弛まぬ研究の積み重ねを礎に,結成63年目を迎えました。
発足当時(昭和38年)を振り返ると,戦後の教育改革(6・3・3制など)が定着しつつも,高度経済成長期における担い手不足,「詰め込み教育」への懸念や学力格差,そして都市化・核家族化による地域・家庭の教育力低下といった新たな課題が顕在化していました。昭和33年に改訂された学習指導要領は,法的拘束力を持つ教育課程編成の基準として,「基礎学力の充実」が重視され,「道徳の時間」が特設されました。また,人口増加に伴い,職員室には多くの若い教員が加わっていきました。
現代,令和の時代に目を転じれば,私たちはコロナ禍を経験しました。この困難な状況は,GIGAスクール構想・教育のデジタル化を加速させ,学校行事等のスリム化にもつながりました。一方で,世の中はグローバル化,情報化の進展,生成AIなどの技術革新,少子化・人口減少による地域社会の変容といった多岐にわたる変化に直面し,まさに将来の予測が困難な時代となっています。教育現場では,いじめや不登校,児童虐待といった根深い問題が依然として存在し,教員の働き方改革が喫緊の課題であることは言うまでもありません。
教育の未来に目を向けると,次期学習指導要領の方向性として,令和6年12月に公表された中教審の諮問では,主に以下の4点が示されました。
・ 質の高い,深い学びを実現し,分かりやすく使いやすい学習指導要領の在り方
・ 多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程の在り方
・ 各教科等やその目標・内容の在り方
・ 教育課程の実施に伴う負担への指摘に真摯に向き合うことを含む,学習指導要領の趣旨の着実な実現のための方策
このように,過去,現在,そして未来の教育の動向を踏まえると,私たち教頭・副校長は,発足当時にも増して,会員同士がつながり,親睦を深めながら,互いに知恵を出し合い,主体的・協働的に研究を進め,教育の振興と教育諸条件の向上に寄与していくことが極めて重要であることがわかります。そして,この役割はこれからも変わらないと確信しています。
結びに,本教頭会は,会員の皆様お一人お一人のお力添えをいただきながら,教育の今日的な課題解決,教育の未来への貢献に向けた活動を通して,会員皆様のウェルビーイングの一助となれるよう努めてまいります。なお,本教頭会は令和9年度に関ブロ栃木大会を開催します。本年度,その準備委員会を発足させる運びとなっております。ご理解とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。