校長室から

校長室から

当たり前ではないことに感謝して

 新年のご挨拶に先立ち、1月1日の能登半島地震でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りします。また、被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興と安全をお祈りいたします。

 つくづく、今日こうして生徒・職員皆で顔を合わせ、無事に学校生活をスタートできることは当たり前ではないのだと考えさせられました。被災された地域では沢山の児童生徒たちが不自由な避難所生活を余儀なくされています。また、多くの学校が避難所となり学校生活を再開できずにいます。私たちは不自由なく生活できるこの環境に感謝し、自身のできること、やるべきことに力を尽くさねばとの思いを強くするところです。

 さて、冬休み前に新年を迎えるにあたって「「一年の計は元旦にあり」と言われますが、自分の目標実現に向けて動き出せるような中身のある計画をたてるためにも、まず冷静に自分自身を振り返ってみましょう。」という話をしました。これまでを冷静に振り返り、「今年は」、「今年こそ」と思いを新たにすることができたでしょうか?
 これからの3か月は「1月は行く月」「2月は逃げる月」「3月は去る月」といわれるように瞬く間に過ぎていきます。来る次年度の生活に備えて一日一日を大切に過ごして欲しいと思います。
 〇3年生の関宿中学校での生活は残すところ正味2か月です。進路決定に向けて全力で取り組むとともに、幼いころ から生活を共にしてきた仲間たちとの日々を大切にしてください。受験を乗り越え更に成長した姿を3送会や卒業式で見られることを楽しみにしています。
 〇2年生はスキー林間を3年生に向けてジャンプアップするための大きな経験にしてください。また、日々の学校生活を大切に積み重ねるとともに、3送会の企画・運営を通して最上級生になる気構えを強くできるようにしてください。
 〇1年生はいよいよ先輩になるという自覚を持って生活しましょう。言葉ではなく、「背中で語れる先輩」になれるよう日々の学校生活、学習の在り方を見つめなおし上級生となる準備を重ねてください。

  最後に、今年も全ての関中生が、コロナウイルスやインフルエンザ等感染症の予防はもとより、登下校時の安全、挨拶・返事・反応、毎日の話し合い活動を大切にして、誰もが安心して過ごせる学校づくりに取り組んでくれることを期待しています。

                                       野田市立関宿中学校長 森 功

艱難汝を玉にす

 令和5年も残すところ後1か月程となりました。学校は3月までの年度を1年のサイクルとしていますが、やはりこれから迎える年末年始の時期にこれまでを振り返り、新たな目標立て(見直し)をすることは必要で、私自身はもちろん、教職員、生徒にも求めているところです。
 4月からここまで、日々の授業をはじめ、毎日30分の帰りの会、様々な行事、部活動・・・小規模校ゆえに一人で何役もこなさなければならず、準備日程等の調整はもちろん、気力・体力の維持等難しい面は沢山ありました。しかし、そこを皆の協力によって乗り越え、それぞれ納得のいく素晴らしい成果を残すことができました。ここに「あたたかく」「みんなで一生懸命取り組む」関宿中の良さ、関宿中の力(これを私は「関中力」と呼んでいますが)の一層の高まりを感じました。
 「教育の成果は見えにくい」とよく言われます。確かに物の生産や販売といったような、数字で表すことや評価することが難しい性質があります。では、どこで成果を確認するかと考えれば、やはり「生徒の変容」「生徒の姿」であると思います。保護者の皆様には様々な場面で生徒の笑顔、充実した姿をご覧いただけたことと思っています。令和5年度の目指す姿として掲げた「主体性・表現力・克己心」の涵養を実感しているところです。エビデンスとなる数字も生徒アンケートや全国学調の生徒質問用紙に表れており、それは「関中だより10月号」や「学校評価アンケート」で紹介したとおりです。
 今後も教職員一丸となって教育活動を推進してまいりますので、かわらずご理解・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

                                       野田市立関宿中学校長 森 功

「不易」と「流行」

 「不易」と「流行」という言葉は、俳人松尾芭蕉が残した言葉とされています。いろいろな場面でよく使われる言葉なので、ご存じのことと思います。さまざまに解釈されていますが、「不易」はいつまでも変わらないこと、「流行」は時代時代において変化すること、と捉えることが多いでしょう。芭蕉は「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」「不易と流行の基はその一つなり」と言っています。
 教育の世界は、その時代や社会の変化、要請に様々な対応をしてきました。ここ7~8年の動きだけでも、・教育機会確保法(主に不登校対策)施行 ・新学習指導要領告示(主体的・対話的で深い学び)と完全実施 ・特別の教科「道徳」の実施 ・運動部活動ガイドライン策定 ・全国学調での英語テスト ・いじめの重大事態調査ガイドライン・・・様々な答申、通知が出され対応してきました。またここ数年で性的マイノリティ、児童虐待、子どもの貧困、外国人生徒、インクルーシブ教育、GIGAスクール構想、コロナウイルス感染症予防対策・・・と学校が正対しなければならない課題は増える一方です。教育における「流行」の部分でしょうか。
 では、何のためにこれらに対応するのか? それは「人格の完成を目指し、心身ともに健全な国民の育成」のためであり、本校においては学校教育目標および令和5年度の目指す姿を実現するためです。学校という一つの社会において、自分とは違う他者との関わりの中で、様々な活動の中で、生徒と教職員が一体となって人間性を錬磨し、自立を支援するためだと考えています。教科指導の中で、部活指導の中で、特別活動の中で、学級の中で、それをしていくのです。これが「不易」だと考えます。
 「流行」に注力しながらも「不易」を見失わないようにしたいと常々考えています。

 「なぜ学校で学ぶか」を考えたとき、やはり生徒同士の関わり合い、ぶつかり合いがあるからこそ人格が錬られ、磨かれ、学びを深められるわけで、そこに大きな意味があるのだと思います。本校には、生徒同士の関わり方、ぶつかり方を見つめる時間が毎日あります。そう、「帰りの会」です。
 先日、千葉県中学校長会研究協議会で県下各地の校長を前に「帰りの会の話し合い活動を核とした学級経営」について、30分程の発表をしてきました。その後の協議会の中で「そういう視点がなかった」「必要だと思うが時間が作れない」「教えられるミドル層がいない」等の話が出ました。ほとんどの学校の帰りの会は15分程で、連絡と歌練習等が主な内容のようです。毎日繰り返す30分の帰りの会。本校ならではの時間、営みです。関宿中の「不易の力」になることを信じて今後も工夫を重ねていきたいと思います。

 

嬉しい数字

  令和5年度折り返し
 あっという間に9月が終わり、いよいよ10月です。2学期制の野田市小中学校では前期・後期の係委員会の入れ替わりと、それによる様々な組織の改編等が行われます。本校においても、先日生徒会本部役員と各専門委員長の選挙が行われ、新たなリーダーのもと活動がスタートするところです。
 10月は日々の授業に加え、葛北新人戦、東葛駅伝大会、関宿高校合同文化祭、小中音楽会等の対外行事。任命式、駅伝壮行会、SDGs工場見学等の校内行事。実にさまざまな活動が予定されています。保護者の皆様には多くの場面でご支援・ご協力をいただくことになるかと思います。宜しくお願いいたします。加えて、3年生は進路決定に向けて一層具体的に動いていくことになります。生徒達にとって大変な日々となりますが、こなすだけにせず、その活動を通して自分が、自分たちがどうなりたいのか明確な目標を持ち、取り組み、振り返り、成長して欲しいと願っています。
  嬉しい数字
 PTA広報誌「むら竹」でも一部紹介しましたが、本校では昨年度より「生徒にとって安心できる居場所づくり」「居心地の良い学級づくり」「自治的な生活集団・学習集団づくり」のため、帰りの会の話し合い活動を核とした学級経営に取り組んできました。本年度は毎日30分の帰りの会を実施しています。これだけの時間を使って、毎日地道な話し合いを繰り返しているのは、市内では本校だけです。
昨年度からの取り組みの成果とも言える数字が示されたので紹介します。今年4月18日に全国の中学3年生を対象に行われた、全国学力・学習状況調査の生徒質問用紙における回答結果です。(友人関係や学級での生活についてのものを紹介します。)
※回答はすべて「当てはまる」と答えた生徒の%です。

  関宿中  千葉県 全国
①友達関係に満足していますか。 71.4 53.7  55.3
②学級の生徒との間で話し合う活動を通じて、自分の考えを深めたり広げたりすることができますか。 57.1  32.5 34.3
③あなたの学級では、学級生活をより良くするために学級活動で話し合い、互いの良さを生かして解決方法を決めていますか。 61.9 30.5 29.3
④学級での話し合いを生かして、今、自分が努力すべきことを決めて取り組んでいますか。 57.1 25.2  24.9
⑤道徳の授業では、自分の考えを深めたり、学級やグループで話し合う活動に取り組んでいますか。 71.4 44.4 43.8
⑥人が困っているときは、進んで助けていますか。 61.9 39.0 38.4
⑦いじめは、どんな理由があってもいけないことだと思いますか。 90.5 78.5 80.3

 千葉県や全国の数字と比較して、肯定的なとらえ方をしている生徒の割合が非常に高いことが分かります。(どの項目についても「どちらかというと当てはまる」までを含めると100%、または100%近い数字になります。)これは担任をはじめ本校職員と生徒たちの毎日の地道な取り組みのひとつの成果であると思います。もちろん課題もありますが、今後も工夫を重ねながら、一層充実した学級経営、学校経営に取り組んでいきたいと思います。

  生徒のみなさん、令和5年度も折り返し地点です。4月当初に決めた学級目標を達成できるように、あと半年、日々の営みを大切にしてください。

                                    野田市立関宿中学校長 森 功

Restart

 長い夏休みが終わりました。皆さんにとってどのような夏休みだったでしょうか?夏休みは交通事故をはじめ、いろいろなことを心配しましたが、全校生徒の皆さんが「被害者にも加害者にもならない」という約束を守り、自他の命、信頼、将来を守り、それらを失うような行動をせず、今日こうして顔を揃えられたことを本当に嬉しく思います。
 また、夏休み前の集会で「これだけはやれたと言える夏休みを」という話をしました。今日「これだけはできました!」と胸を張って担任の先生に話をすることができますか? 休み中の部活動や駅伝練習、学習会や登校日等の様子を見ていると多くの生徒が「できた!」というものを持てたのではないかと感じています。それぞれの取り組みを通して、目標を持って生活することの大切さを再確認できたのではないでしょうか。

 さて、本日各学年の代表から今後の生活についての目標(抱負)が語られました。4月からの生活を振り返っての反省に基づいたこと、これからの学校行事等への取り組む思い、進路選択にむけての思いが含まれていました。さらに、葛北大会を最後に部活動を引退した3年生から、2年半の活動の振り返りと後輩に向けてのアドバイスがありました。「目標がその日その日を支配する」という言葉があります。目標達成にむけて課題を探し、実行していくことで生活が変わります。その積み重ねが生き方を変えていきます。何度も繰り返して話していますが、一日一日の「今」の積み重ねが未来を創るのです。
 今日から64名での学校生活が再スタート(Restart)します。気持ちを新たに目標に向かって力強く一歩を踏み出しましょう!

                                       野田市立関宿中学校長 森 功