郷土資料館の収蔵資料

収蔵資料の紹介

資料名 陣屋稲荷 狐像二対(じんやいなり きつねぞうについ)
年代 近現代
法量 小:横(台座)3.5センチメートル、縦(台座)2.5センチメートル、高さ7センチメートル /大:横(台座)6.5センチメートル、縦(台座)4センチメートル、高さ15センチメートル
資料種別 歴史資料
文化財指定 未指定
収蔵番号等 524-24,524-25
資料写真
解説 この狐像は、市内の陣屋稲荷の本殿に奉納されていたものです。狐は稲荷神の使いとされていて、稲荷神社は田の神としての狐信仰と結びついています。陣屋稲荷は、粕壁三丁目ノ七にありましたが、平成30年(2018)8月町内会の解散に伴って遷座の儀式を行い、解体された稲荷社です。狐像には、銘などはなく、奉納された年代や経緯は詳しくわかりません。ただ、同社の祠に祀られていたご神体(石塔)には、「明治二拾年十二月九日」とあるので、明治以降、近現代に奉納されたものと考えられます。
解体されたため、今は見る影もありませんが、地元の人によれば、初午の祭礼には、子供たちは太鼓を打ち鳴らし、「アンドンヤブリ」という遊びをして大変賑わっていたそうです。
昭和初めの粕壁町内の地誌、粕壁尋常小学校編『郷土の研究』には、初午祭礼の記事がみえます。これによれば、赤飯やスミツカレなどを稲荷社に供え、組合の人は酒宴を開き、都市によっては火祭りを行ったと記録されています。また、掛け行灯に俳句を書いて出し、子どもたちは、他の稲荷社にいってお供えを取り、掛け行灯を破り、たくさん破ったほうが勝ち、という習俗が記録されています。この記録から、初午の日、陣屋稲荷のみならず、粕壁の町全体が祭礼行事で賑わっていたことが知られます。
図1
図2
図3
図4
語注 稲荷神社(いなりじんじゃ)・稲荷信仰(いなりしんこう):稲荷社は全国各地に3万ほどあり、総本社になるのは「伏見稲荷神社」。
初午(はつうま):春日部市域では、2月初午、子供たちはお籠もりをする。
スミツカレ:大根を粗めにおろして、節分のときに残った大豆をつぶしてその中に入れたものを醤油と砂糖で煮た料理。
『郷土の研究』(きょうどのけんきゅう):昭和7年(1932)粕壁尋常小学校編の粕壁町の地誌。稿本だが、各種統計や民俗・方言・伝説など多岐にわたる調査がなされている。
参考文献 『春日部市史 第5巻 民俗編』(春日部市教育委員会、1993年)
その他 (このページの製作者 令和2年度博物館実習生・大平貴美子)