ほごログ(文化財課ブログ)

春日部市史「自然史編」による『地学さんぽ講座』を開催しました!

この5月に皆さまにお知らせしました、市史の新たな刊行物「市史自然誌編」に収録した中から市内の特徴的な地形地質に焦点をあてた実地講座として「地学さんぽ」を10月26日(土)に開催しました。

 1回目は八木崎駅からほど近い春日部八幡神社の境内で3名の市史執筆者の解説と様々な観察と体験を行いました。
 紅葉にはもう少し寒暖差が必要かと思われる色づきのイチョウの葉について、竹内先生から講義いただきました。葉の形をはじめ、葉の裏に表れる脈、枝ぶりによって分類できる『生きている化石植物』。身近な植物ではあるが、実に今から1~2億年前から生息している解説には参加者一同、おどろきの声。境内参道の大イチョウをはじめ、八幡公園には葉の切れ込みの有無で3タイプのイチョウの葉が確認できました。

 

▲境内地に生育する大イチョウの葉の形を眺め見る参加者  境内と公園から拾い集めた落葉の形を比較してみました

 続いて境内に広がる埼玉県指定天然記念物である「河畔砂丘」について平社先生、小川先生から講義。国内でも愛知県と岐阜県両県にまたがる木曽川流域と埼玉県東部の利根川筋で確認される希少な地形。その中でも砂丘のメカニズムや形成の開始時期と完了した時期が浜川戸遺跡の発掘調査で得られた考古遺物で明らかにされている『浜川戸河畔砂丘』について実地見聞を行いました。境内地にいくつもの社が祀られていますが、その中でも稲荷社は砂丘の最高地点に鎮座。砂丘の高まりを利用して建立されいたという解説には古くから参拝されていた参加者も足下の砂の存在に初めて気づかされました。

 

▲八幡公園から北側稲荷社には明らかな高まりが観察できる。八幡神社から稲荷社への参道には砂地で覆われており、これが浜川戸砂丘の裾野にあたる。

その後、境内東側の浅間社へ移動。手作りで製作できる測定器を用いて市内有数の高さを誇る富士塚で班で測量してみました。視線の高さを基準に繰り返し移動、従前までは8m余りと記録されていましたが、実際に測ると12.5mと判別。いずれの班も許容範囲の値が確認することができました。


 ▲班ごとに測量分担を決め、班行動。手作り測定器のおもりを垂直に垂らし、目線の高さを基準に繰り返し測量してみました。

次回は2月2日(日)。教育センターで、市内の砂丘の砂や関東周辺の火山からもたらされた関東ロームの土壌を顕微鏡で観察、火山や河川からもたらされた鉱石類の観察をとおしてミクロの世界から市内の地形の成り立ちを探ります。興味のある方はご連絡をお待ちしております。

(文化財課 739-6811)。