校長室

避難訓練で伝えたこと

 先週、木曜日に避難訓練を実施しました。東日本大震災の発生時、湖北台中学校に教頭として勤務していた私は、生徒たちの安全を確保するために、どのような指示を出せばいいのか、瞬時に判断することが困難で四苦八苦していたのを思い出します。

 そして、しばらく時間が経ってから布佐地区の甚大な被害の状況を知り、大変に驚きました。小中学校に通う児童生徒の中にも被災した家庭が多かったのだろうと思います。そんな布佐地区にある中学校として、将来にわたって布佐の地を愛し、誇りをもって地元に貢献し、復興にも携わることができるような人材を育成することは本校のミッションであると考えています。そんな人材を育成するために、前回、お示しした学校教育目標を設定しているということもご理解いただければ、と思います。

 さて、避難訓練では、災害から身を守るためには「自助」「協助」「公助」の考え方があるけれど、命を守るために一番大切なのは「自助」であり、それを為すためには場の状況を考え、冷静に判断して自ら行動する力が求められる。そんな力をつけるために学校の様々な教育活動を通じて勉強しているという話をしました。その際に、大津波から避難し、小中学校の全児童生徒が助かった岩手県釜石市のいわゆる「釜石の奇跡」を実現した「自助」を重視した防災教育のこと、釜石の中学生がお年寄りや幼い子供たちの手を引いたり、リヤカーに乗せて多くの命を救った「協助」についても取り上げて話しました。

 避難訓練への生徒の参加態度を見ていると、震災から時が流れ、ややもすると記憶が薄れてしまっているような心配もされます。私の話が生徒たちにどのくらい浸透したかはわかりませんが、生徒が自らの命を守るための思考力や判断力・行動力を身につけられるような学校での教育活動をさらに展開していかなくては…と改めて考えています。