#エア博物館 遺跡と遺構と遺物
#おうちで博物館
郷土資料館の今年度の計画では、12月ごろに学芸員による「考古学講座」を予定しています。広報やほごログでご案内いたしますので、ご興味のある方はぜひご参加いただければと思います。新型コロナ感染症の状況も心配ですが、実施に向けて準備を進めています。
今回は講座でお話する内容の中から、考古学でよく使われる「遺跡」と「遺構(いこう)」と「遺物(いぶつ)」という用語についてご紹介します。
まず遺物は、土器や石器のような遺跡からとりはずして動かせるもののことを言います。人工遺物の他に、動物の骨や植物の種子など自然遺物と呼ばれるものも含まれます。
遺構は、住居の跡や墓の跡など、容易に遺跡からとりはずして持ち運べないもののことを言います。そしてこの遺構、遺物から構成されるものが遺跡です。
視点を変えてみますと、資料館に展示している土器や石器などはすべて遺物です。遺構は図面や写真、資料館の竪穴式住居模型のような復元模型の方法で紹介されます。
遺構は、遺構の剥ぎ取りなど例外的な方法を除いては、実物を持ち帰ったり、展示することができません。したがって、発掘調査を行う場合は、遺跡でしっかりと遺構の記録をとることが重要になります。
さらに、過去の人類の活動を研究する上では、遺跡内の遺構と遺物の位置関係が重要になります。例えば、一つの土器が、竪穴式住居の床面から発見されたのか、埋まっている土の中から発見されたのか、ここに着目することによって、その土器が竪穴式住居に住んだ人たちの土器なのか、それとも住居が使われなくなってからの土器なのかを推定することができます。
遺構と遺物を区別して考えることで、遺跡への理解が深まります。
遺構:竪穴住居跡(貝の内遺跡(西宝珠花))
遺物:土器 (塚崎遺跡(塚崎)の土師器(はじき))