学校長の窓

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平成25年度立志式 式辞

 小貝川の流れも、心なしかゆるみ始め、厳しい冬の寒さに、じっと耐えてきた校庭の木々も、新しい芽を膨らませ、早春の訪れを感じさせる季節になってまいりました。
  本日は、公私御多用の中を、益子町副町長 法師人  弘 様、 益子町議会副議長 長岡景介 様をはじめ、 多数の御来賓の皆様の御臨席と、保護者の皆様の御列席を賜り、ここに、平成25年度立志式が、挙行できますことをうれしく思います。心より厚く御礼申し上 げます。
  さて、134名の立志生の皆さん、そして、保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。本日の立志式は、皆さん一人ひとりが、これまでの自分の成長を実感する行事であり、これからの自分の生き方を学び、身に付けていくという、新しい成長の出発点となる、大事な行事です。また、昔から「十五にして学を志す」と言われてきたように、数え年十五歳は、自分自身を、自分で眺めることができるようになる、年齢でもあります。
  皆さんは、立志の時を迎えるにあたり、『立志記念文集』(未来)を発行しました。その中には、一人ひとりの「立志の誓い」が書かれてあります。そして、その言葉一つ一つに、将来の夢や目標の実現に向かって、努力しようとする決意が感じられます。
 中国の古典の言葉に、「青雲大志」という言葉があります。「青雲」とは、高く晴れわたった空を言い、高尚な聖賢の境地にあこがれる気持ちのことを言います。わかりやすい言葉に直すと、豊かな心、よい人格をもち、大きな志、大きな夢をもつ人になってほしいということです。
  大きな夢は、生きる喜びであり、生きるエネルギーです。理想として生きる目標や計画を立てることは、その人の生き方を広げ、心を大きくしてくれます。ここで、幕末の志士であり、高知県の偉人、坂本龍馬の言葉を紹介します。
  「人として生まれたからには、太平洋のように、でっかい夢を、もつべきだ。人間、好きな道によって、世界を切り拓いていく」という言葉です。
  皆さんは今、「自分探しの旅」の真っ最中です。自分の好きな道を探し、自分自身の好きなことを通じて、やがて社会に貢献する大人になってもらいたいと願っています。
 また、夢や目標をもち、それを実行に移すときには、必ず多くの困難にぶつかります。坂本龍馬は、「おれは落胆するより、次の方策を考  える方の人間だ」という言葉も残しています。龍馬のように、困難に負けず、次の方策、困難を乗り越える方策を考えて努力すれば、きっと「夢」は現実のものとなります。
  夢や目標の実現は、他者から与えられるものではなく、自ら努力して勝ち取るものです。「自分は自分の主人公」「世界でただひとり、自分を創っていく責任者」という気概をもち、日々努力することを願っています。 
  そして、今日の立志式を機会に、自分の将来を見定め、次のステップへ自分を高める土台づくりをしてほしいと思います。理想とする自分を思い描き、自立した益子中生を目指して、今日から実行に移すことを期待しています。
  これまでの14年間、皆さんがここまでやってこられたのは、保護者や家族、地域の方々の支えがあったからです。
皆さんの成長を見守り、支えてくださった、これらの方々への感謝の気持ちを忘れず、夢を叶えるための確かな歩みを続けてください。皆さんの今後の活躍を祈っています。
  結びに、本日御臨席を賜りました御来賓の皆様、そして、御列席をいただきました保護者の皆様の、本校への御支援、御協力に深く感謝申し上げ、式辞といたします。

『立志記念文集』に寄せて「二度ない人生をどう生きるか」

  立志の時を迎えた2年生のみなさん、おめでとうございます。立志とは自分の心に向かい、おもむくところをしっかりと決定し、一度こうと決心たからには、真っすぐにその方向を目指して、絶えずその決心を失わぬよ努力することです。
 人にはみな「夢」があります。しかし、その夢が夢のままに終わらないう、努力し続けることが大事なのです。「なりたい」と思っているだけでは夢は逃げてしまい、叶えることはできません。「なりたい」思いを奮い立せても、それに伴って「志」が立っていなければ、決心がゆるみ、後戻りてしまいます。だからこそ、一度士気を奮い起こしたならば、次にはしっりと「志」を立てることが大切なのです。
 しかも、「初志貫徹」の言葉通り、「志」を大切にしながら前に進むこと「志」にぶれることなく、柔軟な姿勢をもって前に進むことは、志を大切し、方策を考え、行動することから得られるのです。「太陽は夜が明けるを待って昇るのではない、太陽が昇るから夜が明けるのだ」という有名な葉があります。夜明けは、待っていてもやって来ません。自分が行動・実することによって初めて、夜明けをもたらすことが出来るです。 
 人間は、ただ漠然と生きているだけでは、自分の存在感が薄れ、自我意が解体する可能性があります。このような危機を乗り越えるためにも、自が向かう目的を見つけ、将来への方向性を見定めて生きてほしいと思います。 また、人が生きる最大の喜びは、「他の人の役に立っている、役に立つとが出来る、と実感出来ることだ」と言います。他者との関係の中で一定役割や使命を果たし、他者から必要とされることによって、自己の存在を感してほしいと思います。
最後に、社会心理学者のフロムの言葉を贈ります。
  「自分自身でないことほど恥ずべきことはなく、自分自身でものを考え、感じ、話すことほど、誇りと幸福を与えるものはない。」 
 自分の意志に基づき、自分らしさを表現して生きるとき、私たちは自分本物の人生を生きていることを実感でき、それが生きる自信と誇りを与えくれるのです。
 この立志の時は、二度ない人生を、どのようにすれば価値あるものとし送ることができるのか、真剣に考える機会でもあります。「志」を立てるとで、一日一日が大切なものに思えるようになるでしょう そして、「自は自分の主人公、世界でただひとり自分を創っていく責任者」という気概もって、「志」を確立し、自らの伸び代を大いに広げてほしいと願っていす。

 

平成25年度第6回朝会講話「“おもてなし”の心について考える」

 2020年の東京オリンピック誘致のプレゼンテーションで、「おもてなし」の心は、海外の方々に大きな影響があったと報道されています。「おもてなし」を世界中に広げたのが、滝川クリステルさんです。「東京はみなさまをユニークにお迎えします。日本語で“おもてなし”と表現します。それは、訪れる人を慈しみ見返りを求めない深い意味があります」 という言葉から始まりました。滝川さんは流暢なフランスで、にこやかにスピーチをしました。
  この「おもてなし」は、英語では「hospitality」と訳されることがありますが、「hospitality」という単語では十分に言い表せないものだと思います。 つまり、的確な言葉は外国語には存在しないように思います。

 ここで、日本の「おもてなし」を最も象徴する一例を紹介します。
 それは、石田三成の「三献(さんこん)の茶」です。これは、豊臣秀吉と初めて出会った際の逸話として伝えられるものです。長浜城主となった羽柴秀吉(豊臣秀吉)は、鷹狩りの途中に喉の渇きを覚えて、観音寺に立ち寄り茶を求めたそうです。石田三成は、その寺の小僧でした。

 三成は、汗だくの秀吉を見て、最初に大きな茶碗にぬるめの茶をたっぷり入れて差し出しました。喉の渇いていた秀吉は、一気に飲み干しました。そして、秀吉は二杯目を所望しました。三成は、一杯目より少し熱いお茶を半分だけ入れて差し出しました。秀吉は、試しにもう一杯所望しました。今度は小さな湯飲みに熱いお茶を差し出しました。秀吉はこの三成の相手を思いやる心に感心しました。それから、三成は秀吉に召抱えられることになりました。その後、五奉行の一人となるまで出世しました。
 この逸話は、「三献の茶」として後世に伝わる三成の「おもてなし」です。

 日本では、「おもてなし」という言葉は、日常でもよく使われています。大切なことは、「相手の気持ちになって、思いやる気持ちで」おもてなしをすることだと思います。例えば、学校に来られる方がどこに行けばよいかわからないで困っているとき、「こちらです。御案内します。」と笑顔で声を掛けられたら、どれほどうれしいことでしょう。益子中らしい「おもてなし」になるだろうと思います。

 これから「一期一会」を大切にして、「おもてなし」の言葉を増やしていきましょう。終わります。

生徒会誌『聖が丘』第54号に寄せて

 今校長室には、7本の優勝旗が大きな存在感をもって飾られています。また、職員室入口近くの棚には、優勝のトロフィーや盾が所狭しと置かれています。これらは、スポーツ各種大会で活躍した証しであり、生徒たちの努力と汗の結晶でもあります。
 これまで多くのスポーツ各種大会に足を運び、そのたびに感動したことがあります。それは、試合中の生徒たちの大きな掛け声です。一部のスポーツ(声を出してはいけないスポーツ)を除き、生徒たちは大きな声を出し、試合に臨みます。その凛々しく、潑剌とした姿は、発する掛け声と重なり一段と存在感を示します。躍動感あふれるプレー、決してあきらめない生徒の姿に、勝利の女神は必ずついてきます。
 スポーツによって出す声も異なります。本校の場合、例えば、バドミントン部の生徒は、「エイ!」「ヤー!」と声を出します。実に勇ましく、プレーに力強さを感じます。また、ソフトテニス部の生徒は、「ヨシ!」「ソレ!」と声を出し、ゲームを見事に組み立てます。それから、バレーボール部の生徒は、「ヨーシ!」「オー!」など、大きな声を出し、勝利を目指してチームの士気を高めます。
 実は、スポーツ時に「声」を出すことで、よい成績につながることが科学的に分析されているのです。それぞれのスポーツシーンで用いている「声」は、「スポーツオノマトペ」と名付けられています。この「オノマトペ」とは、フランス語onomatopée(オノマトペー)に語源をもつ擬音語(物が発する音)・擬声語(人や動物が発する声)・擬態語(状態や感情などの音を発しないものを字句で模倣したもの)を意味します。
 スポーツオノマトペ研究の第一人者である藤野良孝朝日大学准教授は、選手が実際に声を出すことで、「自分のプレーが上達する」「リズムやタイミングが保てる」「自分に負けない、絶対に勝つという自己暗示をかける」「モチベーションを高める」などの効果が得られると指摘しています。
 実際に、トップアスリート(一流選手)ほど、試合中に声を出しています。ハンマー投げの室伏広治選手は「ンガーッ」と叫び、卓球の福原愛選手は「サー」と大きな声を出します。また、ソフトボールの上野由岐子選手は「ヨイッショー」の掛け声と共に投球するというのは有名な話です。
 本校の生徒たちも、トップアスリート(一流選手)に負けず劣らず、「スポーツオノマトペ」を使っています。スポーツは、中学時代で完結するものではありません。これから高校や大学等に進学し、さらには社会人としてスポーツを続ける人もいるでしょう。そして近い将来、オリンピックに出場する人もいるかも知れません。この「スポーツオノマトペ」は、自分を前向きな気持ちにさせる魔法の言葉なのです。

 

平成25年度卒業式 式辞

 弥生の風の冷たさも和らぎ、校庭の木々も芽を膨らませ春の訪れが感じられる、今日の佳き日に、益子町民生部長 福田幸利 様、 益子町議会副議長  長岡景介 様をはじめ、多数の御来賓の皆様の御臨席と、保護者の皆様の御列席を賜り、ここに平成25年度卒業式が盛大に挙行できますことは、私たち教職員にとりましても、この上ない喜びであります。御臨席賜りました皆様に、心より御礼申し上げます。
 さて、卒業生のみなさん、そして保護者の皆様、御卒業おめでとうございます。みなさんの晴れの門出を祝福します。
 ただ今、147名のみなさんに、卒業証書を授与いたしました。一人一人の引き締まった表情の中に、中学校3年間の生活をやり遂げたという、大きな満足感と、新たな人生への旅立ちの決意が感じられ、大変うれしく思います。
 振り返れば3年前、東日本大震災に見舞われ、心の傷を癒やしながら、みなさんは本校に入学しました。当たり前に生活できることの幸せや、家族の絆、家族の温かさを実感し、また、仲間との友情を深めながら、みなさんは、この3年間の中学校生活を自分らしく、大変立派に過ごしてきました。
 みなさんと共に過ごした3年間は、私にとって本当に幸せな年月でした。みなさんのすがすがしい表情や真剣な眼差しを思い浮かべるたびに、数々の感動が込み上げてきます。そして、みなさんに出会えたことが本当によかったです。特に最高学年として、また学校の顔として、大活躍したこの1年間は、みなさんのすばらしい自主的な活動に触れ、多くの感動と喜びを味わいました。
 まず、自主的な「あいさつ運動」では、部活動や委員会活動を中心に、明るく元気なあいさつを広げようと、年間を通じて実践してくれました。地域の方々からも褒められることが多く、みなさんにとって大きな励みになったと思います。また、自主的な活動として、部活動や学校行事、ボランティア活動など、すばらしい活躍があげられます。今校長室には、七本の優勝旗が飾られています。また、職員室入口近くの棚や校長室にも、優勝や団体賞のトロフィーや盾が数多く置かれています。これらはすべて、みなさんの活躍ぶりを物語っています。
 特に、卓球部男子・女子の全国大会出場、野球部・ソフトテニス部男子の関東大会出場をはじめ、多くの部が県大会や郡市大会で大活躍しました。文化活動でも多くの活躍が見られました。県吹奏楽コンテストや県アンサンブルコンテストでの活躍、下野教育美術展での県議会議長賞受賞、全国子ども陶芸展等での受賞の数々、さらには、NHK杯放送コンテスト全国大会出場など、立派な成績を収めました。これらの成果は、自分のよさを十分に発揮し、自らの「伸び代」を大いに広げた結果だと思います。
 また、学校行事では、秋季大運動会での団結力や連帯感、そして躍動感あふれる演技など、学校全体を盛り上げ、導いてくれました。そして、「聖が丘祭」では、合唱コンクールでの美しい歌声、ステージ部門での創造性あふれる演技など、さすが3年生と、誰もが感動し、会場全体を美しく染め上げてくれました。
 これらすべてのことに、共通することがあります。それは、校訓「聖心」の下、みなさんが「優れた人を目指し、日々努力し、やり遂げる」という態度です。目標を立て、その目標の実現に向け努力すれば、大抵のことはできるのだということを、これらの自主的な活動を通して示してくれました。
 いよいよみなさんは、これから自分の選んだ道へ、新たな第一歩を踏み出します。ここで、みなさんの門出に当たり、二つのことを話します。
 一つ目は、「失敗を恐れず、勇気をもって、燃える心で果敢にチャレンジしてほしい」ということです。「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」という言葉があります。努力の成果が、思うように上がらない日もあるかもしれません。辛く苦しい日もあるかもしれません。そんな日が続くときでも、毎日地道な努力を積み重ねていってください。成果は急には現れないと思いますが、必ず大きな花を咲かせることができるのです。なぜなら、大きな花を咲かせるためには、それをしっかりと支える根っこが必要だからです。最後まであきらめず、地道な努力を続けてほしいと思います。
 二つ目は、「思いやるという生き方を実践してほしい」ということです。「思いやり」という言葉の意味は、「相手の立場に立って思いを巡らすこと」です。しかし、それを行動に置き換えることの困難さは、みなさんは承知していることと思います。私たちは、一人では生きていくことはできません。必ず誰かのお世話になり、今日という日があるのだということを忘れないでほしいのです。そして、自分が受けてきた「思いやり」を、今度は人のために使い切ってほしいと思います。「生きる」とは、前に向かって進むことです。「進む」とは、人間の幸せを求めて、努力することです。他者を「思いやる」ことを忘れず、力強く生きていってください。
 ここで、保護者の皆様に申し上げます。お子様の御卒業、誠におめでとうございます。立派に成長したお子様の姿を目の当たりにし、感無量のことと思います。全てが実を結び、本日ここに立派に御卒業の日を迎えられましたことに、心よりお慶び申し上げます。また、この3年間、本校教育に対する格別の御理解と御協力を賜り、改めて御礼申し上げます。
 卒業生のみなさん、3年間よく頑張りました。褒めてあげたいです。すばらしい思い出をありがとう。多くの感動をありがとう。そして、最高の笑顔をありがとう。みなさんは私の誇りです。
 結びに、卒業生のみなさんの限りない前途を祝し、式辞といたします。