春日部ゆかりの企画展(2)「野田の浅間様」展(野田市郷土博物館)
野田市郷土博物館では「野田の浅間様~石に刻まれた富士山への祈り~」展を開催しています。
同展は、野田市域の富士信仰について紹介する企画展示です。春日部市と野田市は、隣のまちですが、江戸川を隔て、埼玉県・千葉県と別の県に属しておりますが、江戸川ができる以前、春日部市域のうち旧庄和町域と野田市域とは、同じ「下総国葛飾郡庄内領」とよばれる同一の地域でした。
本展では、市内に残る石造物・富士塚を網羅・悉皆的に調査した成果に基づいた展示で、春日部市域での活動がみられる富士信仰の講中の足跡も紹介されています。とくに、宝珠花を中心とする講中「丸宝講」(まるたからこう・まるぼうこう)については、野田市域にも講員が広がっていた関係もあり、企画展の一つの見所になっています。
ご担当の学芸員さんは、展示にかかる調査で、春日部市域にも何度も足を運ばれたようです。当方どもも少しだけ協力させていただきましたが、春日部市内から、富士浅間信仰に関する新たな資料がいくつも見いだされました。
なかでも興味深いのが、春日部市内の先達のお宅に伝わる版木(野田市郷土博物館学芸員の方、所蔵者の方に許可ももらって撮影・掲載しています)。
行者が着る白装束に捺す版木と伝えられ、市域の富士信仰のあり方を伝える資料です。
また、西宝珠菜花の宝珠花神社の初山行事や、町史には掲載されなかった春日部市域の石造物にも丁寧に調査・紹介されていました。今春の企画展「藤・淵・富士 ふじのかすかべ」展でも紹介した春日部市域の講中や関連資料とも共通するものも多くあり、大変勉強になる刺激的な展示でした。
しかし、「ほごログ」に紹介しようと手間取っていたら、いつのまにやら、もうまもなく会期終了。ぜひお見逃し無く。必見の企画展です。
会 期 令和7年10月11日(土)~12月15日(月)
会 場 野田市郷土博物館1階展示室
開館時間 午前9時〜午後5時
休 館 火曜休館