校長室から

2020年8月の記事一覧

校長室から 8.27収束と終息

 ちょっと気になったことがあったので書いてみました。
 日本語には同音異義語(同じ読みではあるが意味が違っていることば)というものがあるわけですが、今、新型コロナウイルス感染症のニュースが毎日報道され、その中で、度々、【しゅうそく】という言葉が使われています。さて、この【しゅうそく】という言葉は、次のうちどれでしょうか。
  ①収束  ②終息  ③集束
国語辞典によると、それぞれの言葉の意味は次のとおりです。
  収束・・・混乱していた事態や事件がおさまりを見せること
  終息・・・戦乱や疫病などが、絶えてなくなること
  集束・・・光線の束などが1点に集まること
とすると、どうやら③ではなさそうですね。①、②のどちらでしょうか?実は、テレビでも新聞でも、どちらも使われているのです。一般的に「収束」は、ある一定の状態に落ち着くことで、「終息」は完全に終わるという意味に使われています。ですから、その人が言いたい意味によって変わってくるということです。つまり、次のような場合には、表記としては「収束」、「終息」のどちらもあり得るということになります。
  ①「韓国では感染の広がりが【しゅうそく】に向かっている。」
  ②「(新型コロナの問題が)【しゅうそく】すれば中国を訪問する。」
  ③「(新型コロナの問題が)早く【しゅうそく】してほしい。」
その人が「収束」と「終息」のどちらの意味で発言したのか、注意が必要ですね。この新型コロナの場合は、時間順に考えると、まずは「収束」を目指し、最終的には「終息」してほしいというところでしょうか。
 同じ読みでも、似たような意味でも、その言葉を使った人の気持ちを考えないと、本当にその人が言いたい意味にはなかなかたどり着けないかもしれません。日本語は面白いと同時に怖いです。
 とにかく、新型コロナに関しては、収束でも終息でも早くしてほしいものです。そのためには、まず、手洗い、手指消毒をすることが大切です。しっかりとやっていきましょう。