郷土資料館の収蔵資料

収蔵資料の紹介

資料名 世界一藤のかすかべ(せかいいちふじのかすかべ)
年代 昭和5年(1930年)4月25日印刷、5月1日発行
法量 22.6×15.6センチメートル
資料種別 歴史資料
文化財指定 未指定
収蔵番号等 市史編さん収集資料
資料写真
解説 この資料は、昭和5年(1930年)5月に、行楽新聞社から発行された粕壁町と幸松村の観光案内書です。編者は粕壁町の福島氏。牛島のフジを中心に、粕壁駅周辺のお店や名所旧跡が詳しく紹介されています。オススメされている観光ルートが、町を一周する形で設定されていることから、粕壁町・幸松村を隅々まで堪能してほしいという編者の想いが感じられます。
当時は現在の藤の牛島駅が開設される前なので、粕壁駅から牛島のフジへ向かう道のり(およそ2.5キロメートル、徒歩約30分)が紹介されています。本資料が発行された昭和5年(1930)10月に牛島駅が開設され、翌年昭和6年(1931)3月に藤の牛島駅へ改名されました。また、藤に関する俳諧や、病の娘が牛島のフジの験によって快方するという牛島のフジの由来・伝説についても記載されています。現在調査された限りでは、牛島のフジの伝説は本資料が初出と考えられています。(図1本文)
牛島のフジに加えて、実業家鈴木久五郎が造園した牡丹園が名所として紹介されています。フジで一躍有名になった粕壁・幸松を、次はボタンで盛り上げようとする計画があったという記述もあります。(図2資料に掲載されている地図と観光ルート 赤:行き 青:帰り)
他にも、粕壁町・幸松村の由来当時の人口、町営電燈導入に関する記事が掲載されており、昭和初期の町勢を知ることが出来るとても貴重な資料となっています。(図3当時の牛島のフジの写真)
図1
図2
図3
図4
語注 粕壁町(かすかべまち):埼玉県南埼玉郡に明治22年(1889)〜昭和19年(1944)まで存在した町。現在の春日部市粕壁・粕壁東・浜川戸・八木崎・八木崎町・緑町・南・中央の一部に相当する。
幸松村(こうまつむら): 埼玉県北葛飾郡に明治22年(1889)〜昭和29年(1954)まで存在した村。現在の春日部市八丁目・小渕・不動院野・樋籠・新川・牛島・樋堀に相当する。
鈴木久五郎(すずききゅうごろう):明治10年〜昭和18年(1877〜1943)。株の売買で大儲けした実業家。日露戦争後の恐慌による株式暴落
参考文献 「ミニ企画展示 藤のまち春日部」(春日部市郷土資料館展示解説、2020年)
その他 (このページの製作者 令和2年度博物館実習生・桝澤大輝)