校長室のひとりごと「未来を見据えて」
先週、盛岡に行ってきました。全日本中学校長会研究協議会に参加したためです。千葉県からは53名の参加でしたが、南は沖縄、北は北海道まで約2000人の中学校の校長が集まり、今日的な教育課題について様々な協議を行いました。
記念講演では国立天文台水沢VLBI観測所の「本間希樹 所長(東大大学院助教授)」による「黄金の國いわて発 銀河系経由 ブラックホールへの旅」。本間所長は、人類が100年かけて少しずつ解明してきたブラックホールの存在を決定づける偉業、ジグソーパズルの最後のピースを見つけた世界的プロジェクトの一員です。その最後のピースとは、ブラックホールの画像です。つまり撮影に成功した天文学者です。ブラックホールとは、重力が強すぎて光でさえもその重力に吸い込まれてしまう天体だそうで、天文学に疎い私のような校長でもわかるように話してくださいました。講演の最後に本間所長は「中学生の理科ばなれが心配でならない。これからの時代は新しく何かを作り出していく時代で数学や理科がその基本。校長先生方には何とか中学生の理科離れを食い止めてほしい」と胸に突き刺さる一言をいただき、続けて「学生はすぐにこれが何の役に立つのかと言ってきますが、そんな時には二人の科学者の話をしてあげてください」と話されました。その二人の科学者の一人目は電気電力について数々の発明をした「ジェームズ ワット」です。彼はこの発明が何の役に立つのかと問われ「今はまだ何の役にも立たない」と言い切ったそうです。二人目は電磁誘導の発明者「マイケル ファラデー」です。彼もこの発明が何の役に立つのかという問いに対し、「赤ちゃんは何の役に立つのか考えて生まれてくるわけではない」と言い切ったそうです。言わずと知れた二人の発明が、現代社会においてなくてはならない発明だったと誰も疑いはしないでしょう。
この二人のように疑問に思うことを利害関係など一切関係なく、とことん突き進めたからこその偉業だったのでしょう。