学校長の窓

1. 平成26年 11月   朝会

投稿日時: 2015/02/13 益子中学校

「心に残る生徒に」      H.26.11.5  朝会

 聖が丘祭では、合唱コンクールを始め、各部門、ステージ発表と誰もが頑張り、一人一人が輝いていました。節度のある中でたいへんに盛り上がったすばらしい聖が丘祭で、たくさんの感動をもらいました。益子中学校の生徒は、私にとって自慢の
生徒です。 
 皆さんもすばらしい生徒ですが、今日は、私の教え子で特に心に残っている生徒の話をしたいと思います。私の教え子の中には、プロの演奏家や、医者、議員などがいますが、そういう特別に成績が優秀だったり、すばらしい才能を持っているという生徒の話ではありません。普通の生徒の話をしたいと思います。
 一人目はOさん、私が一番最初に担任した生徒です。Oさんは、大変まじめな生徒でした。部活動が終わって家に帰ると、すぐ学習に取り組みました。夕飯、お風呂、トイレ以外は、勉強です。30年も前のことですから、携帯やパソコン、テレビゲームなど無かった時代です。テレビを見ることやラジカセで音楽を聞くことぐらいしかなかった時代です。でも、それもしないで、毎日5時間以上学習し、家庭学習のノートを10ページ以上やって毎日提出していました。どうしてそんなに勉強するのかと尋ねると、「私は人より覚えるのに時間がかかるから、人の何倍も勉強するのです」との答えでした。確かに学年でも、成績は下の方でした。早々と推薦入学で宇都宮にある今の文星女子校に進学が決まったOさんに、私が「学習はもういいから、これからは本を読んだり、家事の手伝いをしたりしなさい。」と進めたのですが、「両方頑張ります」と、卒業式の朝まで、毎日学習ノートを出し続けました。今Oさんは、歯科衛生士となって、歯医者さんの手伝いをいています。
  二人目は、T君です。何でも一生懸命にやる生徒でした。野球部のキャプテンとして、部員を引っ張っていました。清掃も一生懸命おこなう生徒でした。職員男子トイレ掃除を一人で担当していて、便器を輝くくらいよく磨きました。T君のお父さんが癌の末期ということで、寝たきりだったのが気がかりでした。本人の覚悟はできていたようですが、ある日、家からお父さんが、今亡くなったという連絡を受け、すぐ家に帰るよう本人に伝えました。でも家に帰らずに、掃除時間が終わったら帰ると、すぐに帰ろうとしませんでした。「僕がこのトイレを掃除しなかったら、誰がこのトイレをきれいにするのですか。僕が早く家に帰っても、お父さんは戻ってきません。自分の責任を果たした方が、お父さんは、喜んでくれると思います。」そう言ってT君は、泣きながら最後までトイレ掃除をして帰りました。T君は今、東京の有名なホテルでコックをしています。
 皆さんも、先生方の心に残るような生徒になってほしいと思います。