学生時代の勉強の意味
『女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法』(小学館文庫)
たとえ、自分がイヤだと感じることにでも取り組んでいける心の持ち方・態度は大人になってからでも必ず、人生に活かすことができると信じています。さて、問いを大別すると、
(1)なぜ親から見ると子供は「やる気」がないように見えるか
(2)子供が失敗しないように手助けしてやることはプラスかマイナスか
となるのですが、
(1)については親と子で、「やる気」についてのイメージに大きなギャップがあるのではないでしょうか。子供にしてみれば、自分ではやっているつもりでいるはずです。親にしてみれば、勉強へのやる気というのは、子供に任せるしかないといったところだと思いますが、子供をその気にさせるようなアプローチが下手(もしくはしていない)というのも一因のような気がします。
「親は関与しない、あなたの勉強だから」という態度ではなく、わが子の性格に合わせて、演技でもいいから、その気にさせる工夫を考えなくてはなりません。ただし、互いの間に距離は必要で、この辺は親としての学びになります。重要なのは「ただ、やりなさい」では、続かないどころか逆効果でしかないということです。
親は、ちょっとしたことでも気付いてやり、「本当はできるんだ」という思いを喚起する努力を心がけなければなりません。東大に入るということも、結果ではなく、将来のための技術を得る過程の通過点にすぎず、合格するだけの「計画性、勤勉性を身につけた」ということを尊重すべきです。
(2)については、碇さんの著書の中に『「生きていくことは失敗の連続。うまくいくことのほうが少ない」と確信している。だから、息子が失敗することを気にしなかった。むしろ、息子の失敗を楽しんでいた。』とありましたが、この思考、心構えこそ、親として、必要なことだと共感しました。
現代の親の多くは、失敗してはいけない、失敗は悪いことと捉え、その態度が子どもにも受け継がれ、子供自身が「失敗してはいけない、失敗したくない」という心情から、結果的に「挑戦しない、保証がなければやらない」となり、最終的に「何もしない」ようになっています。
人は失敗から学ぶことのほうが圧倒的に多く、身をもって知ることで次にいかせるものです。したがって、生命身体に危険がない限り、見守ることが肝要と考えています。安易に、あるいはすぐに手助けをすれば、間違いなく「依存心」が植え付けられるでしょう。依存心というのは、一度、心に生じてしまうと、消すことは容易ではなく、そのために多大なエネルギー・時間を要するものです。
失敗することが大事なのではなく、失敗を「どのように捉え、そこから何を学ぶのか」が重要となります。失敗を失望という情緒に結び付けさせず、原因を論理的に分析させ、対策を考えるような思考形式を覚えてもらう、というのが親の仕事です。情緒で捉えるから、現実以上に「自分はダメだ、能力がない」などと、不必要に落ち込んでしまい、本来の能力を自分で発揮できないようにしてしまうのです。
親はどんな深刻な状況でも、そうでないような態度と笑顔で接しなければいけません。そして、「自分もそのような失敗をしてきた。そのときは失望を感じたが、対策を講じることで克服できた。必要なのは原因の究明と対策なんだ」と教え、励ましてやらねばなりません。それらすべては、再度、挑戦する心を持てるようにしてやるためです。