木間ケ瀬中「歳時記」

木間ケ瀬中「歳時記」

10月27日(木)

 新聞やテレビの報道の中に,考えさせられる記事を見つけました。東日本大震災の際に児童74人が死亡・行方不明になってしまった宮城県石巻市の小学校の件で仙台地検が宮城県や石巻市に対して14億円の賠償命令を下したという記事です。当日の状況はこうです。当時東日本をおそったあの大地震。当然ながら児童の安全を最優先に考え,校庭に避難しました。学校のある場所は標高1.5mではありますが海岸から4kmと離れています。市の津波被害予想等を記したハザードマップには,学校は津波被害の範囲ではありませんでした。しかし当日あの大震災と巨大津波です。誰しもにとって「想定外」だったことは簡単に理解できます。実際は地震から校庭に避難し津波の襲来まで51分の時間があったそうです。心配し迎えにきた保護者,児童は恐ろしさのあまり泣き出しているような状態のなか「本当に大丈夫か?」「山に逃げよう!」という声も何度となくあったそうです。しかし校長先生が不在で残された教員は「山に逃げるのは難しい」「ここなら大丈夫なはずだ」と校庭にとどまる決断をしました。そのうちに市の広報車が「津波が森を抜けてきた。避難してください」と回ってきた。移動を始めた矢先,あの巨大津波がすべてをのみ込んでしまったそうです。
 教頭という立場上,以前からこの裁判やこのことについては以前から知っていました。実際にどっちが勝った負けたは関係ありません。賠償金額も関係ありません。大切な子供たちを皆さんから預かっている以上,常に「最悪のことを想定」し,「生徒や先生たち」の安全を最優先に考えて,日々の教育活動に当たらなければならないと責任の重さを再認識させられました。