校長室より

家族とは何だろう・・・

  ある教育雑誌の最新号の特集記事のテーマが、「親」でした。

作家の下重 暁子(しもじゅう あきこ)氏は、「親は子を、子は親を知っているか」についての文章を掲載されていました。読み進めるうちにかなりの衝撃を受けてしまいました。殺人事件そのものは減ってきているが、唯一増え続けているのが親子間の事件であるということである。私が生まれた1950年代は年間3千件あった殺人事件の数は、現在は1千件まで減少している。しかし親子間の殺人事件が最も多い現状があるそうです。

 

なぜだろう。そんなにしてまで親子間で憎しみあうのか。

 

下重氏は「家族という病」という本を出しておりベストセラーにもなりました。

私もこの機会にこの本を読んでみました。

テレビやドラマのCMでは親子、家族の愛情ほど深いものはない。家族は仲良くなければならないという錯覚で自分を縛ってしまうものだと下重氏は言っています。

又、下重氏は次のようなことも書いています。

家族間では、親と子の間では全てを分かり合っていると思い込んでいるから始末が悪い。

実はもっとも知っているようで知らないのが家族なのだ。他人なら例えば友達、知人と付き合う時は客観的に観察し理解しようと努力する。ところが、家族間では理より情が先に立って、分かっているものと思っているから努力しようとしない。その結果、誤解がたまりたまってある日爆発する。

私の父母は、既にこの世を去ってしまっていますが、生前どれだけ本当に父と母を理解していたかは甚だ疑問です。今では本当は良く知ってはいなかったのではないかと思います。

自分は両親に沢山甘えて育ち、幼い頃から自分のことをもっと分かってくれ、もっと褒めてくれと自己中心主義で成長したのではないかと感じています。

中学生から高校生の時は、父母にかなり反抗的な態度を取っていたことも事実です。

 

成長とは何かというと、自分の目の前にある権威を一つずつ乗り越えることである。

 

先ず一番身近にある権威が親である。それと戦ってそれを乗り越える。学校の権威は先生である。社会に存在する大人への反発、それを一般に反抗期という。反抗期のない子どもが増えているというが、こんな気持ち悪いことはない。と同じく下重氏は言っています。

 

親は子どものことをもっと知る努力をする。そして、自分の両親のことも知る努力をする。

兄弟がいても一人ひとり個性が違います。同じ家族の一員としても決して比べてはいけないものなのです。それぞれの違いを認めて、個として独立してけるように強く願って育てていければ大きく曲がらないのではないでしょうか。

 学校の子ども一人ひとりを知る努力を保護者の方と共に真剣に続けていきたいと思います。
 家族とは何だろう。子どもとは何だろう。・・・