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校長ブログNo280小さなお客さま

先日、今年のNHK大河ドラマの主人公の苗字と同じ名前の大型書店にて立ち読みをしていたときのこと。店員さんに「折り紙の折り方がわかる本はどこにあるのかしら?」と尋ねている方の声が聞こえました。声の聞こえてきた方向に目を向けると、ちょっと急ぎ足の様子です。かくいう私もこの冬休みに折り紙をしたので、年始で親戚が集まって折り紙をするのか、お孫さんと一緒に折って楽しむのか...など勝手に想像していました。店内では、♪ジャン シャラシャラシャララン…と抑揚のある箏曲「春の海」がBGMとして流れています。心の中で思わず(孤独の〇〇〇風に)(新春に折り紙。なんだかとってもイケる。)とつぶやいていました(笑)

さて、昨年10月、アメリカ映画界の最高の栄誉とされるアカデミー賞を主催する団体が選ぶ「学生アカデミー賞」が発表され、アニメーション部門で日本人学生が卒業制作として作ったCGアニメーション作品「Origami」が銀賞を受賞。「Origami(折り紙)」という日本の文化をテーマにした作品が評価されたことが注目されました。(検索してみるとご本人の動画サイトで視聴できます。)日本の学校の出身者が学生アカデミー賞を受賞するのは初めてということもあり、大きく取り上げられていました。映像を見ると、CGで制作されたとは思えないほど和紙の質感がリアルに伝わってくる内容構成で美しかったです。

 

さて、校長室に児童が作った作品や届けてくれた招待状やお礼状など飾ってあります。

この写真にある花やハートの折り紙は、着任して間もない頃、2年生の教室を訪れたときに子供たちが「はい、どうぞ」と手渡してくれたものです。こんなにステキな折り紙をもらっていいの?と思わぬプレゼントにうれしいさでいっぱいでした。また、紙風船は4月15日に2年生と校外学習で訪問した横芝光町図書館の司書さんの読み聞かせの前に折り紙を教えていただきみんなで作ったものです。このころはまだ2年生に進級したばかりということもあり、紙風船をふくらませることが難しい子供たちもけっこうおり、読み聞かせよりも、折り紙を折ることの方に時間がかかったことを思い出します。

年度当初、初めて校長として着任したばかりの頃でしたから、やることが山積みで、折り紙をもらったまま月日が流れてしまい、1学期が終わってしまいました。

小学生の頃、クラスでまとまった数の鶴(ツル)を折るにも、折り紙が苦手な私は、友達に教えてもらいながらなんとか自分のノルマをこなしたことがあります。折り紙の折り方の本を見ても、最初はわかっても途中で折り方が分からず中途半端で終わってしまうことから、折り紙=複雑といったイメージがあり、自分から進んですることはありませんでした。

夏休みを利用して少し折り紙の折り方を覚えようと折り方の本を買い、その中でもなんとか自分で折ることができそうなものにチャレンジしてみました。

2学期が始まり、掲示物として飾ってみました。ある日、廊下で2年生とすれ違ったときに、「校長先生、折り紙が苦手だから少し覚えようと思ってがんばって折ってみたんだよ。」と話したところ、私の掲示物を見て「これ、校長先生が折ったの?」と不思議そうに見てくれ、「今度、校長先生と一緒に折り紙をやりたい。」ということになり、さっそく、昼休みに子供たちが遊びに来てくれました。

4月に折り紙をプレゼントしてくれた子供たちに「どうもありがとう。」の言葉だけで、何のお礼もできていなかったので、ちょうどハロウィンが近かったこともあり、簡単に折れるカボチャのバスケットなど3点を児童数分折ってプレゼントしたところ、すごく喜んでくれ、遊びに来てくれました。

今でもときどき校長室に来て折り紙をして教室へ帰ることもあります。

そして、2学期の終わりに2年生全員が改めて校長室へあるものを届けにやってきてくれたのです。

あるものとは...

そう、なんとみんなからのお礼の手紙でした!!

きっかけは、折り紙を教えてくれた2年生のみんなだったのですが、折り紙を通して2年生との交流をもつことができたのはとてもうれしいことです。

早速、校長室に飾らせてもらいました。

冒頭の大型書店の「折り紙の本」のコーナーのポップには手先と頭を使う「脳トレ」としても最適と書いてありましたが、そのとおりだと思います。新しい折り方に挑戦するとき、1人で折り紙の本を見ながら折り進めていくと途中で折り方がわからず、中途半端で終わってしまうこともありますが、近くに聞くことができる人がいると話すきっかけにもなりますし、やはり楽しいものです。これまで学級担任だったときに行事等でまとまった数の折り紙の作品を作る必要がある場合に大人数の子供たちの様子を見ながらやってきた折り紙の時間でしたが、学級担任とは違った立場で校長室を訪れてくれた小さなお客様(子供たち)と折り紙を通してコミュニケーションを図り、楽しい時間を過ごすことができました。どうもありがとう。