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校長ブログNo178 秋は夕暮れ

日没後間もない夕焼け空です。(撮影日9月22日(日))朝からどんよりとして雨が降ったりやんだりした1日でしたが、1日の最後に贈り物のように美しい景色を見せてくれました。どんどん焼ける空の景色に見とれている間にも刻々と表情が変化していきます。鮭の切り身のような色合いのものもあれば、若草山(奈良県)の山焼きに見られる炎のような色合いのものもあります。この写真を撮影した後、さらに雲に夕日が反射してレースのカーテンのように細かい模様が刻まれたのですが、残念ながら写真に収めることができませんでした。

小学5年国語科教科書下巻(光村図書)P134「季節の言葉3 秋の夕(ゆうべ)」にも「枕草子」(清少納言)のあの有名な場面が掲載されています。

秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。まいて雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言うべきにあらず。

願わくば、烏(カラス)や雁(かり)が夕焼けをバックに群れをなして飛んでいる光景を撮影したいものですが、実際にはそのような景色に出会うことがかなわず...もし撮れたらそのときに紹介したいと思います(苦笑)それとともに、この時期は童謡『ゆうやけこやけ』『七つの子』の他に、昔小学校で歌った文部省唱歌『かりがわたる』(現在、教科書には掲載されていません。)のメロディが思い出されます。

かりがわたる ないてわたる

鳴くはなげきか よろこびか

月のさやかな 秋の夜に

さおになり かぎになり

わたるかり おもしろや

上段の花の写真は、散歩中に見かけた秋の七草の1つとして知られる「葛(クズ)」の花です。今年は開花が早く、7月頃には咲き始めていたということですが、きれいな濃い紫色と薄い紫色の花が大きな緑色の葉っぱが茂る中に引き立ち、あちこちで見ることができます。ご覧のとおり、夏の暑さであっというまに生い茂り背丈が2メートル近くになります。クズはマメ科のつる草で、正式名称は「寒根葛(かんねんかずら)」といいます。クズの根にはデンプンが10~15%含まれており、葛粉として和菓子や料理の材料として使われます。また、クズの根は葛根湯(かっこんとう)の原料にもなり風邪のひき始めに効能があるといわれています。

こちらも小学4年国語科教科書下巻(光村図書)P38「季節の言葉3 秋の楽しみ」に山上憶良(やまのうえのおくら)の和歌と共に紹介されています。

学校近くの用水路沿いにも、秋の七草の1つである尾花(オバナ)(いわゆるススキ)の銀の穂が朝日を浴びて輝いていました。

 

山上憶良の歌 二首(書き下し文)

秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花(あきののにさきたるはなをおよびをりかきかぞふればななくさのはな)(万葉集巻八・一五三七)

次の歌で詠んだ七種類の花が秋の七草の始まりと言われています。

萩(はぎ)の花尾花葛花瞿麦(をばなくずばななでしこ)の花 女郎花(をみなへし)また藤袴(ふぢばかま) 朝貌(あさがほ)の花(万葉集巻八・一五三八) 

七十二候「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」(9月28日〜10月2日頃)

外で活動していた虫たちが冬ごもりの支度をはじめる頃。虫たちは秋冬が終わるのを、約半年間も土の中で静かに待ちます。そして、啓蟄(けいちつ)(2025年は3月5日)の頃に再び姿を現します。今年の猛暑の影響ですから暦と実際の景色の差がありますが、これから秋らしくなっていくことでしょう。