全面芝生化校庭

全面芝生化校庭

芝生あれこれ その11終

1年中、緑の芝生にするために、南鶴牧小学校では夏芝と冬芝を育てています。
夏芝はバミューダライグラスのティフトン、
冬芝は、ペリニアルライグラスです。
どちらも西洋芝です。
春先からすぐに緑が濃くなり、ふかふかになる冬芝は、
5月に運動会をする南鶴牧小学校には欠かすことができません。
4月頃に休眠からさめる夏芝では、運動会までに、あのような緑のじゅうたんにはならないのです。
また、冬芝には、冬の間、休眠中の夏芝を保護する働きもあります。
しかし、寒地用の冬芝は、東京では夏の暑さを越すことができずに枯れてしまいます。
そこで、毎年秋に夏芝の上に冬芝の種をまきます。
これをオーバーシーディングといいます。
いつまでも冬芝がしげっていると、夏芝に光が当たらないので、運動会後にはトランジッション工事で、冬芝から夏芝へ切り替えて、夏芝の成長を促します。
このように、芝生管理作業は、3月中旬の冬芝の芝刈りから始まって、5月に冬芝での運動会、
6月に冬芝から夏芝へ切り替えるトランジッション工事、
その後は、夏芝の芝刈りを行って、9月に夏芝でエコスポ祭り(芝生祭り)を実施、
10月に冬芝のオーバーシーディングを行って1か月の養生、
養生2週目から11月まで冬芝の芝刈り、
そして、12月下旬から2月までは芝生を保温するための養生シートかけへと続きます。
保護者のみなさんには、これらの作業を少しずつ分担していただき、
一部の方へ過度に負担がかからない持続可能な芝生管理作業となるよう、
できる範囲でご協力いただければ幸いです。

なお、これらの話は、学校ホームページのメニュー画面「全面芝生化校庭」にある芝生のあゆみや、
子どもたちが6年間で芝生のことを学習する芝生大百科にも書かれています。
合わせてご覧ください。

芝生あれこれ その10

芝生の良いところ
6 天然芝は涼しい
東京都が校庭芝生化を進めている理由に地球温暖化やヒートアイランド現象の抑制があることは以前にお話しました。
当たり前ですが、天然芝は生きているので、
人工芝や全天候型や土のグラウンドのように熱くなりません。
運動会の時には、とても良く分かります。
SDGs(持続可能な開発目標)の地球温暖化防止の学習では、
校舎の壁面緑化「ゴーヤカーテン」と一緒に学習材となります。
地球温暖化の学習では、省エネルギーとして、屋上の太陽光発電装置とともに、
芝生にやる水の有効利用の話もすることができます。
芝生倉庫の前には、100tの雨水タンクが埋められています。
屋上の東半分に降った雨を貯めているのです。
芝生に散水するためには、1回15tの水が必要です。
雨が降らない日が続かなければ、水道水を使わなくてすむのです。
1日の学校の水道使用量が8t程度であることを考えると、莫大な量の水道を節約していることが分かります。

芝生あれこれ その9

芝生の良いところ
4 校庭を長時間使うことができる
10月の冬芝の種をまいた後に、1か月間校庭が使えないので、
芝生化によって校庭が使えなくなる期間が長くなったと思われがちですが、
雨が上がればすぐに使うことができることや冬に霜が解けて
校庭がぐちゃぐちゃになって使えなくなることがないことを考えると
校庭を使える時間は土の校庭よりも長いと考えています。
もし、水はけが悪かった南鶴牧小学校の校庭を芝生化しなかった時のことを考えれば、
その恩恵は計り知れません。
南鶴牧小学校では10月の芝生校庭が使えない時には
体育の授業は他の学校とは違うカリキュラムを組んでいて
土の校庭で行うなわとびや遊具を使う授業、多摩アクアブルーでの水泳指導を行っています。

5 気持ちが良い
一年中、緑でふかふかの芝生は、さわったり、寝転んだりしすると気持ちが良いばかりでなく
目に優しく、見ているだけで気持ち良くなり、心をいやす効果があります。
それに、転んだり、寝転んだりしても汚れません。
季節が良い時には、ぜひ、校庭に来て寝転んで空の雲をじっくりと眺めてください。
土の校庭で問題になる砂ぼこりがたたないこともとても助かります。

芝生あれこれ その8

芝生の良いところ
2 思いっ切り運動することができる
痛くないので、怖がらずに思いっ切り運動することができます。
サッカーの指導者は、普段から芝生で練習している子どもはパーフォーマンスが違うといっていました。
手をついたり、ひざをついたり、倒れたり、転がったり、寝たり起きたりする動きでも
思いっ切り体を動かすことができます。
はだしで運動することもできます。
小さいうちに足の裏を鍛えると、扁平足がなくなり、健康になるといわれています。
南鶴牧小学校では毎月一回、「芝生の日」にはだしで遊ぶ日を設定しています。
たくさん運動して、健康な体をつくってほしいと思っています。

3 遊びを通して社会性を育むことができる

子どもたちは、授業だけでなく、遊びを通して社会性を育んで行きます。
芝生校庭は、その中心の場です。南鶴牧小学校では月に一回ずつ
クラス遊びと異学年交流「しばちゅんたタイム」を設定して、
子どもたちが積極的に外遊びをして、関わり合うようにしています。
ちなみに芝生応援キャラクター「しばちゅん」は
芝生化された3年後の平成23年(2011年)に子どものアイデアから生まれました。
平成19年(2007年)にできた学校キャラクター「しばちゅん」の弟分として考え出されました。
それで、兄弟学年の活動をしばちゅんたタイムというのです。
芝生応援キャラクターがしばちゅんと決まった後、
図工専科担任が大幅にデフォルメして平成23年の東京都芝生活動コンテストに応募し、
見事、第2席の優秀賞を受賞しました。
それが、今、見られるしばちゅんです。

芝生あれこれ その7

前回は、保護者のみなさまに学級ボランティアとして1回1時間
年間3回お願いしている芝生管理作業で
1年中緑の芝生か維持されていることをお話しました。
その芝生校庭の良いところについてお話しします。
保護者のみなさんは大学や恵まれた環境にあった高校に通っていない限り
天然芝や人工芝、全天候型のグラウンドで運動をしたことは少ないと思います。
そのような中で、南鶴牧小学校の子どもたちは、一年中毎日、
芝生の上で運動したり遊んだりしていることは、とても恵まれたことです。
多摩市の公立学校で全面芝生校庭なのは南鶴牧小学校だけです。

1 やわらかくて転んでも痛くない
南鶴牧小学校の夏芝は、競技場用の芝で、こすれても痛くありません。
他の学校で一番多い、校庭ですり傷をつくって保健室に来る子どもがほとんどいないのです。
南鶴牧小学校の夏芝はバミューダライグラスのティフトン419という品種です。
西洋芝です。
庭に植えてある高麗芝や公園の野芝はこすれると肌に傷が付きます。
ティフトンは肌に傷が付くことはありません。
ちなみに、昔の人工芝はこすれると傷が付くだけでなくやけどもしました。
天然芝はそのようなことはありません。
その後の人工芝は改良されて使いやすくなり、さらに最近は天然芝とのハイブリッドになっています。
しかし、その人工芝は10年はもちません。
施工費が高額な上に定期的に改修するなど、小学校の校庭で使用する状況にはありません。
都心の小学校によくある全天候型の校庭は、やはり転ぶと痛い。
夏には、はだしで歩くと足の裏がやけどをするくらい熱くなります。

芝生あれこれ その6

3月中旬〜12月上旬の土曜日が定例の芝生管理作業日です。
毎回、1学級ずつ、1時間のボランティアをお願いしています。
芝生の伸びが激しい5月〜9月は2学級ずつです。
夏休み中は参加者が少なくなってしまいがちなので、学年でお願いしています。
そうすると、現在の学級規模ですと、年に3回程度、学校に来ていただくことになります。
みなさんの1年間に3回のご奉仕で、
1年間、緑の広い芝生校庭を維持することができています。
一部の個人に負担をかけると持続可能なシステムにはなりません。
保護者のみなさまのご奉仕が校庭芝生化の鍵なのです。
次回は、みなさんがお手伝いいただくことで維持している芝生校庭の良いところをご紹介しましょう。

芝生あれこれ その5

40年前の街開きまでだれも住んでいなかった鶴牧地区に
持続可能なコミュニティを作ることは難題でした。
しかし、校庭を芝生化するためには、学校だけではなく、
保護者・地域が一体となった芝生管理団体を作ることが条件でした。
子どもたちを指導しているサッカーチームと野球チームが全面的に協力してくださり、
後からは、おやじの会の方々も協力してくださいました。
今の芝生管理作業のリーダーです。
父母と教職員の会も組織として協力していただくことになりました。
そして、手押しの芝刈り機で芝刈りをするのは保護者のみなさんにお願いし、
地域のコミュニティの一員として参加いただくことになりました。
南鶴牧小学校では、この地域コミュニティの継続を2020東京オリンピックレガシーとしています。
保護者のみなさまや子どもたちには、芝生管理作業をきっかけにして、
鶴牧のコミュニティに参加していただきたいと願っています。

芝生あれこれ その4

東京都教育委員会では、様々な理由から、校庭芝生化を進めていました。
子どもたちの運動の場として素晴らしい環境の場を提供することはもちろんですが、
都市の温暖化の防止や、地域コミュニティの発展も目指しています。
芝生化した後の設置自治体(多摩市)の財政支援も欠かせません。
保護者の協力と地域の協力、多摩市教育委員会の協力が必要だったのです。
そこで、学校と地域・保護者が一体となって、多摩市と東京都の教育委員会に申請していくことになりました。
雨で使えなくなる校庭をどうにかしたかったのは、
学校や子どもたちの保護者だけではありませんでした。
校庭を使っていたサッカーチームや野球チームも応援してくださいました。
これらの団体が集まって平成19年(2007年)から校庭芝生化を検討しました。
この集まりが、後に、南鶴牧小学校の芝生管理を担う南鶴牧小グリーンネット委員会(Gネット)になったのです。

芝生あれこれ その3

校庭芝生化工事では、南鶴牧小学校の校庭を20cm掘って砂を入れました。
その下に排水管を入れてあるので、排水管が通っている場所は、
もっと深く掘り下げて砂を入れてあります。
南鶴牧小学校の校庭にとって、このことが、とても大切なことだったのです。
芝生化される前、南鶴牧小学校の校庭は、とても水はけが悪く、
一度雨が降ると、何日も校庭がぬかるんで使えなくなることが良く起きていたのです。
芝生は水はけが良い砂地が好きなので、芝生化の工事の際には
砂を入れる工事をすることができました。
つまり、芝生化することで校庭が芝生になるだけではなく、
校庭の土壌改良を図ることもできそうだったのです。
芝生になって10年が経ち、芝生表面の土の粘土化が進んで水はけが悪くなってきているという新たな問題が生じていますが、
それでも、今でも、大雨や長雨でなければ、雨さえやめば、すぐに使える校庭であることには変わりありません。
このような理由もあって、東京都が進めている校庭芝生化に応募しようと考えました。
しかし、そのためには、クリアしなければならない条件があったのです。

芝生あれこれ その2

南鶴牧小学校の校庭芝生化工事は平成20年(2008年)6月に始まりました。
そして、10月4日に芝生開きのセレモニーを行いました。
約7000㎡の校庭のうち5000㎡を芝生化する校庭全面芝生化です。
校庭の端やトラックの外側や内側だけなど校庭の一部だけを芝生化する学校が多い中、
南鶴牧小学校は西側に土の部分を残していますが、
とても広い部分を芝生化したのです。
ちなみに、土の部分は、なわとびや野球のピッチングの場所のように
同じ場所を何度も踏みつける運動をする時のために残しました。
また、冬芝を種をまいた後、芝生校庭が使えないときに体育ができるようにするために残しました。
しかし、できるだけ広い面積を芝生化したかった理由は他にあったのです。