近隣の話題「小淵山観音院の夏」
幸松第二公民館のすぐ近くにある通称「いぼとり観音さま」こと、小淵山観音院正賢寺(こぶちざんかんのんいんしょうけんじ)は指定文化財1)にもなっている本山派修験道の名刹です。日光街道を物資や旅人が往来して、粕壁宿が栄える以前から人々に親しまれてきました。
そこは昔から、子ども達の遊び場でもあり、ちょっとした冒険の場でもありました。木が鬱蒼と茂り、ひんやりとした境内でセミ取りやかくれんぼなどをした方も多いことでしょう。
この観音さまに親しんで大人になった方たちが発起人となり、この夏、8月9日(土)に第一回「寺フェス小淵山」が開催されました。地域を盛り上げ、次世代につなごうと、地元の畳店 福島さん、増富の飲食店 伊勢さんら30代が中心となって、住職 尾花さんと共に企画しました。
数人の実行委員から始まったこの企画は、春日部市や商工会議所の支援を受け、新聞やテレビに取り上げられて、ボランティア15名、協賛94店に上る大きな催しに発展します。
修復した仁王門二階の公開や浴衣コンテスト。
B級グルメの出店も多数。
春日部駅東口からはシャトルバスを運行し、遠方から足を運んでくださった方への配慮も忘れません。
その結果、「夏祭りをやろう」と決めてからわずか二か月の準備期間にもかかわらず、3000人を超える来場者を集めたのです。
近隣住民の評判は上々で、「ずいぶんなにぎわいだったよ。」「浴衣コンテストはよかったね。」と公民館で話してくれる人もいました。
実行委員さんの行動力はもちろんのこと、すばらしいのは広報から草取り、会場準備、運営までかかわって成功に導いたボランティアの力です。新聞で開催を知ったという市内の男性は、「40年ほど前に子どもがいぼを取っていただいたので、お礼を兼ねて押しかけボランティアに来ました。」とのこと。
「近くにいろんな特技を持った方がたくさんいて驚きました。」とは、福島さんのお言葉です。ただ住んでいるだけでは知りえない隣人との仲を、観音様が取り持ってくれたのでしょうか。
来年も再来年もずっと続いて、より多くの方が幸松でご縁を結んでくださいますように。
また、なにより嬉しいのは、若い方たちが忙しい仕事の合間を縫って、地域のためにとチャレンジしてくれたこと。次回は、公民館も何かお役に立てればと思います。
最後に、福島さんから皆様に伝言です。
「たくさんの方にご来場いただき、ありがとうございました。今回の反省をふまえ、次回に向け実行委員会は動き出しています。来年は、より良い『寺フェス』にします。皆さん楽しみにしていてください。」
1) 県指定有形文化財「小淵山観音院円空仏群」(こぶちざんかんのんいんえんくうぶつぐん)、市指定有形文化財小淵山観音院仁王門(こぶちざんかんのんいんにおうもん)