校長室のひとりごと「算術・算数・数学」
教育相談(三者面談)が始まっています。中学生ともなると得意な教科、苦手な教科が生まれ、その差が広まってくるものです。中学校ではより専門的内容を学習するため得意・不得意が出てくるのも当然かもしれません。学級担任だった頃の面談を思い出すと「苦手な教科は?」と尋ねると「数学です」と答える生徒が少なくありませんでした。更に「いつ頃から?」と尋ねると「小学校の頃は大丈夫だったのに中一頃からだと思います」というようなやりとりをしたことを思い出します。なぜ中学校に入ると数学が苦手になるのでしょうか。小学校では数学ではなく「算数」という教科です。明治時代には「算術」と呼ばれ、買い物でのお金の計算や土地の測量など、日常生活で使える計算技能を身につけることが最優先だったそうです。その名残で、まずは日常生活で必要となる数字に関する意味、数量の関係性など数量感覚(例:消費税の計算など)を学ぼうというのが小学校の算数です。一方中学校の「数学」では代数や関数、証明や確率など日常生活に直結しているわけではありません。これが苦手な原因かもしれません。しかし、これらを学ぶのには理由があります。数学的な物の捉え方・考え方、つまり「物事を筋道立てて考える力」を身につけることを目的としているからなのです。ですから「こんなの学者じゃなければ一生使わないし・・・」などと苦手な生徒は愚痴をこぼしたりします。中学校では、直接日常生活に直結するとは言いがたい学習を各教科で進めているのはこのような理由からなのです。