郷土資料館の収蔵資料

収蔵資料の紹介

資料名 内牧塚内4号墳出土人物埴輪(うちまきつかないよんごうふんしゅつどじんぶつはにわ)
年代 6世紀中頃
法量 24×16センチメートル
資料種別 考古資料
文化財指定 市指定有形文化財
収蔵番号等 常設展示
資料写真
解説 この埴輪は、古代の男性をかたどった人物埴輪です。頭部の中央から左右に髪を分け、耳の横に美豆良(みずら)を下げ、首には飾りの玉が垂らされ、耳は円孔で表現されています。顔の部分にはわずかに赤い模様(朱彩)がみえます。
埴輪は、内牧にある東西約20メートル、南北約10メートル、高さ約2メートルほどの円墳(内牧塚内4号墳)から出土したものです。4号墳は6世紀中頃に造られたと推定され、人物埴輪のほか、粘土槨やガラスの小玉や鉄の直刀、鉄鏃(てつぞく、鉄の矢じり)、円筒埴輪なども出土し、出土遺物は春日部市指定有形文化財となっています。
円筒埴輪は、武蔵地方でよくみられる赤褐色のものと、下総地方でよくみられる黄褐色もしくは褐色のものの2系統あり、ここに埋葬されたのは、武蔵・下総両地方と交流をもった人物と考えられています。
内牧地区には、4号墳を含め、古墳時代後期(6世紀中後期)に造られた小規模な墳丘が20基以上確認され、内牧塚内古墳群と呼ばれています。
図1
図2
図3
図4
語注 墳丘(ふんきゅう): 墳墓として土を盛って造られた小高い丘。
形象埴輪(けいしょうはにわ) :人や動物、家屋の形をかたどる埴輪。
円筒埴輪(えんとうはにわ) :円筒形の埴輪。長方形や三角形、円形などの穴が空いていることがある。
粘土槨(ねんどかく): 古代の埋葬施設の一種。木棺の周囲を粘土で覆ったもの。
美豆良(みずら): 古代の男性の髪の結い方。髪を中央から左右に分け、両耳の辺りで輪状に束ね結んだもの。六〜七世紀までは成人男子の髪型であり、平安時代以降は主に少年の髪型である。
参考文献 春日部市郷土資料館編 『古墳時代の祈り 〜内牧塚内古墳群と武蔵・下総の埴輪〜』 春日部市郷土資料館 2012年7月
春日部市教育委員会編 『春日部市史 第1巻考古資料編』春日部市教育委員会 1998年
春日部市教育委員会編 『春日部市史 第6巻通史編1』 春日部市教育委員会 1998年
塩野博 『埼玉の古墳 北埼玉・南埼玉・北葛飾』 さきたま出版会 2004年9月
日本史広辞典編集委員会編 『日本史広辞典』 山川出版社 1997年10月
その他 (このページの製作者 平成26年度博物館実習生・高島拓也)