ほごログ(文化財課ブログ)

渋谷区役所と春日部市役所と志木市役所

9月13日(日)まで、「1960年代の春日部」が開催中です。

現在の春日部市役所庁舎は、1970(昭和45)年1月19日から12月21日に建設工事が行われ、翌1971年1月8日に落成式が行われました。地下1階、地上5階、塔屋3階、建築面積3152.651平米、延床面積9007.428平米、総工費は5億9800万円でした。

正面ガラス張りの優美な曲線からなる建物は、当時の人々の目を引いたようで、『広報かすかべ新市庁舎完成記念特集号』では、「ユニークな建物」と表現されています。また、市役所の建物のイラストをあしらった落成記念手ぬぐいも作られ、落成式の記念品として配布されました。

なお、現在開催中の企画展「1960年代の春日部」にあわせ、郷土資料館では、市庁舎イラストの記念スタンプをご用意しました。

広報かすかべ新市庁舎完成記念号

広報かすかべ新市庁舎完成記念特集号

市庁舎落成記念てぬぐい

春日部市庁舎落成記念手ぬぐい(1971年)

 

 さて、1970年の春日部市役所建設工事の設計管理は、建築家、高橋武士氏が率いる株式会社建築モード研究所が行いました。株式会社建築モード研究所は、東京オリンピック開催の1964(昭和39)年に完成した渋谷区役所、また1972(昭和47)年完成の志木市役所の設計も行い、これらの庁舎は「三兄弟」ともいわれるような非常に似た外観で、曲線が生み出すモダンさなど建築業界でも注目を集めました。

高橋武士氏は、1957(昭和32)年に東京都立日比谷図書館(現千代田区立日比谷図書文化館)、その後、株式会社建築モード研究所を設立し、渋谷公会堂(渋谷区)や、有明コロシアム(江東区)、深川江戸資料館(江東区)などの設計も手がけました。

残念ながら、渋谷区役所は2015(平成27)年に、志木市役所は、まさに現在、解体工事が進行中で、われらが春日部市役所も、市立病院跡地に建設される新庁舎完成後に解体されます。

 建築中の春日部市役所

建設中の春日部市役所(「建築モード研究所」の看板が写る・1970年)

建設中の春日部市役所(1970年)

 建設中の春日部市役所(1970年)

 

参考文献

『広報かすかべ新市庁舎完成記念特集号』1971年

「渋谷、春日部と三兄弟?同じ事務所が手掛けた志木市役所解体へ 19日、市庁舎さよならイベント」

埼玉新聞2020年1月18日